ePARA CARNIVAL ePARA大会 座談会

車椅子eサッカー・チームの一員になれた喜び【TORI・TSUBASA・RYO】-ePARAユナイテッド座談会Part.1

「車椅子ユーザー11人でサッカーをしてみたい…!」

それもいわゆる”車椅子サッカー”ではなく一般的なルールで。

W杯イヤーとなる2022年、そんな無謀とも言える挑戦に向けて動き出したメンバーがいます。そして招集された11人の精鋭たち。たくさんの”12人目の戦士”に支えられながら、来るべき初戦、5/28の「ePARA CARNIVAL 2022 SPRING」に向けて練習を重ねています。

ePARAユナイテッド チャレンジマッチ<EA SPORTS™ FIFA 22(steam版)最新版>

今回はW杯にも負けない精鋭たちの熱い想いをシリーズで、対談形式でお届けします。

座談会の参加者

とりちゃん(TORI:ePARAユナイテッドキャプテン)

筋ジストロフィー当事者で、活動家YouTuberとしてYouTubeチャンネル「とりすま」で、難病や障害に関する情報発信をしている。
参考記事:ePARAユナイテッド始動!諦めたサッカーにeスポーツで再挑戦〜筋ジス活動家のとりちゃんにインタビュー

つばさ(TSUBASA)

先天性の脳性麻痺による車椅子ユーザーで現役の大学生。YouTubeチャンネル【つばさの翼】で普段の生活やチャレンジ動画などを発信している。ePARAユナイテッドでのポジションはDF。

笑顔で手を振り、車椅子に乗っている鱒渕羽飛の写真

りょう(RYO)

先天性の脳性麻痺による車椅子ユーザーで、執筆や講演活動を行っている。Try Chance代表。ePARAユナイテッドでのポジションはDF。本記事の筆者。日々の発信はnoteをご覧ください。

ePARAユナイテッドとは?

とりちゃん:さぁついにやってきました!あの発表がついにできそうです!!!「ePARAユナイテッド」スタートです!!
そろそろクラウドファンディングの発表だったりとか、みんなの発信とかが色々見れるようになっていると思うんですけれども、今日は「ePARAユナイテッド」の企画で僕が一番最初に声をかけた二人、つばさくんとりょうくんに来てもらってます。よろしくお願いします!

つばさ・りょう:よろしくお願いします!

とりちゃん:今回の企画は、「ePARAユナイテッド」というサッカーゲームのプロジェクトになります。「バリアフリーeスポーツプロジェクトのFortia(フォルティア)」の活動の一環として、みんなで「FIFA22」というソフトを使ってプレイします。そのメンバーはなんと全員が車椅子ユーザー!!(サッカーですから当然)11人以上の大所帯です(笑)車椅子ユーザー11人で緑のピッチを駆け回るなんてめちゃくちゃ面白いですよね!どうでしょう、皆さん!!

つばさ・りょう:いいね〜!!たまらない!!

とりちゃん:すでに練習は開始していて、まずはシーズン1の5/28(土)「ePARA CARNIVAL 2022 SPRING」のメインコンテンツの一つとして皆さんにお披露目すべく、みんなで士気を高めているところです。当日は4-4-2のクラシカルなフォーメーションで挑みます!今日来ている長野が記事を書き、私鳥越が記事だけでは伝えきれない熱量を動画で発信していきます。それでは、前置きはこれくらいにして、お二人に話を聞いていきましょう!

座談会の様子。左:りょう、中央:つばさ、右:とりちゃん

自己紹介

とりちゃん:まずは自己紹介からお願いできますか?

つばさ:つばさです!今は大学2年生で、普段はYouTubeチャンネル【つばさの翼】で自分の普段の生活や活動、自身の障害について、様々なチャレンジ動画などを配信しています。僕は先天性の脳性麻痺で、普段は電動車椅子を使って生活しています。

とりちゃん:今チャレンジって言葉が出てきたけど、今回の新しいチャレンジもめちゃくちゃ楽しみだよね!!それでは続いて、いつもお馴染みのこの男、お願いします。

りょう:長野僚です!執筆家・講演家、あとTry Chance という団体の代表もしています。今回は執筆家として記事も書かせていただくことになりました!普段は顔とキャラの濃さをなんとか薄めながら、講演家として小学校などで授業をさせていただいたりしています。いつもは教育者として真面目を装っているのですが、サッカーゲームをするとキャラ変するととりちゃんに言われているので、その辺も楽しんでいただければと思います。

とりちゃん:”相手にガンを飛ばす”って意味でもCBとして顔の濃さは有利なので、よろしくお願いします(笑)「ePARAユナイテッド」のクリスティアーノ・ロナウドこと、とりちゃんでございます!最初はFWのつもりでしたが、チームの司令塔(=つなぎ役)として、点を取りに行く時はロナウドのように頑張っていきたいと思います。もちろん僕も車椅子を使っているなかで、このプロジェクトがこうして公になる前から関わってきたこともあって、今回はキャプテンをやらせてもらうことになりました!

