株式会社ビーウィズロゴマーク BTOパソコンのサイコムロゴマーク ヨギボーロゴマーク ジョイサウンドロゴマーク

Fortia インタビュー

鉄拳プロプレイヤーS.H.O.WのあゆみとFightingFortiaへの思い~闘病からの成長を糧に〜

こんにちは。盲目の戦士「なおや」です。2021年10月、「バリアフリープロジェクトチームFortia(フォルティア)」からこの度、格闘ゲームを挑戦の舞台とする新ユニットFighting Fortia(ファイティング フォルティア)」が誕生しました。
今回は、FightingFortiaコーチングスタッフを務めるみんなの師匠、鉄拳7プレイヤーのS.H.O.W@ShowYama)さんにお話を伺いました。

S.H.O.Wさんのあゆみ、鉄拳7との出会いからターニングポイントとなったある出来事まで詳細に語っていただきましたので、ぜひ最後までお読みください。

SHOWさんのアイコン画像

S.H.O.Wさんとは?

鉄拳7プロプレイヤー。メインキャラはアリサ。2014年より急性骨髄性白血病を患い、現在も術後の慢性GVHD(※1)と闘っている。Fighting Fortiaでは優しくも自らの体験に裏付けされた戦略的な指導で、チームメンバーから高い信頼を得る。Fighting Fortiaの各プレイヤーに定期的に送る課題提起・目標設定のメッセージは、一人一人のモチベ―ション確保と成長の確かな指針となっている。

※1 GVHD=移植片対宿主病
同種移植後に特有の合併症で、ドナー由来のリンパ球が患者の正常臓器を異物とみなして攻撃することによって起こる。 重症化すると治療が難しく時に命に関わることもある。

移植の際の副作用・合併症 - がん情報サービス

S.H.O.Wさんの主な戦績

2015鉄拳7公式賞金大会日本最終予選 鉄拳7  優勝
2016鉄拳7Fated Retribution THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 東京ラウンド 学生1on1部門 鉄拳7FR 準優勝
THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2016 GRAND FINAL 鉄拳7FR  9位
2017Tokyo Tekken Masters 鉄拳7FR 17位
闘神祭2017 Champions Cup 鉄拳7FR 本選出場  【よしいくぞう】 S.H.O.W/kami/ぱるる
MASTERCUP.9 鉄拳7FR ベスト8 【あきちゃホールメンブラザーズ】 けん/タリスカッター/Gugumatz/kami/S.H.O.W
2018闘会議2018鉄拳7 Special 1day match準優勝
EVO2018(アメリカ) 鉄拳7 49位
2020TEKKEN Online Challenge: Japan 鉄拳7 49位
2021EVO 2021 Online Warm-Up Asia&Japan優勝
TEKKEN Online Challenge: Japan 鉄拳7 19位

鉄拳7との出会い

なおや:早速ですが、S.H.O.Wさんとゲームの出会いはどんなものだったのでしょうか。

S.H.O.W:保育園の頃、親戚のお兄ちゃんが持っていたのをプレイしたのが始まりです。小中高と野球をやっていたので、スポーツはスポーツ、ゲームはゲームでそれぞれやっていました。当時は、マリオやポケモン、ファイナルファンタジーといった人気作をプレイする普通の子どもでした。

なおや:野球をされていたのは初耳でした。パワプロやプロスピなんかもプレイされたんですか?

S.H.O.W:ああ、やりました。パワプロもやってプロスピもやって、プロスピがリアル志向で好みでしたね。あっちのほうが映像も3Dで寄せてますから。

なおや:鉄拳7との出会いのきっかけは?

S.H.O.W:高校3年のときに仲が良かったバイト先の先輩が鉄拳をやっていまして、「面白いゲームあるんだけどやってみない?」と誘われたのが始まりです。当時は家庭用ではなくてゲームセンターでプレイするのが当たり前だったので、付き合いの中で必然的に鉄拳に触れる時間が増えていったという感じですね。

なおや:ストリートファイターシリーズのプロゲーマーである梅原大吾さん(@daigothebeastJP)やときどさん(@tokidoki77)が、地元のゲームセンターでたくさん対戦をして、ある程度強くなったらレベルが高いゲームセンターに行くという流れがあると著書に書かれていました。鉄拳も同じですか?

