皆さんこんにちは。いぐぴーです。暑い日が続いていますが、いかがお過ごしですか。
前回の記事『全盲いぐぴーのチャレンジ!MINECRAFT体験版を振り返る』では、全盲の私が音と感覚を頼りにMINECRAFT体験版のプレイにチャレンジした結果を文章とイメージイラストで紹介させていただきました。もともとゲーム実況をしてみたいという気持ちを持っていた私ですが、前回の記事が公開されてから、この思いがどんどん強くなってきています。まだ環境が整えられていませんが、準備ができ次第すぐにチャレンジして発信していきたいと思います。
前回冒頭でも書かせていただきましたが、私は生まれつき全盲です。今回の記事は、「全盲の私がeスポーツ大会を観戦」したレポートです。
7月25日に開催され、ePARA(イーパラ)も参加した第2回PUBG Mobile企業懇親戦を観戦した際の模様や、そこで考えたことを綴ります。
PUBG Mobile企業懇親戦とは?
企業が関わるイベントと言うと、「運営も参加者の大半も超一流企業ばかり」とか、「超大物実況者と超有名企業のコラボで実現」というような、そんなイメージが有るかと思います。私が持っていたイメージもそうでした。
しかし、PUBG Mobile企業懇親戦は、運営に関わっているのはすべて個人。ChillingCharoさんが企画を考え、PR動画やアーカイブ動画の編集を担当されたFUJINOWARANOさんが命名して始まったのだそうです。
第1回大会には12チームが出場。そして第2回大会には25チームが出場。
私が応援させていただいた「私立ePARA学園PUBGモバイル部」も、25チームの1つとして出場しました。
全盲いぐぴーがPUBG Mobile企業懇親戦の観戦会に参加したきっかけ
私がこの大会の観戦会に参加したきっかけは、大会10日前にオンラインで行われたブラインドeスポーツ座談会内の話題です。
もともとPUBG MobileのようなFPS系ゲームにかなり興味があった私。しかし、PUBG Mobileは全盲の私にはプレイするのはかなり難しいゲームの一つです。もしプレイできるとしたら、自分に1~2人のナビゲーターについてもらい、ガイドを受けながらのプレイになります。いつか自分がチャレンジするための環境を整えるために、「一度部活動に参加して観戦会で応援しながら勉強するのも良いかもしれない」と感じました。
また、私は、一人でゲームの実況配信を楽しむことが大好きです。
リーグ・オブ・レジェンドやスプラトゥーン、PC版のPUBGなどの大会の配信もよく視聴していました。一人で音だけを聞いて楽しむのもいいけれど、たまには複数人で楽しんでみたいなあ、という思いもあり、参加することに。大会直前の部活では練習の様子は見学できませんでしたが、観戦するなら全力で応援せねば、と一人で燃えていました。
全盲いぐぴーのPUBG Mobile企業懇親戦観 戦録
PUBG Mobile企業懇親戦の観戦会は、WEB会議システム・Zoomを使用して行われました。参加メンバーは、通話をしながら各自でブラウザを開き、YouTubeライブで大会の映像を流すという形で観戦。参加企業はシャープや凸版印刷など一度はどこかで耳にしたことがあるような会社ばかり。私は紹介の時点で興奮しました。そして実況解説を担当されたミシェルさんの軽快なトークにもびっくり。良い勉強になりました。一人で最後まで喋り倒せるのは本当にすごい!
