プレイレポート

重度難聴FPSプレイヤーYudaiの音に頼らないPUBG MOBILE必勝法

聴覚障害者とゲームの関係の記事でも紹介しましたが、聴覚障害を持つゲーマーは一般的に、FPSやTPSのようなボイスチャットによる音声情報がカギを握るゲームは相性が悪いと言われています。ePARAでも過去にボイスチャット×聴覚障害の「バリア」を取り除くことに挑戦したこともあります。
参考記事:聴覚障害者くらげのePARA CHAMPIONSHIP参戦記 ~マンモス狩りの追憶・前編 ~

一報、聴覚障害を持ちながらもFPS/TPSゲームの上達に向け鍛錬を積み、独自の必勝法を生み出している方もいます。バトルロイヤルシューターPUBG MOBILEを得意としている重度難聴FPSプレイヤーYudaiさんの記事をご紹介します。

PUBG MOBILEとの出会い

2年ほど前、スマートフォンを新しくしたことをきっかけに、面白そうなゲームはないかとGoogle Play Storeを漂流していた時、ランキング上位にPUBG MOBILEがあった。

元々PC版のPUBGの存在は知っていて、いちゲーマーとして興味はあったのだが、何しろPCゲームは敷居が高い。モバイル版ならスマホ一台あれば無料でできるので、物は試しとやってみたところ、スマホゲームとは思えない圧倒的なクオリティを目の当たりにし、見事にハマってしまったというわけだ。当時はスマホであんなにヌルヌル動くゲームは少なかったはず。

いかに私が歴戦のゲーマーとは言え、始めたての頃は毎試合ボコボコにされていた。私は両耳が重度の難聴で、補聴器を付けてはいるが、音を聞き分けることができない。FPSにおいて音は重要な要素で、足音や銃声によって敵のいる位置が正確に把握できるのだが、ほぼ視覚情報のみを頼りにゲームをプレイしている私は、他プレイヤーに比べて圧倒的に不利だった。どうしたら勝てるのか、当時は色々と試行錯誤をした。

PUBG MOBILEでは音声情報が勝負を分ける

FPSは音ゲーだ。PUBG MOBILEも例に漏れず、音が勝敗を決めると言っても過言ではない。

特に重要なのが足音で、敵の姿が見えない状況でも、音の高さや方向で敵の位置がかなり正確に把握できるのだ。足音で自分の位置が把握されてしまうのは、重度難聴の私から見ると相当なディスアドバンテージである。

また、チームを組んでやる場合はVC(ボイスチャット)で仲間と情報を共有し、チームプレイをするのだが、私は電子音声の聞き分けができないので、VC無しの人か、聞こえなくてもいいと言う人としか一緒にやらないことにしている。VC無し勢は一定数いるので、フレンドに困ったことはない。

普通のチャットでも連携をとれないことはないのだが、やはりVCの情報伝達の速さと正確さには勝てないと常々思う。FPSは一瞬の隙が命取りになるため、たいていの場合はのんびり文字を打っている暇などない。

難聴Yudai発案音声情報に依存しないPUBG MOBILE必勝法

現在では私は征服者(サーバー毎のランキング上位500人に与えられる称号)になることもでき、ゲーム内フレンドと共にスクリム(プロゲーマーを含む練習試合)に参加し、切磋琢磨している。戦績もプロゲーマーと比べても遜色ないくらいだ。プレイの工夫と努力次第で、重度難聴であってもFPSは勝てるのだ。私なりの必勝法が難聴FPSプレイヤーの参考になればいいと思う。

必勝法1:ミニマップを駆使する

PUBG MOBILEは一定の範囲内であれば、ミニマップに敵の足音と銃声が可視化して表示される。つまり敵の姿が見えない時、音声情報がなくても敵が近くにいることはわかる。そのため、私はミニマップを常に視界に入るようにしてプレイしている。難聴の私には生命線とも言える機能だ。

