ePARA大会 イベントレポート

進行性筋ジストロフィーのパラeスポーツプレイヤーTATSUYAのePARA2020レポート

障害者も健常者もバリアフリーに参加できるオンラインeスポーツイベント「バリアフリー eスポーツ ePARA2020」が2020年5月31日(日曜日)に開催された。

まずは、ePARAサイトへ寄稿させて頂くのは初めてになるので簡単な自己紹介を。現在、BASE株式会社・名古屋OJA所属のパラeスポーツプレイヤーとして活動中。アスリート活動を通して日々企業のPRに貢献している。

eスポーツに携わる前は、パラリンピック競技にも選ばれている「ボッチャ」という競技で日本一を二度経験。その経験を活かし昨年の11月から企業でeスポーツ選手をしている。

電動車椅子ユーザーで障害としては、「進行性筋ジストロフィー」というもので身体の筋肉が壊れやすく、再生されにくいという症状がある疾患。中でも私は軽度なため活動量をコントロールすることである程度症状を緩和することは可能だ。

今回は選手目線で出場レポートをお届けする。

「ブロスタ」の特徴・勝利を分けるポイント

ブロスタの特徴は、『3つの操作で手軽にできるアクションシューティングゲーム』というのが一番分かりやすいだろう。基本は移動、攻撃、必殺技の3択でじゃんけんのような簡単な操作システムだ。

アスリート目線で見た時、ブロスタの勝ち負けは何で決まるのかと言うと、エメラルドと呼ばれるパワーアップアイテムが終盤までにどれだけ多く持てているかで勝敗が決まってくると感じている。
一見すると出会った敵を倒すことが勝利に繋がる様に思えるが、プレイを重ねていくにつれて戦うことだけが正義ではないと分かる。
どんなゲームでも言えるのだが、立ち回り(戦術)がやはり一番重要なのだろうなと思う。

大会に向けた準備

BASEでのアスリート活動は大会で高い競技実績を獲得するためにeスポーツタイトルの練習自体が業務となっている。そのため、短期間で実績を得やすい体系だ。

大会までは、事前準備として目標設定から始まっている。優勝を目標に掲げ、どういうプロセスを経たら目標に近づくのかを必ず確認をする。
練習は主に、大会で決められたレギュレーション設定に近づけた状況でゲームをプレイすること、動画研究、チーム練習等を行っている。

また、私は、個人的に決めているルーティンがある。大会1時間前にコーヒーを飲み、同じ音楽をリピートで流すというルーティーンだ。どちらも大会で集中するために行う動作である。
毎回、これらの準備が出来ている前提でアスリート活動を営んでいる。

大会前の雰囲気

私は今回、Supercell提供の「ブロスタ」というゲームの選手として参加した。

「ブロスタ」は、iOS/Android用のオンラインストラテジーゲーム。ユニークなキャラクターを操り、3分間の時間制限で3vs3のチーム戦やバトルロイヤル等のゲームモードに挑戦するアクションゲームである。

今回のイベントでは、選手たちはLINEオープンチャット(誰でも参加できるグループを作成して友だち以外のユーザーとも交流できるチャット)を使用、当日ここへ集合した。選手の控室=LINEオープンチャットという感覚だ。
イベントとしては11時開始だが、9時30分から集まっている選手もおり気合十分だ。

チャットのやりとりで「コーヒー飲んで集中します」というコメントを見たときゲーマーはカフェインが必需品なのかと感じられた。先述の通り私もルーティーンとして開始1時間前にコーヒーを飲んで本番の時を待っていた。

そして、大会前の独特な雰囲気の中、試合の時間を迎えることになったのだ。

実況について

実況を担当していたのはなんと、岸大河様だ。

元トッププレイヤーでFPSを中心に複数のタイトルで国内大会を制覇し、アジア大会でも優勝経験もあり実力も実況技術もプロ中のプロである。そんなお方に実況して頂けた経験は貴重だった。私の本音のところは岸大河様のようなポジションを将来目指していたりする。