S.H.O.W:まさにそれです。みんな鉄拳は大好きだけど、やるにも限度があるじゃないですか。僕は常軌を逸していて。当時はゲームセンターが24時間営業でしたから、夕方に行って夜中まで対戦をして、モニターに映る試合をみんなで観て朝を迎えて、少し寝てまたゲームセンターに行く。ほかには、夜中まで鉄拳をやってからそのまま仲間とファミレスにご飯を食べに行って、どうしたら強くなれるのかといった情報交換をする。

そうやって鉄拳中心の生活になっていったんです。それが20代前半です。

なおや:みんな自主的に強くなりたいと思うから続くんですよね。

S.H.O.W:そうですね。最初にゲームセンターに入ったころは自分が一番下ですけど、長期間これでもかってやりこんでいくと自分が一番強くなって、対戦相手を求めるようになって。段位が上がったら、とりあえず一番強い人が集まる東京に行くという。そして、ぼこぼこに負けて帰ってくる。その繰り返しです。

なおや:ゲームのイメージが悪いからネガティブにとらえられがちですけど、自分と趣味が合う仲間と一緒にいるようになるのは当たり前だし、悪いことばかりではないはずなんですけどね。

S.H.O.W:そうですね。何年も前ですけど、「ゲームはほかの趣味と変わらないし、ないのは世間体だけだよね」と冗談で言ってました。「サーフィンしてるやつらと何が違うんだ」と。でも、やっと時代が変わり始めたので。

突然の発症、後遺症とともに生きる

なおや:2020年のePARA CHAMPIONSHIPで臨時コーチをお願いした際、白血病の経緯があるから、今後もePARAには協力していきたいとおっしゃっていたことをよく覚えています。ePARAには色々な障害や難病を抱えるメンバーが集まっていますが、S.H.O.Wさんご自身も大きな病気を乗り越えられているんですね。

S.H.O.W:そうですね、僕が白血病を発症したのは24歳の時です。それまで元気に働いていたんですが、急に日常生活と仕事が全然まともにできないほどの疲労感を覚えて。急性骨髄性白血病と診断を受けました。入院してから半年ほど抗がん剤治療を継続している間に骨髄バンクで無事に適合するドナーが見つかり、移植をしました。その後に療養で入院しつつ、だいたい全部で1年半ぐらいの入院生活でした。

なおや:今時点では、闘病生活の影響はありませんか。

S.H.O.W:副作用や後遺症があったのですが乗り越え、今は一般的には再発の危険はない状態まで回復しています。ただ、白血病で放射線治療や抗がん剤治療を繰り返したので体はダメージを相当受けおり、元と同じようには治っていないです。体が硬い、関節が動かない・伸びない・曲がらないとか、手もつりやすい、腕が真上に伸ばせない、地面に座れないとか、などは今でもあります。そんな自分と付き合いつつ生活している感じですね。あとは体内もかなりダメージを負っていたので、体重が入院前後で20キロ以上痩せました。

なおや:ePARAとの出会いのきっかけを教えてください。

S.H.O.W:僕はもともと株式会社Extractorという会社にスポンサーを受けて活動していました。その時、最初の面談をしてくれたのがePARAの副代表を務めている別城翔さんでした。面談の時に障害のことも話していたのですが、そのことを憶えてくださっていた別城さんが「ePARAの事業が僕にマッチするんじゃないか」と声をかけていただきました。自分の経験が色々な人を勇気づけるきっかけになるのならと、微力ではありますがお手伝いすることに決めました

2020年11月、ePARA CHAMPIONSHIPで解説を務めたS.H.O.Wさん

アリサを相棒にしている理由

なおや:S.H.O.Wさんといえばアリサ使いとして有名ですが、キャラクター選択の理由は何でしょうか?

S.H.O.W:かわいいなぁというのが一番の理由です。僕が鉄拳を始めたのは「TEKKEN 6 BLOODLINE REBELLION(通称BR)」で、その時はクリスティ・モンテイロというカポエイラを使う女の子がいて、この子かわいいなあと思って使っていました。あとからアリサが登場したんですが、「戦わなければいけないのけ」みたいななまりがベースの喋り方だったのがこれまたかわいいなあと思いまして。あとは、格闘ゲームでも拳法をしっかりやっているようなキャラクターがそんなに好きではないんです。アリサは構えていなくてだらーんとしているので、そんなゆるさもかわいくて好きです。

なおや:スピードや技の射程距離を第一に考えていないっていうのがなかなか面白いですね。

S.H.O.W:もちろん、キャラの性能で選ぶのも大事なんですけど、僕自身が不器用なので、強いキャラを使えば、そのキャラを使う強者と戦うことになるので絶対勝てないんですよね。だったら自分の好みのキャラクターで、たくさん使っているからこその引き出しで勝負したいと思っています。この先もアリサと心中する覚悟ですね。

