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Fortia

全盲いぐぴー、鉄拳7大会出場のその後~洞窟を抜けた先はきっと絶景に違いない~

皆さんこんにちは。リアルでは運動が大嫌いなのにゲーム内では攻める気100%で暴れ回っていた「Fortia」from ePARAの盲目の女格闘家・いぐぴーです。
昨年出場させていただいた2つの大会(11月22日に行われた「第1回ePARA CHAMPIONSHIP ver:Aim High」後半戦と12月20日に行われた「GAMEクロスゆうゆうクリスマスカップ」)では、同じく全盲のチームメート・直也さんやサポーターの皆さんとともにとても貴重な経験をすることができました。

また、ePARA Championship後半戦直前には当日解説で出演されたS.H.O.Wさんにコーチとして入っていただき、ゆうゆうクリスマスカップ当日には対戦直後にゲンヤさんからePARAの紹介もしていただいて、すごく嬉しかったです。

応援してくださったすべての皆さん、選手・サポーターの皆さん、コーチ&解説者として協力してくださったS.H.O.Wさん、選手と喋り手でばたばたしながらも私達の活動を紹介してくださったゲンヤさん、大会運営に関わった皆さん、その節は本当にありがとうございました。

今回は、初めての大会出場から半年以上経過して振り返り、自分が感じたことと現在取り組んでいる練習方法、今後の目標についてまとめていきたいと思います。

プレッシャーに打ち勝ち1勝-ePARA Championship後半戦振り返り-

私と直也さんのeスポーツ大会デビューはePARA Championship後半戦。コロナ禍の中での大会ということでフルリモートのため自宅からの参加ではありましたが、オフラインで大きなステージに立つのとは別の緊張感がありました。

オンラインで私達がどのようにコミュニケーションを取っていたか、細かい情報は直也さんの記事 全盲の私が「鉄拳7」で戦った先に~ブラインドeスポーツの幕開け~全盲プレーヤーが鉄拳7大会に参戦 見えない相手に決めた魂のコンボ に記載されていますので、合わせてお読みいただくと良いかもしれません。
ここでは、大会で爪痕を残すまでの準備から本番までを振り返りつつ、自分の気持ちをまとめてみたいと思います。

自分に一番合いそうなキャラで練習

大会に出ることが決まり、数多くのキャラクターの中から誰を選ぶか、私はかなり悩みました。
直感で感じた動きやすさ、効果音での演出のわかりやすさ、声とセリフの3つを重視して、10年前PSPで鉄拳5をプレーしたときからのキャラから自分の全く知らないキャラまでいろいろ試してみた結果、

  1. コマンドを知らずまぐれで出せたことがあったレイジアーツ(必殺技)の効果音演出が大迫力でかっこいい
  2. 技が決まったときの音が他のキャラよりもわかりやすい
  3. 声質とレイジアーツ直前から終わりまでのセリフが正義のミカタっぽくて好き

という理由から、私の使用キャラはFF15からのゲストキャラであるノクティスに決まりました。
そこから一気にプレッシャーが大きくなってきたように思います。

オンライン対戦とCPU戦でひたすら練習

キャラを決めてからは、サポーターがいるときにコンボを教えてもらったり連携の練習をしたりして、一人のときは覚えた技を確実に出せるようになることを意識して準備をしてきました。

主に使ったモードは、オンラインモードのランクマッチと、オフラインモードのアーケード、トレジャーバトル、プラクティスです。
オンライン対戦では時折プレーヤーマッチでチーム内での練習試合も行ったりして、限られた時間でしたがプレッシャーを感じつつも楽しく練習ができました。
大会本番までの数日間はオフラインのモードをメインに使い、メンタルを安定させることを心がけての練習の時間が続きました。

オンラインでの対人戦、特にランクマッチではある一定のランクまで上がると急に自分流のプレースタイルでは勝てなく鳴るパターンに入るので、モチベーション維持が大変でしたが、S.H.O.Wさんのレッスンでは、自分と同じキャラを使って「この掛け声が聞こえたら確実にこの技が出ている」というところも含めていろいろ説明していただいたので、当日まで踏ん張り切ることができました。

思わず叫んだ軌跡の1勝

デビュー戦当日。
直前の練習会で対戦させていただいてはいたものの、やはり本番になると心臓が口から飛び出るのではないかと思うほどにドキドキでした。
そんな緊張と興奮で脳内がごちゃごちゃになっていた中、いきなり逆転負け寸前のピンチに追い込まれたシーンも有りましたが、確実に当てる練習をしてきたレイジアーツを3ラウンド全てで決め切ることができ、なんとか1勝をあげることができました。

