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プレイレポート

全盲の僕でもパワプロをやりたくて試したこと

目が見えないわたしとゲームの出会い

皆さん、はじめまして。北村直也と申します。生まれつき全盲の26歳男子です。

私には野球観戦とゲームプレイという二つの趣味があります。

今回は全盲×ゲーム×野球という視点で執筆させていただきました。どうぞお付き合いください。

全盲の私ですが、男3人兄弟だったこともあり、身近にゲームがありました。

戦って敵を倒すだけで秘密キャラクターや必殺技が解放されるゲームは、操作方法さえ分かればプレイできます。

コンピュータ相手はもちろん、兄弟や同じゲームを持つ友達と互角に対戦していました。

その中でも、あるテニスのゲームには、画面が見えなくても完璧にプレイできる理想的な機能が搭載されていたことを覚えています。

相手がどんな球を打ったかキャラクターボイスが教えてくれる、勝手にボールを拾いに行ってくれる、キー操作が単純。

このゲームでは見えないからという理由で悔しい思いをしたことはありません。

一方で、同じように戦いが主なのに攻略が難しいジャンルのゲームがあります。

RPGです。

ゲーム中の会話が画面上で行われることはもちろん、特定の場所に行かなければいけないのは画面を見ずにプレイする私にとって高いハードルでした。

そのときは家族に特定の操作のみお願いしていましたね。

歳を重ねるごとにあまりやらなくなってしまいましたが、私は列記とした全盲ゲーマーです。

PS4を手にイヤホンから流れる音に注力しながらパワフルプロ野球をプレイする著者・北村直也の写真
著者:北村直也(全盲ゲーマー)

 

ラジオ中継に引きつけられ野球ファンに

そして、もう一つの趣味である野球観戦についてです。

観戦といっても球場で見ることよりも、ラジオで聞くことが多いです。

むしろ年間100試合は野球の実況中継を10分以上は聞いていると思います。

私が野球と出会ったのは2002年です。

父と兄が野球好きで、テレビで野球を見ていました。

私はテレビだと状況がわからなかったので一緒にラジオで聞いてみようと思ったのが始まりです。

アナウンサーは試合の展開によって実況のギアを変えています。

終盤、逆転のチャンスであれば観客の応援と同じようにアナウンサーの声にも熱がこもります。

そこで本当に逆転の一打が生まれようものなら、球場の歓声と実況でお祭り騒ぎです。

それから、試合が終わる瞬間にも観客とアナウンサーの思いが電波に乗ります。

その声で伝わる臨場感やワクワクする気持ちに引き込まれ、私にとって野球観戦はなくてはならないものになっていました。

「見えなくても、パワプロがしたい!」 編み出したプレイ法

パワフルプロ野球のキャラクター・パワプロくんと肩を組む北村直也のイラスト。「目指せ!全盲ゲーム界の強肩」のテキスト

野球観戦が趣味の私ですが、もちろん野球選手になりたかったと思うことはあります。

ピッチャーとしてチームを支えるとか、4番バッターとして試合を決めてヒーローになることは今でも遠い憧れです。

そしてあるとき、私は実況パワフルプロ野球に出会いました。

野球好きの兄がプレイしていたのです。

その様子を観察しながら気づきました。

パワプロでは、ピッチャーがボールを投げると専用の効果音が再生されるのだから、もしかして音を聞いてタイミングを合わせれば打てるのではないかと。

音を聞いてタイミングを合わせるってもはや別のゲームですよね。

試合設定と工夫

その後、ネットで情報を集めてパワプロ2016を購入しました。

調べていくと、パワプロは野球におけるいくつかの行程について設定することができることを知りました。

その設定とは、おおまかにいうと自分で行うかコンピュータにやらせるかです。

私は以下のように設定しました。

バッティング:振るだけ

ピッチング:マニュアル

走塁、守備、監督:オート

バッティング・ピッチングの設定

バッティングの振るだけというのは、タイミングを合わせればいいだけの設定です。

バッティングでは自分で打ち方から設定できる完全なマニュアル設定もあるようです。

ピッチングは、ほとんどを自分で行います。

ピッチングでは矢印キーで球種とコースを選択してボタンを押します。

どこを押せば何を投げることができるかということと、どのピッチャーがどの球種を投げられるかを覚える必要はありますが、これだけでも作戦を立てて投球することが可能です。

走塁の設定

走塁では打球の行方をうかがって次の塁を狙うかの判断をします。これは打球の行方が画面上にしか出ないため、私には判断が難しいと感じました。

オートにすれば、コンピュータが勝手に動きます。

たまに次の塁を狙ってアウトになってますが、2塁からシングルヒットでホームインできたときにはナイス! って思います。

守備の設定

守備は打球をキャッチし、ランナーをアウトにしたり、これ以上の進塁を防ぐプロセスです。

さすがに、ボールを追いかけるのは音もしないので難しいですし、とったあとの送球も見えなければ難しいです。

たとえば、ランナーが1塁で相手が内野ごろを打った場合。それは2塁に投げればアウトになってダブルプレイがとれるかもしれないし、2塁に投げることによってランナーがオールセーフになるピンチになることもあり得ます。

もちろん、1塁に投げて確実にアウトをとる選択もありますが、そういうときは以外とそのあと点が入ってしまうものです。

ということで、捕球も送球もコンピュータにおまかせです。

監督の設定

これは試合のスタメン設定や試合中の選手交代の操作です。

今は画面の構造がわからずにオートにしていますが、ペナントレース中にピッチャーに7連投をさせて負傷させたり、勝負どころで勝負にいかなかったり、少なくとも自分とは考え方が違う監督なので、画面をマスターできたら自分で操作したいです。

