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Fortia 障害とゲーム

富士24時間耐久バーチャルレースで総合3位(クラス3位)入賞~クロスラインSEASON2 チャレンジ編~

みなさんこんにちは、Racing Fortia所属の視覚障がいのある ブラインドeレーサー いちほまれ です。
難病の網膜色素変性症で視野狭窄と欠損、視力低下、夜盲の進行により大好きだった実車の運転を断念。
そんな境遇の中で、見えづらくても工夫すれば楽しめるeモータースポーツと出会い、現在はブラインドeレーサーとして様々な大会に出場しながら、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金主催のアイデアコンテスト「Make a Move PROJECT」内の「Mobility for ALL」部門においてファイナリストに採択されたePARAのクロスラインプロジェクトで活動しています。
今回は、ゴールデンウィーク中の5月4日から5日にかけて開催された、レーシングシミュレーター iRacingを使用したeモータースポーツイベント「NiShiKeN富士24時間耐久レース」にRacing Fortiaチームメイトの石水優夢選手と出場しましたので報告します。

参戦の経緯

自宅のある福井で桜が満開となった4月上旬に Racing Fortia チームメイトの石水優夢選手から「NiShiKeN(ニシケン)さんの24時間耐久レースにVERSUSチームから出ませんか」と連絡があり、NiShiKeNさんはeモータースポーツ界では有名なeレーサー兼動画配信者で耐久レースにも興味があったので「是非、出場したいです!」と返答しました。
テンション上がって出場したいとは言ったものの iRacing はあまり経験がなく、VERSUSさんも超有名なチームだし、多少の不安を感じつつも お祭りレース だと言ってたし。。。と考えているうちに参戦が決まりました。

バリアフリーeモータースポーツチーム「Racing Fortia」ロゴ

NiShiKeN富士24時間レースの概要

「NiShiKeN富士24時間耐久レース」は、NiShiKeNさんが主催するiRacingを使用したバーチャルレースイベントで、リアルで5月26日から28日にかけて開催される スーパー耐久シリーズ「富士SUPER TEC 24時間レース」 を模したイベントです。Twitter上では、スーパー耐久シリーズ(S耐)や富士スピードウェイの公式アカウントが「タノシソウ...」と引用ツイートするほどの注目度の高さです!
バーチャルもリアルと同様にエントリーした各チームがドライバーを交代しながら実際に24時間かけて富士スピードウェイを走ります。各ドライバーはシミュレーターショップや自宅等それぞれの環境から参戦。
今回のバーチャルレースでは、ST-X(GT3クラス)、ST-GT4(GT4クラス)、ST-Z(TCRクラス)、ST-4(MX-5&GR86クラス)の4クラスに分かれて34チームがエントリー。
石水優夢選手と私が出場するチーム「VERSUS e-SPORTS TEAM」は、兵庫県姫路市にあるレーシングシミュレータープロショップ「VERSUSさんの10代の若手選手を中心としたみんなが夢を追いかける8名の「ドリームチーム」で、私のブラインドeレーサーとしての大きなチャレンジも受け入れてくれました。
また、視覚障がいのある私のために、iRacingでのレコードライン表示をチームから運営のNiShiKeNさんにお願いしたところ、アシストは全て使用OKと快諾していただきました。
バーチャルレースには、スーパー耐久シリーズや5月4日に決勝レースを終えたばかりのSUPER GTに参戦しているリアルレーサーやeレースとリアルレースの二刀流レーサー、そして「グランツーリスモ」の世界チャンピオンでSUPER GTドライバーのイゴール・フラガさん、全国の有名シミュレーターショップ、有名ゲーム実況YouTuberの2BRO兄者さんが参戦と、豪華な顔ぶれの凄いイベントになりました。

本番に向けての練習

チームの使用車両はST-Xクラスの「BMW M4 GT3」に決定し、VERSUSさんやNiShiKeNさんが本番に向けての練習サーバーを用意してくれて、時間の合う時に練習に参加。

いちほまれの自宅レーシングシミュレーター環境(BMW仕様)

ゲーム内時間が夜だと夜盲の私には何も見えないので、明るい時間帯の練習サーバーや単独でコソ練しました。
練習サーバーでの1時間のテストレースで分かったのは、直前に体調を崩していた影響もあり、身体への負担が予想より大きくて集中力が落ちてくること。下位クラスを抜きながら、後方から迫ってくる同クラスを確認するのにミラーを見ると元の視線に戻るのが大変で、レコードラインアシストを頼りに視線移動しながら、かなり慎重に行う必要がありました。
そこでチームと相談して、走行枠を1スティント(約1時間)とし、周囲の状況を伝えてくれるスポッターをしていただきながら本番にチャレンジすることになりました。
VERSUSチームのマネージャーさんには、iRacingの細かな操作方向や耐久レースでのドライバー交代の仕方などを丁寧に教えていただき、非常に助かりました。
また、NiShiKeNさんのご配慮で、ブラインドeレーサーの大きなチャレンジであることを全てのドライバーに向けてアナウンスしていただきました。

