株式会社ビーウィズロゴマーク BTOパソコンのサイコムロゴマーク ヨギボーロゴマーク ジョイサウンドロゴマーク

インタビュー

アイザックス症候群のまるぽすの魅力に迫る〜ゲームと武士道で学んだ前向きさと寛容さ

日本に100人しかいない珍しい難病「アイザックス症候群」を患いながらも、明るく楽しいキャラクターで毎週の部活動「私立ePARA学園」を盛り上げるMCまるぽすに、双極性障害であり主婦ゲーマーのニャーサエがお話を聞きました。その軽快なトークの秘訣や、ゲームやePARAへの思いを紹介します。

物心がついた頃から楽しいゲームがあった

ニャーサエ:それでは今日はよろしくお願いします!まず最初にまるぽすさんの自己紹介やかかっているアイザックス症候群のお話、ゲームとの出会いのエピソードから伺って良いでしょうか?

まるぽす:はい、自分はまるぽすという名前で色々なゲームを楽しんでいます。もう4年くらいになりますが、アイザックス症候群という日本に100人、つまり100万人に1人ぐらいの確率でしかかかっている人がいない、宝くじの2等よりも若干確率が低いくらいの確率の病気を患いました。主な障害としてはその病気によって左足が少し不自由で若干動かしにくく、痛みや痙攣が出てしまうような自己免疫疾患です。

100万人に一人ということで、「俺は日本に100人しかいない男」だからと飲み会のネタにしています。「スプラトゥーンで言えば上位ランカーの百傑だから」と言ってみたり。「APEXで言えば難病プレデターだよ」なんて話していたりもします。

ゲームとの出会いは、もう物心ついたときにはゲームが身近にあった世代なので、一番初めにやっていたのはニンテンドー64で、みんなでマリオパーティなどのゲームをやったりしていました。一人用のゲームだと、バイオハザード3を親戚のお兄さんがやっていたのを後ろからビビりながら見ていました。お兄さんたちとの楽しかったゲーム体験や、一人のゲームもみんなで一緒にやったり友達の家でやったり、そうやって「人が集まる=楽しい」という記憶がありまして、そこが自分の「楽しい」の基準です。

武道から得た学びと生来のポジティブさ

ニャーサエ:難病になってしまっても、ネガティブな感じではなくポジティブに捉えているところがまるぽすさんの本当にすごいところだと思っています。それは元から持っていた性格だったのですか?

まるぽす:そうですね、自分が難病に罹ったと知らない友人はもうほとんどいないと思うんです。車いすになって歩くことや階段の昇降もできないような状態になって今までと生活形式が変わってしまったのですが、性格面はたぶんほとんど変わっていなくて「生きてりゃなんぼでしょ」という楽観的なところがあります。

ずっとやってきた武道でも「武道はスポーツではない、人生・人を形成する道」だと教わっています。たとえば対戦相手に勝てなかったら「なんで勝てないんだよ」じゃなく「いや、相手強いな」と感服するのが真っ先に来るんですね。試合で負けても不貞腐れるんじゃなくて相手にありがとうございましたと礼をしにいく。「打って反省、打たれて感謝」ともいいます。楽観的な性格は、武道の精神と自分の元からの部分の両方があると思います。

剣道着と袴を身に着けたまるぽすさんが映る集合写真
▲大会での写真 中央に剣道着と袴を身に着けたまるぽすさん

ニャーサエ:相手に対するリスペクトといいますか、礼始まり礼に終わるという気持ちだったり、負けたときは自分に原因があるという分析をしたりすることで、例え勝負に負けても落ち込むことなどなさそうですね。その後に病気になって障害を抱えたことで、困ったことや不便なことはありますか?

