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座談会 障害とゲーム

プルーンベリー症候群のyujikun、勝ちたい気持ちと応援する心【UNTAPPED vol.01】

バリアフリーeスポーツ対談「UNTAPPED」は、バリアフリーeスポーツをテーマに、さまざまな障害を持つeスポーツ関係者にJeniがインタビューをしていく企画です。

第1回目のお相手は、BASE株式会社 Athlete Group所属のyujikun。先天性プルーンベリー症候群で、排尿器官などに障害があるyujikunに、eスポーツへの思いや障害による苦労などを語りました。

青い空と桜の花をバックにyujikunの顔が描かれたアイコン
Yujikun(先天性プルーンベリー症候群)

日本初のパラeスポーツアスリートとして、東京eスポーツフェスタを始め様々なイベントに出演した経験を持つ。得意なゲームタイトルは Apex Legends、Call of Duty: Mobile、PUBG MOBILE、VALORANT。バリアフリープロジェクトチームFortia(フォルティア)の一ユニットである「FPS Fortia」のメンバーとしても活躍しています。

参考記事:ePARA独自の雰囲気や運営を感じたPUBG MOBILE体験会

車椅子に乗ったjeniがキャラクターとポーズをとっているアイコン
Jeni(筋ジストロフィー)

デュシェンヌ型筋ジストロフィーのeスポーツプレイヤー。顎で操作するコントローラーを自作し、ストリートファイターVをプレイする格闘ゲーマー。先日の心眼CUP powered by SYCOM【ストリートファイターV チャンピオンエディション】でも優しくも厳しいコーチを務める。普段は車椅子で生活し、ePARAではリモートワークをしながら頼れる社員として活躍中。

参考記事:​​壁を壊すのは、いつだって内側からだ。 重度身体障害者の私がePARAに入社し、挑戦したい事

難病があるeスポーツプレイヤーとして活躍する二人の共通点

Jeni:それでは、今回第一回目のePARA対談企画ということで、まずyujikunの自己紹介からお願いします。

yujikun:BASE株式会社のAthlete Groupに所属し、日本初のパラeスポーツプレイヤーをしていて、yujikunという名前でゲームをやっています。コロナ禍前ぐらいから色々な登壇の機会をいただいて、メディア露出頑張るぞ、という時期もあったのですが、最近はどちらかというと企業交流の取り組みをたくさんやっています。最近も企業交流戦やオンラインイベントに参加しています。プレイする頻度が多いのは「Apex Legends」(以下Apex)ですが、僕はApexでプロチームに参加し競技シーンに出てるわけではないんです。Apexを通じて、企業さんに対戦してもらったり、大会に参加して知名度がもっと上がってくれたら嬉しいなとか思って参加したりしています。

Jeni:Apexだけをずっとやっているというより、今は企業交流などをメインでやっているんですね。過去に思い出に残っているゲームはありますか?

yujikun:「戦場のカルマ」というゲームや、「ペーパーマン」をやりましたね。その後は色々やって、一番思い出に残ってるのは「スペシャルフォース」ですね。

Jeni:ハンゲームですよね?あれは自分を形成したゲーム体験でした。めっちゃやってました。yujikunもやっていたんですね。

yujikun:ハンゲーム、懐かしいですね。そのころのゲームの友達で明るい人がいたのですが、もうリアルの友達より僕と仲良くて、毎日ずっと電話しながらゲームしたり、飼っている猫の相談とかしてたんです。10年以上たった今でも一緒に遊んだりしてるんですよ。そういう友達ができたのはやはりすごいことで、面白かったです。思い出として楽しかったからなのかなって。

Jeni:めちゃくちゃわかりますよ。今はもう一緒にゲームは殆どしないんですけど、Discordで集まってうだうだ言いながら映画見たり、健康の話ばっかりしたりしてるような感じになっています。最近は愚痴と健康の話しかしない、そんな歳になっちまったなと話しています。

yujikun:リアルよりも離れない関係、大切な仲間というのは、そういったところからできるんですよね。

お互いの障害から分かり合えてしまった、トイレの大変な話

yujikun:僕はプルーンベリー症候群で障害を持っているのですが、その特性の一つとして、お腹に腹筋がないんです、腹壁筋欠損。なので排便のコントロールが下手なんです。月に1回から3回ぐらいのペースで、ゲームの大会だったりとかランクマッチとか、何かゲームしてる最中に漏らしたりとかします。大会中にトイレに行っても全然問題ないんですが、自分の気持ちとしてプレイを放っておけないですよね。その時そうならないように、大会の前日からご飯を抜きたい、でもお腹減ってついつい食べちゃって漏らしちゃうみたいな葛藤が最近の課題です。

Jeni:自分も結構そういうのあって、お腹の力がないからトイレコントロールが難しいところがあるんですよね。外出前は出る出ない関係なしに朝に浣腸を使ったりしますね。

yujikun:一日中お腹が痛くなったりしませんか?