1戦目が終わった直後、私は思わず叫んでしまいました。まさか勝てるとは思っていなかったし、まぐれで大技が出せたらラッキー程度に考え、教えていただいた中で一番しっかり覚えられていた技を確実に出せるようにと言うところだけ意識していたので、気持ちよかったです。

2戦目の同キャラ対決以降の試合では、やりたいことがほとんどできずに終わった部分が多いのですが(特に第6試合:ビーウィズ戦のパンだがただただ怖かった……)、自分の中では、初の大会出場にしてはかなりがんばれた方ではないかなと思っています。

ノクティスは遠距離でも近距離でも使える技が多く、すきが多すぎるわけでもないので、もっと使える技のバリエーションを増やしていけば更に上に行けるというようなこともいろいろな方から言っていただいたので、1勝しかできなくても気分が落ちることはなく「悔しい、次頑張ろう!」とポジティブに考えることができました。むしろその悔しさが次の挑戦のためのパワーになったと言っても過言ではありません。

クリスマスカップから年始まで急激に上がったモチベーション

12月20日のゆうゆうクリスマスカップには、私はサブにラースを加えて参戦しました。(このキャラを選んだ理由は単純に自分の好みの声だったからです)
この大会はTonamelというツールを使用して進行していくスタイルで、これもまた初めてのやり方でかなり不安ではありましたが、上位勢が多い中でも楽しむことができました。

配信には映りませんでしたが、初エントリーの外部大会でプロプレーヤーの一人であるゲンヤさんと対戦させていただけて、エントリーしてみてよかったと感じたひとときでした。本当にありがとうございました。

また、その後も白熱した試合を連続で観戦することができたおかげで、この日からしばらくの間は余韻が抜けないまま鉄拳のプレーを続けることができました。(ファーカムラムが私の第2のサブキャラとして加わったのはこの大会がきっかけです)

モチベーション低下の洞窟

その後、正月モードから通常モードに戻る時期になると、急激に調子が悪くなっていきました。ランクの制限をプラスマイナス2のみにしていても自分のプレースタイルでは勝てないことが増えてきたからだと思います。

やればやるほど洞窟の奥深くまで何者かに連れ去られていくような感覚です。
少し前の自分であれば、「見えている前提でプレーするゲームなんだからしょうがないよね」と諦めることができていましたが、大会に出場するようになってしまったらそうは行きません。

悩みに悩んだ2ヶ月。
とある英雄との出会いにより、モチベーション低下の波から少しずつですが這い上がることができてきています。

Book選手による発レッスン~格ゲーの基本はジャブから~

3月2日。
この日、私達は、いちばん重要なことを見落としていたままプレーしていたことに気付かされました。
EVO2020の鉄拳7部門の優勝者で『タイの英雄』と呼ばれているBook選手にプレーを見ていただいた直後、鉄拳を含め格闘ゲームの基礎はジャブ(弱パンチ)から始めること、というのを教えていただきました。

ジャブで相手の様子を見つつ、ガードされたらすぐ下がる。
私に一番足りない部分をストレートに教えていただくことができました。
『ジャブだと音の軽さから想像するにそんなにダメージは出ないはずだから使わないほうが良いのではないか』とずっと思っていたので、本当に衝撃的でした。
そして、この基本がマスターできるまではランクマッチには入らないほうが良いとの助言もいただいたので、最近は他のゲームで気分転換をしつつ、鉄拳を起動したらオフラインモードをメインに使っての練習をするようにしています。

基礎を見落としたままランクマッチに行ったらそりゃ勝てなくなるよね、と自分で納得できたおかげで、光が見えてきたように思います。

今後の目標

今後も、大会に出場させていただくチャンスが巡ってくるかもしれません。そのときは、昨年の大会よりも少しでも良い成績を残せるように今から頑張っていきたいと思っています。

昨年はePARA Championship後半戦で1勝。
なので次は、最低でも2勝はしたいです。

音だけだとお互いの位置が分かりづらいからやりたいこともやりづらいと勝手に諦めるのはやめて、全盲とは思えないような動きで相手をパニックさせられるようになって、せめてePARA主催の大会だけでも毎回トップ5ぐらいには入れるように…というのが、今の私が精一杯考え倒して決めた目標です。

真っ暗闇の洞窟を抜けることができたら、きっとその先には最高の絶景スポットが待っているはず。
それを信じて、これからも頑張っていきます!

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