すぐ下の階に敵がいると予測して、ガン待ちをしているYudai

右上のミニマップに足音マークが出ている。マークの色が濃いほど敵が近くにいることがわかる。

必勝法2:健聴者と難聴者の情報量の差を知識として知っておく

銃声による位置と銃種の判断、車両音による車両の距離感と車種の判断、グレネードのピンを抜く音、伏せやジャンプの音、場所による足音の違いなどが難聴の私にはわからないが、健聴者プレイヤーにはわかっている。こういったディスアドバンテージを知識として知っておくことで、敵の動きを予測することができる

コアな例になってしまうが、
(私がSRを撃った時、敵は音で銃種がわかるため、遠距離戦を避けようとして詰めてくる可能性が高い)
(スクアッドで私が2人乗りバギーで移動している時、敵は音で車種の判断ができるため、最低でも2人、もしくは1人しかいないことがバレる)
(私がグレネードのピンを抜いたら、音を聞いた敵が詰めてくるかもしれない)
(敵に見つからないように伏せたが、距離によっては音で伏せたことがバレる)
(室内にいるのか、壁に張り付いているのかは足音の違いでバレる)

このように敵が得た情報を想像し、次の動きを予測することで、難聴ゆえの情報不足を補っている

また、「ミニマップに足音は表示されないが、音声の足音は聞こえる距離」が存在する。この距離に敵がいた場合、無音プレイの私は敵がいても気付けないが、敵は足音で私の存在に気付いている。私にとって圧倒的に不利な状況であり、この状況で撃たれるとどうしても反応が遅れてしまい、一方的にやられてしまうことが多い。そのため、立ち回りでこの距離を避ける工夫が必要になる。

敵の位置は把握できていないが、敵がいることを前提にリスクを察知、エイムを置くYudai

敵が赤枠で囲んだ家にいるが、足音マークは出ないので、敵の次の動きが予測しづらい。とはいえ安全地帯は毎試合ランダムに決まるので、時にはやむなくこの距離で戦う必要が出てくる。その場合は射線の通りを気にしながら、遮蔽や死角が多い場所は慎重にクリアリングし、強ポジには敵がいるという前提でエイムを置いておく。FPSにおいては基本的なことだが、これで大体なんとかなっている。

必勝法3:敵を目視できる状況や距離で戦う

視覚情報のみで戦えるような立ち回り方ができれば、難聴のハンデを限りなく小さくできる。私ならスクアッドの場合、敵4人が目視できる中・遠距離が1番戦いやすい。
近距離は敵の位置が目視・予測できているならよいが、マンションやスクールなどの階層があって広い建物内だと、ミニマップがあっても敵の位置を絞るのが難しいため、外側から敵の出方を伺って位置を確認するようにしている。

索敵しやすい高所ポジに行きがちなYudai

私にとってのゲーム〜難聴でもFPSを楽しむには

私は幼少期から色々なジャンルのゲームをプレイしてきたが、1番好きなのは対人戦ものだった。私にとってゲームとは、勝負を通して友人とコミュニケーションを取り、友情を深めるツールだった。アイツに勝つためにどうしたらいいんだろうか?と試行錯誤している間が、私にとって1番楽しい時間だったと思う。PUBG MOBILEでもそれは同じで、フレンドと競い合って高みを目指すことがモチベーションに繋がっている。

ゲームが好きでも、難聴だからFPSはできない、勝てないからつまらないと思う人がもしかしたらいるかもしれない。そういう人達に私が伝えたいのは、難聴のハンデは経験や知識次第でカバーできるし、自分なりの立ち回り方を模索していくことはとても面白いということだ。

昨今はプロゲーマーという職業が世間に認知されつつあり、eスポーツも発展の兆しを見せている中で、FPSという競技はより盛り上がっていくと思われる。その第一線で難聴プレイヤーが活躍している場面を見てみたいという気持ちで、執筆させて頂いた。この記事がFPSを始めるきっかけや、参考になれば嬉しいと思う。

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Yudai

北海道札幌市在住。 幼少時、病気の後遺症で両耳の聴力を失う。 三度の飯よりゲームが好き。

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