ところで実況で受けた感想だが、観客(視聴者)を盛り上げるだけでなく選手自身を鼓舞するように実況をしている印象を受けた。選手としても試合の合間に配信を見てると大変心地が良かった。eスポーツにかける熱さと時間は万人ではないなと感じ、圧巻の実況だった。

オンラインでも隠しきれない熱さは相当なものだ。真似できるところは真似したいものだ。

「ブロスタ」予選

一般募集で集まった障害者・健常者が入れ混ざっての対戦で、賞金もかかったもので選手に普段より熱が入っていた。予選は36名が3試合実施して各グループ上位4名が準決勝へ進出するのだ。

予選使用マップは「天国と地獄」。中央に隠れられるブッシュ(草むら)とエメラルドが設定されているのが特徴的だ。エメラルドというものを集めればパワーUPになるので、多く持っていればいるほど後半優位に戦っていける。予選では「ブル」「ジャッキー」「ローサ」といった近接系のキャラクターが大暴れしていた。

また、火力のあるキャラクターも最後まで優位に戦えていた印象だ。序盤からレベルの高い試合で生き残ることが難しいバトルロイヤルモードではあったが、試合終盤まで生存している選手が多かった。

私は、予選Bグループ5thにて大会を終えた。予選敗退という結果にはなったが収穫の多い大会となった。しかしながら悔しさはひとしおだ。この気持ちと経験を背負い次回の大会に向けて準備を進めたい。

「ブロスタ」準決勝・決勝

準決勝・決勝の使用マップは、「ビューポイント」。
壁が多く、近距離キャラが活躍しやすいのが特徴だ。準決勝・決勝では使用キャラクターは「ローサ」、「シェリー」が多い一方で、序盤は「ブル」が好成績を収めていた。

上級者になると多様なキャラクターを使いこなしているイメージを受けた。1発1発が強力な攻撃を如何に的確に撃てるかが勝ちに繋がっていた印象だ。
途中ボットが暴れるシーンがあり、大会では何が起こるか分からない手に汗握る展開が巻き起こっていた。

最終戦の優勝シーンはシェリーのスキルを使用し敵の攻撃を避けて試合が決まる、というテクニカルな展開だった。決勝の感想としては撃ち合いだけではなく、ガジェットの使用方法が上手な選手が最後まで残っており、ここまでの練習量が強さを物語っていた。キャラクターの個性と選手の個性が一致したとき、真の強さが発揮されるのだろう、「ブロスタ」というゲームは。

私は予選敗退となった訳だが、同所属であるBASEの選手が優勝できたことは大変嬉しかった。
前回大会(鉄拳7チーム戦)は2位止まりで、どうしたら勝てるのかを模索中の出来事でこの結果が出たため、大きな一歩を踏み出せた感覚だ。
きっと今の私にできることは、こうして文章化して選手のeスポーツにかける熱い気持ちを伝えていくことだと思う。

改めて、yujikun選手1stおめでとう。

まとめ

ePARA2020という大会では優勝を目指していただけに、非常に悔しい思いでいっぱいだ。
悔しさを行動で表現すると、シャワーを浴びながら涙を流していたぐらい大量の涙で大会を終えた。自身が負けず嫌いという側面もあるが大会終了後、一週間程度悔しさが続いていた。

アスリートは次に繋げるために負けは自分で背負い、強くなるための努力をしていくことができる唯一の職業で、私はきっと一生続けていくであろうものだ。
私は、ePARA2019大会出場からアスリート活動を開始した。そんな経緯もあるためePARAの大会には非常に思い入れがある。

次回の大会ではリベンジ優勝を果たすことが目標だ。涙を勝利の汗に変えていきたい。

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TATSUYA

BASE株式会社・名古屋OJA所属のパラeスポーツプレイヤー。
進行性筋ジストロフィーの障害を持ち、日々電動車椅子を使用している。
「ボッチャ」で日本一を二度経験した経歴も持つ。

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