2020年11月15日、渋谷区・一般社団法人渋谷未来デザイン・株式会社プレイブレーンの協同による新規eスポーツ事業「ESPORTS BEYOND」が主催するイベント「ESPORTS BEYOND SHIBUYA CUP2020」が開催されました。筆者・たまは、バリアフリーeスポーツ ePARA CHAMPIONSHIPの前半戦、CALL OF DUTY MOBILEにて共闘したジジ選手と共に、このイベントへ参加いたしました。今回はその内容と、それを踏まえたバリアフリーeスポーツについて個人的に思うことを記事にまとめました。
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ESPORTS BEYOND SHIBUYA CUP 2020とは
“Esportsを中心に、教育、福祉、地域創生、産業振興につながるシステムと、新たなカルチャーを生み出す企画などを生み出すこと”(Esports BeyondのHPより抜粋)を企図としたプロジェクト「Esports Beyond」。そのイベントとして開催されたのがESPORTS BEYOND SHIBUYA CUP2020です。イベントの流れとして、前半部でトークセッション、後半部でRiot Gamesの有名タイトル”League of Legend”のエキシビジョンマッチの二部構成で行われました。時系列に沿って各部ごとの内容をご紹介します。(Youtubeに公開されているESPORTS BEYOND SHIBUYA CUP2020当日の映像はこちらです)

トークセッション:「Esportsと教育の関わり 」(Adobe x N高等学校)
前半のトークセッションは、学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校より 副校長の吉村氏、アドビ株式会社より教育市場部 マーケティングマネージャーの原氏の両氏により「Esportsと教育の関わり」をテーマに行われました。“高校教育×Esportsがもたらす可能性”というテーマから始まり、”Esportsに取り組む生徒達の意識”や”高校生Esports大会の課題”について議論が展開されました。
トークの要約は以下です。
- 部活動としてのeスポーツは、教育的観点からとても役に立つ。
- 生徒が競技に出ることで目標設定・課題発見と解決能力を養うことができる。
- チームメンバーとのやり取りはコミュニケーション能力を、部内でチームを作ることや内々での大会を開催するマネジメント能力の醸成につながる。
- 部でのコミュニティ活動を活かしてAO入試での大学進学・就職につながった事例や、個々の動画配信者として活躍し始めた事例もある。
- 生徒に対して、大人側はゲームに打ち込むことをポジティブなものとして理解が必要。
- ゲームが人格形成・成長に役立つ反面、ネットゲームの世界では暴言・差別発言・煽りなどのマナーの面で問題が存在する。生徒がゲームの強い・弱いに関わらず、相手に敬意を払うことのできる人格形成ができるよう大人側が配慮する必要がある。
- 大人側として、特に先生は、参加するチームのメンバーを集めたり、参加するゲームタイトルの表現規定(残虐・流血表現など)のチェックをしたりなど、他の部活動同様に生徒への支援ができると望ましい。そうすることでより多くの生徒の才能を活かすことができ、学校への帰属意識も上がる。
League of Legends エキシビションマッチ
後半のエキシビジョンマッチでは、League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド、通称LoL)をタイトルとし、学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校のeスポーツチーム“KDG N1”と、League of Legends ストリーマー + プロチーム所属選手による対決が行われました。両チームの特徴は以下です。
◆N高等学校 eスポーツ部 League of Legends部門 「KDG N1」
2020年9月19日~22日に開催された高校対抗eスポーツ大会第2回『STAGE:0』League of Legends部門に優勝し、昨年の夏冬に続き3連覇を達成した常勝の高校生チーム。チームリーダーのPrimo選手、第2回『STAGE:0』決勝MVPプレイヤーのrre選手、プロゲーミングチームRascal Jester所属でモデルとしても活躍するShakeSpeare選手らを擁します。
◆League of Legends ストリーマー + プロチーム所属選手
2020年春までBurning Coreのプロゲーマーとして活躍していたRoki選手、2019年の『STAGE:0』決勝でN高と熱戦を繰り広げた岡山共生の卒業生Akabuff選手、twitter/YouTube/Twich等の配信で定評のあるしゃるる選手、たぬき忍者選手、らいじん選手で構成されるスペシャルチームです。
両チームの熱戦を、LJLのオフィシャルキャスターkatsudion氏、Lillebelt氏、Jaeger氏、Recruit氏の実況・解説が盛り上げてくれました。
ESPORTS BEYOND SHIBUYA CUP 2020で筆者・たまが感じたこと
N高eスポーツ部とePARAの共通点
率直に感じたこととして、N高等学校のeスポーツ部の取り組みがePARAの活動と共通する部分を感じました。先日開催されたバリアフリーeスポーツePARA CHAMPIONSHIPは、ePARA所属のスタッフによって運営されています。そして、ePARAでは、関わったプレイヤーや運営のサポーターは、大会記録・業務実績・執筆した記事等を就職活動など活用していくことを推奨しています。
筆者は、10月17日と11月22日に開催されたePARA CHAMPIONSHIPにTeam-ePARAのメンバーとして参戦しました。前半戦ではプレイヤーとして、後半戦では全盲でも「鉄拳7」で戦いたい! Team-ePARAの新たな挑戦でも紹介されている全盲のプレイヤー2人をサポートするプロジェクトマネージャーとして戦いました。大会の結果の如何にかかわらず、これらの経験で得るものが多かったと実感しております。(詳細は別記事にて記載します) このような経験を高校生の段階で積めることは大変大きな糧になると思います、
率直に言うと羨ましいです。教育現場にゲームが取り入れられるということは、筆者の中高生時代では考えられないことでした。もし筆者が高校進学の際にN高が存在していたら、進路として選んでいたかもしれません。業種や働き方にもよるとは思いますが、その仕事の為だけにチームを募り、仕事が完了したら解散する、いわゆるプロジェクト方式の仕事が多い今、N高等学校のEspots部の卒業生が即戦力として活躍する姿が容易に想像できます。N高生おそるべしという印象です。

オフラインで行われるeスポーツの臨場感
筆者たまは、eスポーツ大会出場経験はあるものの、会場でのeスポーツ観戦は初めてでした。実際にオフラインのイベントを体験して分かったこととして、オンライン配信だけでは伝わらないものが多々あることに気づかされました。会場の空気感、両チームのメンバーから伝わる熱量など、映像媒体として切り抜かれたものからでは得られない雰囲気を肌身で感じることができました。恥ずかしながら、League of Legendsのプレイ経験のない筆者はルールや状況が今一つ分からないまま観戦していましたが、臨場感と選手からの熱量だけでも十分楽しめました。コロナウィルス感染拡大の影響でeスポーツ大会の開催が難しい昨今ですが、読者の方々には機会があれば是非とも体験していただきたいです。
まとめ
ゲーム体験が教育現場に”教育のツール”として普及し始めているという現実を目の当たりにして、改めてeスポーツの可能性を感じました。同時に、今後自分とePARAの仲間たちで活躍する場がさらに増えていくと思うと、楽しみでなりません。大変おこがましい話ではあるのですが、自分やePARAのメンバーが活躍して実績を残すことにもっと社会的な価値を発信できるのではないか、と思うところがありました。障害の有無に関係なく、プレイヤー・運営サポート・ライターなど多様な活躍する道があると示すことで、障害者が経済的な自立と社会とのつながりを得る手段になることを示すことが出来るのでは、と。
そんなバリアフリーeスポーツの世界を広げていくために今できる実績を着実かつしっかりと積んでいこうと思います。