まるぽす:気持ち的には沈んだりすることもありますが、それ以外のところだと、実際にこの障害の治療のせいで職場に出られていません。本当に「生きる」ために大事なことに直結してしまっている部分もあります。それ以外の部分では元から家で遊ぶようなタイプでしたが、人混みに出なくなってしまいました。かといって人前が苦手というわけではないのですが、本当に家か病院か、移動の車に乗っているかぐらいしか出かけることをしなくなってしまいました。

以前はスノーボードをやっていたり、剣道も幼稚園ぐらいから高校までずっと続けて有段者でもあったのに、たぶん今後できないだろうと思うと少し悲しく思います。できて当たり前だったことが、当たり前じゃなくなってしまった。先天的に障害を持っている方がePARAにもいるなか、僕は後天的に障害者になってしまったんです。

ニャーサエ:私も後天的に障害者になってしまったので、できたことができなくなることの苦しさはわかります。

スノーボードを装着して座ってこちらを見ているまるぽすの写真
▲ゲレンデでスノーボードを楽しんでいる時はまだアイザックス症候群ではなかった
(この一ヶ月後に発症)

白羽の矢が立った名MC

ニャーサエ:まるぽすさんがePARA部活動のMCをするようになったきっかけはありますか?

まるぽす:去年(2021年)の2月ぐらいに、ePARAの希央さんとhosoさんから「今は希央さんがやっているけれど、ePARA部活動のMCにはまるぽすさんしかいないと思うんだよね」と声がかかりまして、白羽の矢が立ったといいますか、もう刺さっていたといいますか。「もう既に刺さってる!逃げられない!」と思いました。実際しゃべるのが好きでゲーム実況の配信や、学生時代に剣道部の部長で主将もやっていましたし、学生寮の中での生徒会長のような立場もやってきていました。元々人前でしゃべるのも演説も好きでしたし、就職活動も落ちる気がしなくて、舌だけでのらりくらりとやってきて、しゃべりのスキルで今までの人生をなんとかしてきていました。

ニャーサエ:そのスキルを認められたんですね。MCをやっていて大変なことなどは今まであったのですか?

まるぽす:すべてが大変です。しゃべり以外にも部活動で取り上げるゲームタイトルを毎週決めなければならなかったり。週一回の活動だったのがePARAが大きくなって部員が増えてきて、ゲストさんもくる。そしてFortiaの活動もしていくなかで、今週はこのタイトルをやりたいといった希望がメンバーから出てくるのですが「それはどうだろう」と思うこともあります。色々なせめぎ合いもあり、裏方としての部分はまだまだ大変です。あとは入院が時々ありますから、そういった不在の時にカバーしていただいているのはとてもありがたいと思います。

毎回僕一人でMCができているわけではありません。本当は希央さんから完全に引き継ぎをさせていただいて完全に取りまとめなければならないところなんですが、まだ全然引き継ぎしきれていません。僕一人で部活動に出てきて、加藤さんから「まるぽすさんお願いします」と言われ「今日はこれとこれをやります」という話をするだけの立場なんです。最近は部活動の告知に関しても体調が悪くてhosoさんにやってもらったりしますし、そう言った部分は自分の実力不足だと思ってしまいます。

血漿交換療法で使用している機器の写真
▲血漿交換療法(血中の血漿という成分をこして輸血のような形で他人の血漿と入れ替える治療のこと)※現在はしていない

ニャーサエ:MCをしてきて、楽しかったことやよかったことなどありますか?

まるぽす:毎回がなあなあの仕事ではなくて、少しでも部活が盛り上がればないいなと力を入れて活動するなかで、イベントなどの際に総合司会や解説実況者として呼んでいただいて、さらにその中で好評をいただいたことは、司会やしゃべりを頑張ってきてよかったなと思いました。自分の実力が実感できたといいますか、日頃部活をやっていても「ありがとうございます」とまではわざわざ言われないですから。

ニャーサエ:私は「いつも仕切っていただいてありがとうございます」と思っていますよ!また、これからやってみたいことなどもお聞きしていいでしょうか?

まるぽす:今後もイベントがあればぜひぜひやらせていただきたいなとは思ってます。

やってみたいこととゲームからの学び

ニャーサエ:ほかにもやってみたいことはありますか?