なおや:自分がキャラクターをどれだけ愛しているかっていうのは大きなポイントですよね。

S.H.O.W:そのウェイトはとても高い気がします。プロとして戦うことを考えたときに、1キャラクターを極めて勝負し続けるのもありですし、特異なキャラクターをいくつか使い分けて万能に戦うこともありです。僕の場合はキャラ愛で勝つことを証明していきたいと思っていますね。ただ、それは勝ってこそ言えることですから。

アリサを操作するS.H.O.Wさんの写真

記念エントリーのはずが、プロデビューへ

なおや:S.H.O.Wさんの中で印象に残っている大会や対戦はありますか?

S.H.O.W:プロデビューのきっかけとなった2015年、鉄拳7公式賞金大会日本最終予選で優勝したことですね。その頃は闘病生活も終盤でしたが、ゲームセンター通いでお金と睡眠時間を削る生活を続けていちゃいけないなと思っていたんです。賞金大会と、その翌日にあったマスターカップに仲間と出場し、それを最後にガチ勢からは身を引くつもりでいました。当時の僕は段位が低くて弱いほうだったんですが、ほとんどの試合が1試合先取で勝ち上がり、トッププレイヤーたちに奇跡の勝利を重ね続け、そのまま優勝しました。そこで「まだ頑張れるし、まだまだいいこともある」と思ったんです。結局、強くなったことで知り合いが増えて、その人たちにいろいろ教わったりしながら、さらに鉄拳をやるようになりました。また、優勝したことで世界大会にも出場することができたのですが、世界大会の興奮と感動を味わったら、「こんな面白い経験ができるんだ」と。だったらもうちょっと頑張ってみようかなと思いました。

なおや:そこから早6年。引退予定だったのが、さらに鉄拳に力を入れることになったわけですね。

S.H.O.W:そうなんです。2015年のマスターカップと賞金大会で最後にするつもりだったので、実は病院にお願いして臨時退院をさせてもらったんですよね。「これが最後なんで、むちゃしないんですいません。お願いします。」って。それから6年経ってもまだやってます。

鉄拳7公式賞金大会日本最終予選で優勝
THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2015公式ページより

プロゲーマーとしての重みを感じた2018年evo

なおや:それから株式会社Extractorに所属されたわけですが、プロとなって心境の変化はありましたか?

S.H.O.W:ありました。とくに2018年のevoでラスベガスに行かせてもらったとき(※2)に、人にお金を出してもらって戦うということの、言葉に表せない重みを感じましたね。海外に行って楽しいとか、観光をしようとか、もうそれどころじゃないという。ホテルでも気が休まらなかったですし、本当に第一線で活躍されているプロの方はこれを何度も経験しているのかという気持ちになりました。しかも、大会では1回戦に外国のプロゲーマーがいて、ぎりぎりのところで負けてすぐにルーザーズに落ちてしまったんですよね。そのあとなんとか勝ち抜いて、最終結果は49位に入りましたし、配信にも乗ったので、会社の人に戦う姿を見せることができました。もし初日で終わっていたら、国に帰れないなとまで思っていましたね。

なおや:やはり、看板を背負って戦う重さやつらさは、味わってみないと分からないものですね。

※2【鉄拳7】プロライセンスマッチ最後の2枠はNOBIとS.H.O.Wが獲得 – ファミ通AppVS

鉄拳のプレイ経験を通じて学んだこと

なおや:ここまで鉄拳に関する数々の思い出をお聞きしましたが、10年以上の経験を通して学んだことはどんなことですか?

S.H.O.W:たくさんの方と知り合うことをきっかけに、人間関係やコミュニケーション、「背負う重さ」を学びました。中でも一番の学びは、成長のプロセスです。僕はFighting Fortiaを含め、いくつかのチームで講習をしています。アリサだけではなくて別キャラをメインに使う人でも講習の直後に段位が上がることがあります。もちろん本人の努力もそうなんですけど、成長のプロセスって正しく進めば1本の道になるということが分かりました。

なおや:私もS.H.O.Wさんの講習を定期的に受講していて、使用キャラの強いコンボや、対人戦の極意を教わっています。S.H.O.Wさんは私の成長に合った課題設定を工夫してくれていて、「これができるならバリエーションにこういうのも加えてみよう」、「反撃されやすい技とされにくい技のコンビネーションでこういう組み立て方をするといいよ」などなど、その時に合ったアドバイスを下さいます。まさにそれが成長のプロセスだと感じました。

S.H.O.W:ただ、あくまでもこういうプロセスで僕は成長したよということをお伝えすることはできるんですけど、プロセスは人によって違うので、自分の考えにあてはめて伝えすぎないように注意しています。一人一人の戦い方やスタイルに合った教え方ができるように工夫しています。

Any%CAFEに期待すること、Fortiaへの思い

なおや:先日オープンイベントが開かれたAny%CAFEに期待することはなんでしょうか?