りょう:頼りになる!!

とりちゃん:僕の病気は”ベッカー型筋ジストロフィー”というものなんですが、今回ディシェンヌ型筋ジストロフィーの仲間も2人メンバーにいるということで、また改めてご紹介できればと思っております。

練習で感じ始めた思わぬ気付きと熱意

とりちゃん:今回はサイコムさんご協力のもと、各メンバーに超高スペックなゲーミングPCをシェアしていただき、練習環境を整えていただいております。

りょう:小学生以来20年あまり、ゲームはほとんどやっていなかったんですが、今回予想以上にハマっていまして、やりすぎて手が痛い(笑)それでも楽しい!手の痛みはお酒(アルコール)でごまかしています!!

とりちゃん:どんなところが楽しい?

りょう:一人暮らしの自分が普段から「ワーッ!」とか「ギャー」とか言っていたらただの変な人になるところ、ゲームに熱中して声を出していると、椅子の上でほとんど動いていないはずなのに凄く身体が熱くなって、健康にもいいな!って感じですね。

とりちゃん・つばさ:確かに…!!ヘルパーさんとも仲良くなれそう…笑

りょう:画面の中の選手に感情移入しすぎて「お前が(ディフェンスやオフェンスに)行くんだよ!!」ってよく言ってます。シュートやパスといったボタンを押す強さや、カーソルでの選手移動がなかなか難しいのです…指が不自由だからね!練習あるのみ!!

つばさ:僕は小学生の頃からサッカーゲームもやっていて、昔は片手だったんですけど、今は(リハビリも兼ねて)両手でやるようにしたらだんだん慣れてきました。

りょう:特にサッカーゲームはボタンが多いから難しい!!

つばさ:でも、思い通りにプレイできない時にはついつい口が悪くなっちゃう(笑)それでもやっぱり、楽しくやってます!

りょう:自宅だし、よほど悪い言葉じゃなければ言ってもいいよね…!?

とりちゃん:僕も中学生の頃から「ウイニングイレブン」なんかをずっとやってきていて、ただ先日のインタビュー(※1)でも話したけど、昔コーチに怒られてサッカーを辞めてしまった経験があるので、それ以降はサッカーをやりたくてもできなかったっていうのがあって。この企画が始動するまではもっぱら(コンピューターとの)一人プレイでしたが、最近はこのプロジェクトを想定して日々練習しています。筋ジストロフィーということで僕も指が痛くなったりすることはめちゃあるんですけど、今回は11名ということでそういった負担は減るかな、と。ただ、今度は11人だからこそ”連携”の難しさや楽しさといったものが出てくるのかな、とそんなことを感じ始めています。
※1 11人の車椅子メンバーが駆け回る――「筋ジス活動家・とりちゃん」がeサッカーチームで実現したいこと(コトナル - Yahoo! JAPAN)

ePARAユナイテッド3名 旅先での練習風景

りょうとつばさが語る”チームの一員になれた喜び”

つばさ:一言で言うと「最高の企画に誘っていただいたな」と。本当に嬉しかったです。これまでも”eスポーツ”というものがあることは知っていたんですけど、自分みたいな人はなかなか参加できないと思っていました。まさかの”車椅子だけの”っていう「規格外の最高の企画」に誘ってもらえてよかった!

とりちゃん・りょう:名言出たね!…笑
今、つばさくんから車椅子だけの、って話が出たけど、確かに車椅子だからこそ、車椅子ユーザーが11人並んでプレイの中で走り回っていたら、想像しただけでめちゃくちゃ面白いよね!

りょう:つばさくんのお家はご家族もみんなノリノリで応援してくれています。心強い!(すでにお話ししたとおり)ゲームをあまりやって来なかったので、正直「僕でいいのかな…?」という思いがあって。ただ、こんなに面白い企画に声を掛けてもらって、とりちゃんと仲が良くて良かったな、と。あとは、「ゲームの中だったら自由に動けるかな」と思ったんですけど、やってみると意外と難しくて(笑…まだまだ自由になりきれてない)。みんなの足を引っ張らないように戦々恐々としていますが、楽しんでやらせてもらっています。

とりちゃん:なんとなく「やらせたら面白いだろうな」と思って声を掛けたんだけど、それが当たってる!謎の新キャラも出てきてるし(笑)

りょう:それは本番でお見せしたいなと!