まるぽす:やりたいこととしては、自分が難病になってしまった立場として、経験談やこういう人もいるよ、ということを発信しながらも「こんなに楽しいぜ!」「死ななきゃ大丈夫!」ということを連鎖させて明るく伝えていきたいとは思っています。「難病界のヒカキン」なんて言ってたりもしました。エンジョイ勢として楽しさを共有したいです。

ゲームが好きで、しゃべりながら誰かとゲームを一緒に楽しんだり、ゲームの楽しさを共有したりするのがとても好きです。上手いプレイを見たいという人もいると思うんですがそうじゃなくて、しゃべりながらやってると楽しくない?というのをみんなと共有したいです。

あとは、病気はあるけれどわちゃわちゃ楽しくしゃべって、ギャーギャー騒ぎながらゲームを楽しんでいるやつがいるんだと思っていただければ、病気を持っている方も持っていない方でも勇気づけられるのかなあと思ったりもします。そういう思いがあるので、ゲーム配信や実況、司会もですが、そういうところをもっともっと膨らませていきたいと思っています。

まるぽすのYouTubeチャンネルの切り抜き画像
▲ご自身のYou Tubeチャンネル(まるぽすのアイザックスゲーミング)でも積極的にゲーム配信をしている

ニャーサエ:それでゲームの楽しさを広めたいというところからいろいろなゲームタイトルをされているんですね。いろいろなゲームに触れるということが私は本当に素晴らしいと思っています。食わず嫌いをしないでまずやるというのがすごく大事な姿勢だということに気づかされました。

まるぽす:苦手なタイトルやゲームジャンルも結構あって、積んでるゲームもいっぱいあるんです。でもスプラトゥーンしかやってこなかったらスプラトゥーンの人たちとしか出会えなかっただろうし、APEXしかやってなかったらAPEXの人だけだし、いろいろプレイしていろんな友人ができました。Twitterをフォローしてくれた方から誘っていただいたり、一緒に遊ぶ繋がりができていく中で、いろいろなものに挑戦して一歩踏み出してみることは大事だと思っています。

ニャーサエ:ゲームからたくさん学ばれたんですね。そのほかにも学んだことはありますか?

まるぽす:「継続は力なり」という言葉は本当にその通りだなと思うことがあります。やはり上手い人はめちゃくちゃやってるんですね。僕みたいにゲームの浮気もしないんです。「好きこそ物の上手なれ」じゃないですけど、やはり好きだからこそやり込んで、一貫して自分が好意を向けたものに対して全力を注げるのって素晴らしいなと思っています。好きという気持ちをエネルギーに変える力はとても大事だと思います。

ニャーサエ:素晴らしいお話をありがとうございました!

まるぽすさんの最近の活躍

クロスラインー僕らは違いと旅をするーの紹介画像

2022年10月15日〜17日の3日間、プロジェクト「クロスライン-ボクらは違いと旅をする-」を岡山県で開催しました。一般財団法人トヨタ・モビリティ基金の「Make a Move PROJECT」での採択を受けて実施された実証実験です。

仲間と共に浴衣を着て放送席に座りMCをしているまるぽすの写真

まるぽすさんはモータースポーツ有識者として準備段階から関わり、当日には放送席にて実況・解説・MCを務めました。他のメンバーと共に車椅子で浴衣を着こなし、明るいキャラクターと臨機応変な仕切りで場を盛り上げてくれました。
まるぽすさんの益々の活躍、期待しています!

まるぽす
ePARA部活動の名MCであり、FPS Fortiaのキャプテン。2018年より難病「アイザックス症候群」を患う。YouTubeでもプレイ動画を配信中。
参考記事:アイザックス症候群のゲーマー・まるぽすのePARA CHAMPIONSHIP観戦録

メガネをかけたゲームをプレイしている狼男と愛犬モカが描かれたまるぽすのアイコン

ニャーサエ
双極性障害であり格ゲーや音ゲーを得意とする生粋のゲーマー。ウエディングドレスを着ることを目標に、ゲームを用いた運動なども日々頑張っている。HealthcareFortiaのキャプテン。
参考記事:双極性障害のニャーサエが告白!ラブプラスとインターネットで育んだ夫との愛(前編)

-インタビュー
-,

© 2024 ePARA