Jeni:朝に出ちゃえば大丈夫ですね。でもやっぱり出かけるときが、一番困りますよね。

yujikun:そうなんですよ。今はリモートですが、前職では通勤していて、食生活が乱れてしまったときに、朝の通勤ラッシュの駅でトイレまでは行けたのですが、お腹が痛すぎてトイレの中で倒れちゃって。緊急呼び出し用のブザーがあったので、何とか駅員さんを呼べたんですけど、あれがなかったら本当にずっと倒れていました。それで初めて駅で救急車に運ばれて病院に行きました。

Jeni:自分も旅先の事故はあったりしますよ。友達の結婚式に年の近い男性のヘルパーさんと2人で行ったんですけど、友達にヘルパーさんもたくさん飲まされてしまい、ベロンベロンに酔ってしまって。自分も少しならいいかなとお酒を飲んだら、お互いベロベロになってしまったんですね。帰り道でヘルパーさんがコンビニのトイレに入ったので待っていたのですが、その時に自分もお腹痛いのに、それを我慢してトイレから出てくるのをずっと待ってるということがあって。死にそうでしたね。酔っ払いに介護を頼むのは大変だなと。

痛みを紛らわすために飲むこともあったお酒

yujikun:僕の場合直接お腹に穴が開いていて、実はそのお腹の穴から菌が入って年に1回以上尿路感染症になっちゃったりもしていて、ひどいときは1ヶ月ぐらい毎日痛みで鳥肌立ちながら生活してました。通勤が結構しんどいですね。満員電車とか隣の人の肩に触れただけで鳥肌が立って痛くなっちゃったりするんです。でも仕事の帰り道にお酒を飲んだりとかすると、アルコールで若干痛みが紛れたりして。体調が悪いときにお酒を飲むことはありました。

Jeni:yujikunはDiscordのアイコンもお酒のアイコンですが、お酒大好きなんですね。

yujikun:そうそう、夜にバーに行くことが多く、渋谷の行きつけのバーがあって、お腹が痛いときは大体ここでお酒を飲んでました。僕、排尿するとき使い捨てのカテーテルを使うんですが、男性用のお手洗いにゴミ箱がないことが多いんですよね。

Jeni:確かにないかも。

yujikun:使った後のカテーテルを捨てる場所がないんで、汚いけど洗ってポケットに突っ込んだりしてたんですが、そのバーが僕のためにお手洗いにゴミ箱を設置してくれて。その恩義が大きくて、嬉しかったのでその店にずっと通っていました。

Jeni:いいですね。安心して行けるお店というのがあるんですね。行ってみたい。

yujikun:ぜひ行ってみてほしいです。もし来る機会とかあったらお声掛けしていただけたら僕もいくので。

Jeni:ぜひぜひぜひ。会わなきゃいけない人がいっぱい過ぎて、1回東京行ったら1週間くらい帰って来れなくなると思います。

yuijkunとJeniのこれからの展望と「勝ちたい気持ち」

Jeni:FPS Fortiaとしてこれからやっていきたいことはありますか?

yujikun:勝ちたいです。オープンな公式寄りの大会で勝って、チームの実績を出してみたいなと思っています。Jeniさんもこれからの思いはありますか?

Jeni:自分はこれからの「ePARA CARNIVAL」の準備を頑張っていて(対談は2022年4月)、先日までは「心眼カップ」の準備をずっとやってました。クリエイティブを作ったり、当日の運営もいろいろやってましたね。やっと終わったという感じで、6人教えるのは大変でした。時間調整をしなければいけないのもあるし、まんべんなく強くなってもらわなきゃいけないので。みんな勝ちたくてゲームをやっているので、そこをもっと自分の勝ち負け以上に勝ちにこだわってアプローチできることがあればいいのかな?と思いながら日々練習を見たりしてます。なので、そういった意味では競技者としての勝負ではないですけど、自分も勝ちにこだわってるのかな?勝ちたいのかな?と思ってるところですね。

困っている障害当事者や親御さんに発信という手助けを

yujikun:僕の罹っているプルーンベリー症候群は4万人から5万人に1人ぐらいで障害を持っていて、ネットで調べても、あまり情報が出てこないんですよ。僕が産まれた時は90%ぐらいの確率で産まれて1年以内ぐらいに亡くなっちゃう確率が高いと言われてたんですよ。Twitterやブログでプルーンベリー症候群を持って生まれた子供と、その親の方の「この先どうなるか不安だ」といったブログを見たことがあります。ですので、きっとこの先「きっと今の僕みたいな感じになって大丈夫ですよ」みたいな、その発信をしていけたら素敵かもしれません。自分は今のこの感じにすごく満足しているので、そういうのをもっともっとオープンに発信していける場があったらすごい良いなと。何かの大会で優勝するとか、そういう場に巡り合えるように頑張ります。僕が発信することで応援できるようになったらいいなと思っています。

Jeni:とてもいいですね。親御さんの話は聞いててすごい解ります。自分は田舎に住んでいますが、在宅でリモートワークで働いています。重度の身体障害でそういう働き方をしている人はなかなかいません。在宅リモート勤務というのが、地方だとあまり進んでないのでこれから発信していけたらと思っています。こういった話を伝えたりする活動は、今回の記事であったり、ePARAでできるところは大いにあると思うので、僕らもサポートしたいなと思っております。

あとがき

お酒の話や、なかなか聞くことのできない障害からの失敗談も交えながら、とても楽しく有意義な対談でした。「Jeniさんが岩手から東京に来ることができたら会いましょう」というお話まででき、もしかしたら今度はオフラインで笑い溢れる和やかな対談が繰り広げられるかもしれません。「発信を通して障害当事者・難病者を応援したい」という温かい思いと、「勝ちたい」という強い気持ちが入り混ざった素敵な対談でした。

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