ブラインドeスポーツ

盲目の女格闘家がブラインドeスポーツにチャレンジ!~ゲーミングPC編~

皆さんこんにちは。全盲の女格闘家・いぐぴーです。今回は、ePARA CHAMPIONSHIPなどから一緒に活動しているmaki(まき)さんと取り組んだ、ブラインドeスポーツ(※1)のチャレンジ記事を執筆します。
プレイ環境の説明、いくつかのゲームタイトルで実践してみた結果、今後の課題などなどをお伝えしていきたいと思います。

※1ブラインドeスポーツとは
ePARA(イーパラ)では、全盲または弱視の方がeスポーツに取り組むこと全般を総称して「ブラインドeスポーツ」と呼んでいます。「ウィニングイレブン」というサッカーゲームをメインにN高の卒業生・櫻井竹琉(さくらいたける)さんが中心と鳴って考えられているブラインドeスポーツは、互いの相互理解を深めるためのツールで、新しいエンターテインメントの形として研究が続けられています。どちらの視点でもまだまだ発展途上です。

全盲の女子格闘家いぐぴーのイメージ画像。ワイン色のニットを片手に、いぐぴーが微笑みを浮かべながら携帯型ゲームをプレイしている。

2020年:低スペックPCで悪戦苦闘

私たちのチャレンジは、無料且つ比較的低スペックでもプレイ可能という話を耳にしていた人気タイトル「Fortnite(フォートナイト)」と「PUBG LITE」から始まりました。
フォートナイトの必要スペックなどについての詳しい説明はこちら
PUBG Liteの必要スペックなどについての説明はこちら
どちらのタイトルにしても「低スペックでもある程度はプレイできる」のが特徴です。とはいえ、スクリーンリーダー(画面の内容を音声で読み上げてくれるソフトウェアや機能)を組み込んだ状態になると、CPUやメモリに通常よりも高い負荷をかけていることになります。
それでもどうしてもプレイしてみたいと思った私は、グラフィックボードが積まれておらず物理メモリも4GBしかないPCでどこまで動けるのか検証してみることにしました。

無料でオープンソースのスクリーンリーダー「NVDA」とWindows10の文字認識機能を組み合わせて画面の内容を確かめる実際の様子はこちらです。

音声読み上げと文字認識機能?それってどういうこと?ちょっとだけ説明します。

ブラインドeスポーツに低スペックPCでチャレンジしてみた結果

この検証で使用したPCは、VAIOから2015年12月に発売された「VJS111」というノートPCです。どちらかというとビジネスに特化した仕様で、自宅でも出先でも使えるという点ではすごく便利なものでした。しかしゲーミングノートというには厳しいスペックで、かなりギリギリの環境で頑張ってゲームにチャレンジしていました。2016年から4年間、このPCでよく頑張ったなあと思い出すたびに自分で自分を褒めています(笑)

そんな従来のノートPCで課題に感じていたことは以下の3点です。

課題1.文字認識でボタンを見つけるのに時間がかかる

私が利用しているオープンソースのスクリーンリーダー「NVDA」には、Windows10限定でOCR(文字認識機能)が使えます。キーボード操作やマウス操作だけで音声を頼りに目的のボタンがクリックできないときには、この機能を利用しています。しかし、私が使用していたPCでゲームを起動した状態でこの機能を使おうとすると、キーを押してから認識結果が出るまでに時間がかかってしまい、プレイするゲームによってはそのせいで何もできずに自分のターンが終わってしまうということも考えられるような状況でした。
(5秒から7秒程度で結果が出れば良い方で、たいていはもっと時間を要していました)

課題2.スタートボタンが見つけられない

使っていたPCの画面が11.6インチで解像度も低く、PUBG LITEは起動直後のスタートボタンが見える位置までスクロールする必要がありました。DiscordのGoLiveに接続し、チームメイトに画面を見てもらうまでは、全盲の私にはスタートボタンがどこにあるか全くわかりませんでした。

