イベントレポート

パラeスポーツプレイヤー・ジジの学びと描く未来予想図

こんにちは、ジジと申します。昨年11月、Team-ePARA仲間のたまさんと共に「ESPORTS BEYOND SHIBUYA CUP2020」に参加いたしました。このイベントで印象に残ったことを、自身のパラ eスポーツプレイヤー+パラスポーツ選手としての経験を踏まえて執筆します。また、私事ですが2021年1月より株式会社CS entertainmentでCALL OF DUTY:MOBILEを中心としたゲーム配信を行っていくことになりました。新たな挑戦に向けた思いと、今後のePARAとの関わりについても合わせて綴ります。

ESPORTS BEYOND SHIBUYA CUP2020に参加

前半のトークセッションは、アドビ株式会社教育市場部マーケティングマネージャーの原渓太氏とN高等学校(N高)副校長の吉村総一郎氏による対談でした。非常に興味深い内容を聞くことができました。後半はN高等学校 eスポーツ部 League of Legends部門 「KDG N1」 vs League of Legends ストリーマー + プロチーム所属選手 の試合は白熱した試合展開でした。「KDG N1」のエキシビジョンマッチでした。「KDG N1」のコミュニケーションの量と、ストリーマー + プロチーム所属選手の冷静な判断・個々の実力・状況把握能力が際立ってしました。今回は特に前半のトークセッションで感じたことをレポートします。

eスポーツは 1 つのコンテンツ

まず初めに今回のイベントの一つの大きなメッセージとして、eスポーツは今ではしっかりとしたコンテンツであるというものがありました。教育観点からはネガティブなイメージが先行されがちなeスポーツですが、今まで陰に埋れてきていたポジティブな面も多くあります。例えばゲームを通してコミュニティに加わることができますし、eスポーツが仕事として成立することも増えています。前半のトークセッションでは、このようなポジティブな側面を発信していくためには大人の意識改革が重要だという点が語られました。2020年のようにコロナ禍でオフラインのイベントが続々と中止を余儀なくされた中で、eスポーツは全てをオンラインで完結することができるメリットもあり、気軽に盛大に盛り上げることができるコンテンツになると感じました。

eスポーツでインスタ映え!?

YouTube などの動画配信サービスを気軽に利用できるようになる昨今、誰でもクリエイティブツールを使って手軽に「映え」を作ることができることが可能になってきました。そして、ゲーミング環境やデスク周りのセンスをインスタでシェアして映えを狙うなど、ゲームに関連するSNS投稿なども多く見られるようになりました。加えて今後は、クリエイティブツールを使って自分自身をアピールしたり、自身の個性を引き出すことでさらに SNS 映えを狙うことや、自分の得意をアピールした動画を作成すること、所属するチームのロゴを自分たちで作成することが当たり前になります。「自分自身の手で SNS 映えを描き、自分たちのチームを自分たちでデザインする」。Adobeさんはそんな世界を支えているように感じました。

eスポーツは学校のような成長の場

SNS の普及により、これまでとは比べ物にならないほど他者と関わるのが簡単になってきました。それによって様々なコミュニティに気軽に参加することができます。互いの年齢などわからないコミュニティで相手に常に敬意を払って接したりする中で、学校と同じように成長することができます。N 高さんの紹介されていた具体例では、不登校だった学生が eスポーツのコミュニティを通して自身でチームを作り、その後マネージメントや大会運営などを自ら行うようになった方がいらっしゃいます。「eスポーツのコミュニティはモチベーションを高く保ちながら目標をクリアしていくことができる」と N 高吉村氏は言います。

高校eスポーツの課題と可能性

eスポーツに様々な利点がある中、見過ごすことのできない課題もあります。それは暴言や差別が非常に多いことです。実際 、「eスポーツの観戦は好きだが、プレイヤーの暴言などが多くて応援したくならない」という声はたくさんあります。私自身もゲーム用の SNS のアカウントで障がい者を差別する発言や暴言など非常に多くを見てきましたし、その度に残念な気持ちになってきました。そんな中 N 高では暴言、煽り行為を禁止し、人間性の教育にも力を入れているそうです。「eスポーツに対する認識が少しずつ変わり始めている現在、eスポーツでの成績や実績が就職にいかされる時代だ」と N 高吉村氏。クリエイティングツールで得た能力などは就職時に評価されるようになります。今では eスポーツ勝つことだけが重要ではなく、eスポーツを通して何を学ぶのか、その後の人生のどう活かしていくのかが重要になってきていると感じます。これらの実現のためにもこれから世間が eスポーツをどのように認識していくかが非常に大事になってくると感じました。