とはいっても、打ちこまれているピッチャーを変えられないよりは全然ましですけどね。

実際のプレイ 攻撃編

ここからは上記の設定で実際にプレイしたお話です。

私はパワプロをするとき、主にペナントレースモードを使います。

これは実際にNPBのペナントと同じように143試合を戦います。

攻撃時は相手が投げたときに音がするのでそれに合わせてボタンを押します。

ストライク、ボール、ファールは審判がコールしてくれますし、打った後の状況は実況が教えてくれます。

さすがは実況パワフルプロ野球。

本当にラジオみたいな実況で状況を的確に伝えてくれます。

また、バックで歓声が流れていて、歓声の盛り上がりの違いで自分の打球がヒットになりそうかアウトになりそうかがわかります。

大歓声のときに外野手にキャッチされるとかなり落胆するのですが、それって実際の野球も同じですよね。

ただ、実は攻撃時に大きな問題があります。

それは、相手が投げたボールの球種やコースがまったくわからないことです。

想像してみてください。

150キロのストレートと、110キロのチェンジアップが同じに聞こえることを。

そのため、私は状況を見てタイミングを合わせるのではなく、球種もコースも予想してバットを振ります。

おかげで、スローボールやチェンジアップが主体のピッチャーが先発すると、三振の山を築かれます。

過去に一度完全試合をやられたのですが、相手はストレートとチェンジアップのピッチャーでした。

さらに、コースを見極めることができないので、ボール球でも振らなければなりません。

もし、そのボールが絶好な甘い球だったら見逃すわけにはいかないですから。

一つだけ面白いエピソードですが、1アウトフルベースでピッチャーが打席に入っていまして、内野ごろゲッツーは避けたいのでバットを振らないつもりで打席に立ちました。

その結果は四球。さすがにそんな極端なことは一度だけですが、ストライクとボールの見極めができるともっと楽しく野球ができそうです。

それでも、チャンスを作るとチャンステーマが流れたり、最終回に逆転したこと、さよならを決めたこと、5点差を追いついたこと、オールスターでホームランを打ちまくったこと、そこには野球選手としてゲーム機を操作する私がいるような感覚になります。

実際のプレイ 守備編

次は守備です。

これは投げる以外に私の操作はありません。

ひたすら球種とコースを考えて投球するのみです。

パワプロ全体に言えることですが、実際の選手のデータが能力に反映されています。

普段野球に触れる生活をしていると、有名なピッチャーであればどのような球種を決め球に使うか、どのボールが評価されてドラフトで獲得されたのかという情報が入ってきます。

情報通りに投球してみると、急に打たれる回数は減りました。

私の特徴なのかもしれませんが、ピッチャーにヒットを打たれます。

強打者には落ちるボールを使って抑えにいきますが、ピッチャーには使いません。

変化球は多くの体力を消費し、打たれるのが早いか、降板が早くなってしまいます。そ

のために使いどころは選んでいます。

実況が球種とコースを教えてくれますが、実際にどれだけ狙うことができているかはわかりません。

きわどいボールなのか、たまたま相手が見逃したけど危ないボールだったのか。

そんな理由だからストレートは打たれやすいのかなと勝手に思っています。

とはいえ、バッティングと同じようにピンチの緊張感も、切り抜けたあとのやったぜ感は本当に試合中のような気がしています。

パワプロのアクセシビリティ「これがあればもっと楽しい!」

北村直也の建設的要望をまとめたイラスト。一つ目が玉の方向や速度音を把握するためのサウンドの充実。二つ目がスタメン決めやトレードを可能にしてくれるメニューの音声読み上げ対応。

視覚障害があってもパワプロをプレイすることはできます。

それでも、これを取り入れればもっと楽しめると思ったことを二つ紹介します。

1.サウンドの充実(球の方向や速度など)

今でも投げることと打つこと、最低限のプレイはできています。

ただ、スピードや球の方向が音を聞いて分かれば、もっと実際に近いプレイができると思っています。

そうすればバッティングだけではなくてボールの音に合わせて矢印キーを押して捕球することも、ランナーの位置がわかって送球先を決めることだってできるかもしれません。

音で提供できる情報には限界があり、すべては難しいことは承知していますが、ぜひ要望したいです。

2.メニューの読み上げ

現在はセーブとロードの操作方法だけ教えてもらいました。

メニューの音声読み上げがあれば、自分でスタメンを決めることも、ペナントならトレードをすることもできます。

選手の成績などは後回しにして、こちらで決める必要があるものの読み上げ対応をお願いしたいです。

イースポーツプレイヤーとして野球がしたい

ここまで私がゲームと野球の二つに出会った背景からパワプロをプレイすることについて書かせていただきました。

eスポーツが流行りだし、パワプロのリーグも開催されています。

野球好きの視覚障害者がその大会でプレイしている、そんな状況を実現させるために私も勉強と活動に力を入れていきます。

応援していただけると嬉しいです。

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youtube: https://www.youtube.com/channel/UCEZzytHkBncDjuxdjltt28A

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北村 直也(きたむら なおや)

声優、エンジニア、大の野球好き。 不可能を可能にする男というキャッチコピーのもと、誰もなしえなかった「視覚障害を持つ声優」に挑戦中。その状況を日々SNSで発信しているのだが、フォロワーから「野球の人」という印象が持たれるほど、野球ツイートも熱い!さあ、野球アニメに出よう。

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