S.H.O.W:鉄拳に限らず、たくさんの方が交流して、楽しんで輪が広がる場所になってくれたら嬉しいです。Any%CAFEの存在であったり、今後開かれるイベントで合ったりが認知されて、常連客みたいな人ができるといいですよね。

なおや:これから制限が徐々に緩和されていけば、いろいろなイベントを企画することもできると思います。S.H.O.Wさんもたまには遊びにきて、もしくは対面講習をしにきていただけると嬉しいです。最後になりますが、ご自身のFortiaに対する思いを聞かせてください。

S.H.O.W:僕はコーチングスタッフとして関わらせていただいているので、オンライン・オフライン問わずできる限りサポートしていきたいです。それと、今はExtractorとFortiaに所属していて文字数が足りないので「EXT/FOR」というふうに表記させていただいてるんですけど、やっぱりFortiaのメンバーとして活動しているからには個人としての成績も重視していきたいと思っています。僕が結果を残せばFortiaの話題ができると思うし、こんな人がコーチをやってますとか、こういう実績があるメンバーがいますというのも宣伝効果になると思うので。あとは、オフラインの交流も楽しみにしています。

なおや:ありがとうございます。とはいえ、コーチとしてのS.H.O.Wさんの認知は、どちらかというと受けている側(私たち)の成績に左右されるところも多いですね。頑張ります。

S.H.O.W:コーチングスタッフとして一つだけ大切にしているのは、持病とか体調の良し悪しとかでそれぞれ大変だと思うので、できる範囲でやってほしいなと思っています。障害を抱えながらやるというのがテーマだと思うので、みんなが楽しんで好きなゲームをやってくれるのがいいなあと思っています。鉄拳は勝ち負けがあるし、うまくいかないことも多々あって気が乗らないことも多いと思うんですけど、それを乗り越えようというよりかは、やりたいときに一生懸命に頑張るのが一番いいなと僕は思います。それでうまくいけば良しぐらいの気持ちが理想なのかなと。

なおや:なるほど。Fortiaは勝ちにこだわらないという点でeスポーツチームと言うのを止めたのですが、楽しんでタイトルを極めることを最優先にするのはとても合っていると思いました。本日はありがとうございました。

S.H.O.W:ありがとうございました。

Any%CAFEオープニングイベントで鉄拳をプレイするS.H.O.Wさん

インタビューを終えて

S.H.O.Wさんとは講習以外にご本人のYoutube配信にお邪魔して交流することもありますが、キャラクター選択の理由とか、引退を覚悟した大会がプロへのスタートラインだった話とか、初めて聞くことばかりでした。これらのエピソードは絶対記事にしなければならないなと、インタビュー中から思ったことをよく覚えています。

S.H.O.WさんとともにFighting Fortiaを盛り上げていけるよう、引き続き頑張ります。読者の皆様、これからも変わらぬ応援のほど、よろしくお願いいたします。

Any%CAFEオープニングイベントでのS.H.O.Wさん(右)となおや(左)

リンク集

S.H.O.W

Twitter:https://twitter.com/ShowYama
Youtube : https://www.youtube.com/c/SHOWex
関連記事:闘い方は無限大。己の技でバリアを壊す、障害当事者の格ゲーユニット「Fighting Fortia」活動開始のお知らせ

インタビュー・執筆:北村直也
Twitter : https://twitter.com/noy_0207
Youtube : https://www.youtube.com/channel/UCEZzytHkBncDjuxdjltt28A
関連記事:全盲の私が「鉄拳7」で戦った先に~ブラインドeスポーツの幕開け~

参照URL
S.H.O.W | 格ゲープレイヤーWiki

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

北村 直也(きたむら なおや)

声優、エンジニア、大の野球好き。
不可能を可能にする男というキャッチコピーのもと、誰もなしえなかった「視覚障害を持つ声優」に挑戦中。その状況を日々SNSで発信しているのだが、フォロワーから「野球の人」という印象が持たれるほど、野球ツイートも熱い!さあ、野球アニメに出よう。
Twitter:@noy_0207

-Fortia, インタビュー
-, ,

© 2022 ePARA