CS entertainment社でゲーム配信者としてやりたいこと

Team-ePARAで得たこと

私はePARAでの活動を通して、先述の通りプロチームを有する会社「CS entertainment」に新たに所属し、障がい者eスポーツの可能性を配信していく立場になりました。そこではePARAで学んだ様々なことを伝えていきたいです。

まずは障がい者eスポーツの競技性です。様々な障がいを持った人たちが同じ目標を持って一つのチームを作ることで健常者のeスポーツには無い難しさがあり、お互いのプレイへの理解だけではなく障がいへの理解が必要不可欠になります。一つのチームとして連携を取るのに必要な練習量は健常者のそれとは異なる性質のものとなりますし、相応な練習量も求められます。

次に多種多様な障がいについての理解です。Team-ePARAのキャプテンとしてCall of Duty:Mobileの大会に出るにあたり、お互いの障がいに対する理解が必要となりました。そこで私は今まで関わったことのない障がいを持っているチームメイトの障がいについて知ることができました。パラテコンドーでは同じ上肢障がいを持つ選手たちと関わることが多かったのに対し、この経験は非常に新鮮でした。

そしてコミュニティの大切さです。世の中には自分が思っている以上に沢山の障がい者がいて知らないうちに関わっているかもしれない。そう思わせてくれたのが障がい者のコミュニティであるePARAです。話してみると障がいなんて無いのではないかと思えるほどニコニコと笑っている人が難病を持っていたり、名前を挨拶にされ毎日の笑顔のもとになったり、健常者に言われれば差別的だと思われるようなことでも障がい者同士で少しいじって笑いあったり。そんなことは種類は違えど同じ障がいを持った、同じような思いをしたことのある人が集まったコミュニティではじめて実現するものなのではないかと思います。

ePARAの掲げるバリアフリーeスポーツの魅力は、こうした学びを得ながらバリアを超えていった先にある共感とコミュニケーションにあるように思います。

そんなことをゲーム配信をしながら伝えていくことで障がいに対して差別的な考えを持つ人が多いゲームの世界で人々の考えを、そして障がい者に深く関わる健常者のesportsに対する負のイメージを少しずつ変えていきたいです。そうすることでパラeスポーツ、バリアフリーeスポーツの価値を高めていけると思います。

CS entertainmentとePARAをつなぐ架け橋として

ePARAが掲げる「バリアフリーeスポーツ」は、「障がい者eスポーツ」とは似ていて非なるものです。「バリアフリーeスポーツ」とは、「年齢・性別・時間・場所・障害の有無を問わず参加できる環境の下で行われるeスポーツ」です。この価値を浸透させる第1ステップとして、私たちのような障がい者が活躍する様子を体現し、「バリアフリーeスポーツ」の文化を徐々に世間に浸透させていけたら良いと思います。

様々なことを発信していくことができる立場になった今、引き続きePARAで障がい者eスポーツ・バリアフリーeスポーツの価値を考え続け、その価値を発信していきたいです。そしてこれまでePARAで関わった人々や新しく加わるePARAの方々を紹介しながら、こんなにもeスポーツを楽しむ障がい者にもたくさんが居るんだと人々に伝えていきたいです。そうすることで上肢障がいのみならず様々な障がいに対する理解が得られると感じます。また、自分の障がいを人々に知ってもらうことで、障がいを持つ人たちの新たな自信に繋げていくことができればいいなと思います。私自身、CS entertainment とePARAの活動に積極的に参加し、広めていくことで共に障がい者eスポーツの価値を高めていきたいです。そうした活動が実り、障がい者eスポーツ・バリアフリーeスポーツの価値を高め、より大規模なイベントや大会などができるようになって初めて自分の活動に価値があったんだと思える未来を切り開いていきたいと思います。

ジジの執筆記事

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上肢障害のパラテコンドー元日本代表選手がFPSをガチで戦った 狙うはパラeスポーツのトップ (ゲームクロス 寄稿記事)
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ジジ

パラテコンドー、2020年東京オリンピック出場に向け、日本代表の強化指定選手だった。最近はパラeスポーツの頂点を目指しながら日本のパラeスポーツを盛り上げ、世界で戦うことを夢に持つ。

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