チームのマシンを正面から見た画像。車体は青色を基調としており、フロントガラス上部にチーム名が入っている
VERSUS e-SPORTS TEAMは BMW M4 GT3ST-Xクラス)で出場
チームのマシンを右から見た画像。車体は青色を基調としており、チーム名が入っている

いよいよ24時間レーススタート

体調に留意しながらコツコツと練習を重ねて、いよいよ本番レースの日がやって来ました。
5月4日(木)14:00レース開幕、VERSUSチームはST-Xクラス予選3位の好位置からのスタートです。
15:00ついに24時間の決勝レーススタート!
スタート後には、NiShiKeNさんのライブ配信でのチームインタビューに出演して、ブラインドeレーサーであること、「クロスラインプロジェクト」と「Racing Fortia」の活動についてお話しました。

自分の走行時間がやってきた

15:00にスタートした24時間レースは、インタビューを終えた頃には日没を迎え、夜間の走行枠に。
見えづらさと体調を考慮して、私の走行枠は朝8:00~9:00の1スティント(約1時間)です。
朝になり走行時間が近づいてきてかなり緊張しながら、自宅から参加の私は自室のコックピットに乗り込みます。
走行中のドライバーが残り5LAP、3LAP、そして「BOX」(ピットイン)指示でピットに車両がすべりこんで来ます。練習した手順でドライバー交代して、タイヤ交換と給油後にピットアウトして、いよいよ自分のレースがスタートしました。

ピットアウト直後の周回(アウトラップ)は、タイヤが冷えているのと運転にまだ慣れていなくてスピンしやすいため、慎重すぎるほどに丁寧に走行。2周目から徐々に自分のペースに戻しますが、練習の中でタイヤ消耗と自分の集中力をコントロールして最後まで安定して走ることの重要さを学んだのでペース配分しつつ、スポッターの的確な指示のお陰で練習より良いペースで最後まで走ることができ、次のドライバーのRacing Fortiaチームメイト 石水優夢選手にバトンを繋ぐことができました。

複数台のバーチャルレーシングカーがコースを走行する様子
決勝レースでは順調に富士スピードウェイを疾走

感動のフィニッシュ

VERSUSチームはスタートから大きなトラブルもなく順調にバトンを繋ぎ、5月5日15:00のゴールに向けて走り続けます。
そして、ラストスティントを担当した石水優夢選手が総合3位(ST-Xクラス3位)で見事チェッカーを受けました!
私は1スティントの担当でしたが、チームメンバーと共に成し遂げた充実感を味わうことができました。

チームの車両の画像
VERSUS e-SPORTS TEAMは総合3位入賞

チームのメンバーは10代の若手選手が中心ですが、みんな礼儀正しくてバリアフリーに対しても気持ちがフラットで違和感がなく、とても居心地が良かったです。このチームで参加できて本当に良かった!
メンバーはそれぞれの夢に向かってこれからも突き進んでいくと思いますが、是非チャンスを掴み取って夢を実現して欲しいです。

チャレンジは スーパー耐久もてぎ へ

今回の耐久レース出場にあたり、これは大きなチャレンジだからと手厚くサポートしてくださったVERSUSチーム関係者の皆様、受け入れてくれたチームメンバー、そして企画・運営においてご配慮いただいたNiShiKeNさん、本当にありがとうございました。
また、レースに出場したiRacerの皆様には、お祭りレースとはいえ本気で出場されている方もいて、全ての方がウェルカムではなかったかと思いますが、チャレンジにご理解いただいたことに大変感謝しています。
この貴重な経験を 「クロスライン-SEASON2-」 での「スーパー耐久シリーズ」(第5戦モビリティリゾートもてぎ)と連動したeモータースポーツイベントに活かし、バーチャルを通じて多くの方にリアルモータースポーツの楽しさ、さらにサーキット観戦に出かける旅の楽しさを伝えたい。そして、全てのシーンで障がいの有無や年齢、性別を問わず、だれもが楽しめるインクルーシブな社会の実現に向けて、クロスラインプロジェクトに携わる全ての皆様と共に取り組みたいと思います。

【iRacing】~Part1~ スーパー耐久風 富士24時間耐久レース 05/04
https://www.youtube.com/live/kmDFqYpwcT8?feature=share
【iRacing】~Part2~ スーパー耐久風 富士24時間耐久レース 05/04
https://www.youtube.com/live/EXYxNO02gbo?feature=share
【iRacing】~Part3~ スーパー耐久風 富士24時間耐久レース 05/05
https://www.youtube.com/live/1vBJQs0D4Vc?feature=share

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いちほまれ

難病である網膜色素変性症。福井県在住。50代のブラインドeレーサー。 F1への憧れから自動車関連の機械工学を学び、技術系国家公務員として就業、プライベートでも運転を楽しんでいたものの、40代に難病発症により視野狭窄、視力低下、夜盲の症状がある弱視となり、技術職も運転も断念。ストレス発散にプレイしたレーシングゲームで、工夫次第で運転できることを知り、自宅にシミュレーター環境を構築して積極的に活動中。

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