第2回PUBG Mobile企業懇親戦スタート
大会の様子は、実際の状況から3分遅延という形で配信されました。戦場に降り立ち試合がスタートするところから熱戦を想像させる密集具合で、他メンバーが驚きの声を上げたのを聞いて私もドキドキ。試合の後半、至近距離での打ち合いの音を耳にしたときには、ゲームをしていないし映像も見えていないのにものすごくハラハラしました。このゲームに限らず、バトルロワイヤル要素のあるFPSはその緊張感があるから楽しめるんだろうなと思った瞬間でした。
普段いろいろな配信サービスで実況を視聴することが多かったこともあり、私は聞こえた音から、大まかにではありますがどんな種類の武器が使われたとか左右どの方向で打ち合っていたかというようなことは把握できました。それ以外の細かい情報は一緒に観戦したメンバーが教えてくれていたので、最初から最後まで楽しむことができました。武器の名前まではわかりませんでしたが、「さっきの銃は音が軽いからサプレッサー付いてるのかな」とか、「ものすごい重低音だったからさっきの音はショットガン」とか、自分自身が想像できたことを声に出して、他の観戦メンバーを驚かせることができたのも、観戦会が楽しかったと心から思えた要素の一つかなと思います。
この大会でのePARAの順位は、25チーム中12位。ドン勝(優勝)とはなりませんでしたが、安全地帯を背にして逃げ回る作戦がこの結果につながったのかな、と出場者も交え全員で振り返ってこの会は終了。
PUBG Mobile企業懇親戦 観戦会の感想
とにかく本当に楽しかったです。みんなで同じライブ配信を見て同じチームを応援するというのは本当に素敵だと思います。
私自身の反省点を挙げるとするならば、大会でよく使用されるマップの大まかな地形の把握、アイテムの正式名称・通称と音を一致させるなど、事前の情報収集(予習)が足りなかったこと。ここまでしっかりとできていれば、100%とまではいかないかもしれないけれど、もう少し奥深くまで楽しみながら観戦ができたのかなあと思います。
全盲でオンラインeスポーツ大会を楽しく観戦する5つのポイント
今回の観戦会を通じ、全盲でもオンラインeスポーツ大会を楽しむためにはどうしたらいいか、5つのポイントを考えてみました。
1.ゲーム音がステレオであるか【超重要】
PUBG mobileのようなゲームの場合、音声がステレオであれば足音や銃声などが左右どちらかから聞こえることである程度の状況把握がしやすいです。モノラルの場合、遠いのか近いかしか想像ができないので非常にわかりづらくなります。
2.解説がわかりやすいかどうか
いくら喋り倒せる実況者さんのトークでも、わかりやすい描写の入った説明がないと戦況を理解できません。私たちも「なぜ熱の入ったトーンで喋っているのか」といったことを理解できるよう、意識して聴くようにがんばります。
3.試合前後に流れるBGMの雰囲気が合っているか
今回は「懇親戦」というのが意識されていたのかとてもゆったりとした音楽が流れていました。BGMは、全盲の観戦者にとっては、言葉では言い表せない情報を伝える重要な役割を持っていると思っています。
4.良いヘッドフォンを使って聞いているか
全盲でもeスポーツ大会を楽しむには、視聴者側の環境も重要です。私は、スマホやパソコンの内蔵スピーカー・百均のイヤホンといったものはなるべく使わず、必ず良いヘッドフォン使う、という自分流のこだわりを持っています。いくら臨場感溢れる音が配信されていても、それを全部自分の耳で拾える環境がなければ、全盲でeスポーツ大会を楽しむのは難しいと考えています。
5.ゲームタイトルに興味を持っているか
一言で「eスポーツ」と言っても、ジャンルもゲームタイトルも様々。全盲を理由に「できない」「わからない」と決めつけてしまうのではなく、色々なゲームタイトルの情報を集め、自分が心からプレイしてみたいと思うゲームタイトルと出会うことが大切です。自分の好きなゲームタイトルの大会の配信を見つけることができれば、たとえ音と場面が一致していなくてもある程度楽しむことができるはずです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
映像が見えなくても最初から最後まで楽しめたPUBG Mobile企業懇親戦。大会から1ヶ月が経とうとしているところなので、余韻はもう抜けているかもしれませんが、出場者の皆さん、主催・運営の皆さん、観戦された皆さん、本当にお疲れさまでした。
次回はどんな試合が見られるか、ePARAチームは12位よりも上の順位に行けるのか。今から楽しみです。PUBG Mobile、機会があれば私もチャレンジしてみたいです。
このゲーム以外の大会にも言えることですが、トップは取れなくても、イベントに挑戦することに価値があると思います。
みなさんも一緒に積極的にチャレンジしていきましょう!