課題3.動作がとにかく重い

フォートナイトや他の基本プレイ無料のゲームもいくつかインストールしてみて一人で頑張ってみたのですが、「とにかく今の環境のままでは動作が重くて話にならない」ということを感じました。しかし、GoLiveで何度か画面共有し、チームメイトに見てもらいながらプレイするうちに「このやりかたなら完全オンラインでもブラインドeスポーツはできるぞ!」ということがわかり始めました。そして、実際に本当に他のプレイヤーとプレイするためにはゲーミングPCが必要だということを実感するようになっていきました。

マウスコンピューター様から期間限定で高スペックPCをお借りすることができました!

そんな低スペックPCで挑戦する盲目ゲーマーな私に救いの手が!マウスコンピューター様からのご配慮・ご高配があり、2020年9月から2021年3月末までの期間限定で、G-Tune P5-Dを貸与いただきました。お借りしたで、G-Tune P5-D(新しいゲーミングPC)とVAIO® S11(従来のPC)との違いは以下です。

<新>G-Tune P5-D比較軸<旧>VAIO® S11
Windows10 Home(64bit)OSWindows10 Home(64bit)
Intel Core I5-9400(6コア)  CPUCeleron 3055U(デュアルコア)
16GBRAM4GB
256GBSSD128GB
いぐぴーが使用したPCの比較

私は従来のPCでもスクリーンリーダーを使っていましたが、新しいPCではショートカットキーを押してから文字認識の結果が出るまでの時間が短縮されたことにより、ゲーム内のメニューなどの情報も確認しやすくなりました。

全盲の私も、やっとみんなと同じゲームができた

ゲーミングPCをお借りし、プレイ環境が整った直後に感じたのは「やっと障害のない人たちともオンラインで一緒にゲームができる」という喜びでした。
それまでは多くのゲームに関しては暗中模索の中で一人プレイをする程度にとどまっており、一部のプレイステーションや任天堂Wii(ウィー)などのゲームを家族とプレイする程度しか経験できませんでした。オンラインでゲームをしてもプレイ環境の制約から、仲間のほとんどが自分と同じ視覚障害者でした。
しかし、今回G-Tune P5-Dの存在により、プレイ環境が飛躍的に改善されました。また、ePARAさんやチームメイトの支えもあり、プレイに至るまでの環境や、一定のレベルに達するまでの壁から脱することができました。一般のゲームでリモートで同じゲームを楽しめ、一歩踏み込んだチャレンジができるようになりました。チームメイトのみなさまには本当に感謝しています。ありがとうございます!

ゲーミングPCがなくなっても

契約期間の満了に伴い、2021年4月時点で残念ながら私の手元にはゲーミングPCがない状態となりました。そこで今感じているのは、一時的でもゲーミングPCの環境をいただけたことへの感謝です。快適な環境でブラインドeスポーツに挑戦できたことは、今まで見えていなかった世界への扉を開く衝撃でした。盲目の女格闘家として頑張っていくうえでモチベーションの低下に悩む時期もありましたが、環境をなくしてからその特別さ・貴重さに気付くようになりました。コロナ禍の中でも有意義な時間を過ごせました。ありがとうございました。

最近は全盲ゲーマーいぐぴー、Switch LiteをGET!10年ぶりのコンシューマーゲーム始動でご紹介のSwitch Liteを用いて、フォートナイトの上達に励んでいます。今後は色々な人の力をお借りしながら、今ある環境の中で発信していけることを考えていきたいと思います。鉄拳7についてもお伝えしたいことがたくさんあります。そちらもまた楽しみにしていただけたらと思います。引き続き全盲の女格闘家への応援をよろしくお願いいたします!

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いぐぴー

生まれつき全盲のゲーム好き女子。 NHKのど自慢に出場してグランドチャンピオンを受賞した経験を持つ。 Twitter: https://twitter.com/music_Apollonia

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