とりちゃん:きっと「りょうくんってこんなキャラだったんだ!」ってなると思うので、皆さんも楽しみにしていただければと思います。

それぞれの「スポーツ経験」から見える本音

つばさ:スポーツは「自分の好きなもの」である一方、(現実として)「周りの子たちがやっているのを見てきただけ」という部分もあります。でも、パラスポーツに出会った時は「自分でもスポーツができるんだ!」って思ったし、(スポーツは)「自分が生きていく上での楽しさを与えてくれたもの」って感じです。

りょう:僕も野球とかが昔から好きなんですけど、キャッチボールも投げるだけ=空中のボールが取れない、テニスとかも(1回)打つだけでラリーが続かないのでチームプレイというのは本来難しいことのはずなんだけど、こうやってゲームで車椅子ユーザー11人でやるっていうのは初めての発想ですよね。日々の団体運営しかり、本音を言えば(個人プレイよりも)チームプレイの方が喜びを感じる人なので、参加できて嬉しい。

とりちゃん:俺も(特に発症後は)チームプレイは避けてきたところがあって、足を引っ張るからやりたくてもできないって諦めていたんだけど、スポーツができなかったっていうのは3人に共通しているところかもね。筋ジスは筋肉の病気だから、走れなかったりしてどうしても難しくて、それでも遊びでサッカーをやる時もサポートはしてくれるし、それなりに得点も取れたりしてた。だから、チームでやる喜びも知ってはいるものの「(もっと)高いレベルでアスリートとしてやりたかったな」という想いは今もある。

「車椅子ユーザー11人でサッカー」の意義

とりちゃん:さっきの話とつなげて考えてみて、どう?

とりちゃん、りょうさん、つばささんの練習風景。みんな笑っていて楽しそうな様子。
ePARAユナイテッド3名 練習会の様子

つばさ:今回の企画は本当に「自分には(一般的なスポーツは)できないんじゃないか」と思う中で、ゲームだったら自由に動けるだろうし、11人全員車椅子ということでチームプレイの楽しさも知れるかもしれないというところで、新しい経験ができるなぁと思っていて楽しみでしかないです。

とりちゃん:「いや〜惜しい!」「OK!OK!!」とか、チームでの(声の)掛け合いが本当に楽しいよね!ボールを持っている時間はそれこそ、1試合で1人1分とか短いかもしれないけど、みんなでワイワイやるっていうのはとにかく面白い。僕もこの「ePARAユナイテッド」の企画が決まってから、(プロジェクトチームの)細貝さんと「それ面白いですね!」「絶対バズるしテレビ行けますよ!!」ってずっと言ってたもん(笑)
(まだまだ密かな目標もいっぱいあるから)これからもっともっとチームワークを鍛えていきたいよね!

りょう:何よりもみんなで同じ目的に向かうっていうのが、まず一つ。しかもみんながそれぞれの日々の辛さや困難さなんかを理解し合った上で、ゲームという日常とは少し離れたものを駆使して、同じ目的に向かう。それだけでも楽しいのに、もしみんなでコンピューターに勝つことができたり、見ている方々が僕らの”本気の想い”にフォーカスしてもらえたりしたら…と考えただけでめちゃくちゃ楽しい!

とりちゃん:みんなで喜びを分かち合える、もうゲームやスポーツができないと思っている方々や諦めている人たちの救世主としてのeスポーツの存在。(自分たちのアクションを通して)それを見せることが、今回僕たちがグリーンのピッチをみんなで走り回る意義なのかなと、そんなふうに思っています。そして、攻撃ももちろん楽しいんだけど、連動した守備とか、サッカー経験者を唸らせるプレイもしていきたいですね!

キャンプ地でのFIFA22

今回のプロジェクトにかける想い

りょう:本当にみんなと楽しく勝利を目指して頑張ることはもちろんなんですけど、仮に足を引っ張ってしまったとしても、どうリカバリーできるのかっていうところは今後の生活や人生にもつながっていくと思うので、失敗を恐れず、アグレッシブにTry chanceの姿勢でプレイしていきたいなと、思っております。

つばさ:一番気合入ってるし、僕が一番楽しみにしているのはもちろんですけど、普段自分がYouTubeチャンネルで「誰かに勇気を与えたい!」とか「何かのきっかけになったらいいな!」という想いで発信をしているので、「オレもやってみようかな!」と思ってくれたら嬉しいです!とりあえず【キャプテン翼】のように、破天荒に若々しくプレイしたいと思います!!

とりちゃん:つばさくんにはとにかく、ゴールを決めて最高の笑顔を見せてほしいですね!期待しています。みんなに勇気与えすぎておじさんたちがベンチに下がることになるかもね(笑…りょうとアイコンタクトしながら)負傷交代とレッドカードには気をつけよう!プレイ自体ももちろんですが、本物のチームとしての空気づくりやお互いに声掛けできるような関係性を構築すること。これこそが『11人で車椅子サッカーゲーム』の意義だし、eスポーツの魅力を伝えることになると思うので、そこを目指していけたら。
お二人とも、今日はありがとうございました!!

最後に

たとえ思うようにいかなくてもゲームというフィールドで躍動する…。
全力でプレイし、全員でカバーし合う。
はたして当日、どんな景色が見られるのか、それぞれの観客席から応援してくれたら嬉しいです。

本インタビューの様子は、YouTubeチャンネル「とりすま」でも公開されています。こちらもご覧ください。

ePARAユナイテッド選手座談会vol.1

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長野 僚

先天性の脳性麻痺による車椅子ユーザーで、執筆や講演活動を行っている。Try Chance代表。著書『僕にしかできないこと あなただからできること〜障害を忘れられる瞬間を求めて〜』『日々是幸日〜想えば価値!~』

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