ボカロPのサ骨@レッドカードPこと、さこつでございます。
今回は2024年3月15日に川崎市で開催された、ウェルフェアイノベーションフォーラム2024のレポート記事をお届けします。
ウェルフェアイノベーションフォーラム2024って?
ウェルフェアイノベーションフォーラム2024は、企業や福祉施設など様々な関係者の連携で生まれた新たな福祉製品や、令和5年度の「かわさき基準認証福祉製品」を紹介。また、最新の福祉機器に触れ体験できるイベントとなっておりました。ePARAもいくつかの展示を行いました。
ウェルフェアイノベーションフォーラム2024公式サイトはこちら。
なお、2024年は川崎市制100周年だそうで、さまざまな分野で川崎市市制100周年記念事業が実施されているようです。
かわさき基準認証福祉製品とは
「かわさき基準」とは、福祉先進国とされるスウェーデンの福祉基本方針、理念を参考としつつ、日本の「介護保険における理念」を包含しながら整理したもので、自立支援を中心とした「人格・尊厳の尊重」「利用者の意見の反映」「自己決定」「ニーズの総合的把握」「活動能力の活性化」「利用しやすさ」「安全・安心」「ノーマライゼーション」として整理されています。
今回のフォーラムでは、これらを満たした製品が、かわさき基準認証福祉製品として認定され、川崎市長から認証書の授与を受けていました。
そのほかにも、車いす利用者向けレインウェア製品化プロジェクトの成果として報告された「雨の日に車椅子の方がかぶるためのカッパ」。そんな簡単なものかと思われるかもしれませんが、これが人間工学に基づいたり便利機能を搭載していたりした優れものです。実際に「これは使いやすいだろうな」と感じるものでした。一緒にいた車椅子ユーザーのとりちゃんも「良かった」と言ってました。
さこつが気になった企業:ユニバーサルデザイン株式会社
私としては音楽もやっている関係で、スピーカーみたいなものがあるな、とそれが気になりました。
ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社のcomuoon mobileは、「指向性を強くした(音の聞こえ幅を極端に絞った)スピーカー」で、難聴などの方のための製品です。マイクとスピーカーがセットになっており、その人だけに聞こえやすい、という製品でした。実際に体験してみて不思議な感覚になったのを覚えています。
その「音の聞こえ具合」をとてもいい感じに仕上げた結果、かわさき基準に認定されたそうです。
異色キャリアの女優:いとうまい子さんの講演
俳優をやりながら2010年に早稲田大学に入学し、早稲田大学大学院修士課程で高齢者に役立つ医療・福祉ロボットの研究に携わり、博士課程で基礎老化学を研究。かなりすごい人です。
そんないとうまい子さんは当日のトリの講演「異色キャリアの女優が拓くテクノロジーを活用した老化予防」に登壇されていました。
いとうまい子さんは大学で当初研究していたのは予防医学だったそうですが、ロボット工学へ転身。その両面から考えたのが、要介護につながるロコモティブシンドロームを予防するための「正しいスクワット」をサポートするロボット、ということでした。
こういうのは楽しくないと続かない、ということで、ゲーム性を意識して作られた、とのことです。ゲーム性?FitBoxing2を続けてダイエットをした経験のあるさこつとしては、なんだか親近感が・・・。(笑)
参考記事:
統合失調症のさこつ、FitBoxing2のダイエットで25kg減量。そこで見えた「こころの強さ」
ePARA運営「障害者向けeスポーツの体験コーナー」
さて、そんな「ウェルフェアイノベーションフォーラム2024」でePARAは、「障害者向けeスポーツの体験コーナー」で3つのコンテンツを用意しました。いろいろな方が体験に来てくださって、その場にいた甲斐があるというものです。楽しかったです。
『ストリートファイター6』をプレイする全盲プレイヤーと対戦
視覚情報を一切用いない、音重視の格闘ゲームプレイスタイルをePARAでは「心眼」と呼んでいます。これまでに、全盲ゲーマーが最強の心眼使いを決める「心眼CUP」、視覚障害の有無を問わず参加して楽しむ「心眼PARTY」を開催しました。
攻撃・ガード・相手との距離などを音だけで判断して闘う心眼プレイを可能にしているのが株式会社カプコンの『ストリートファイター6』。ePARAの全盲プレイヤーたちが開発に協力させていただいた多様な「サウンドアクセシビリティ機能」が搭載されています。(第1回心眼CUPでは『ストリートファイターV』を使用)
今回の『ストリートファイター6』の心眼コーナーでは「どうやって位置把握しているんですか!?」「左右はどうやって判別しているんですか?」などの質問が飛び交い、おそらくいちばん熱いコーナーになっていたと思います。
バリアフリーなコントローラー(Access™コントローラ―)でレーシング体験
Access コントローラーはソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が2023年12月6日に世界各国で発売したPlayStation®5用のコントローラーキットです。ボタンのレイアウトや割り当て変更、スティックの方向や感度の調整など、幅広いカスタマイズが可能で、持たずに据え置くことができ、開封も片手でできるなど、さまざまな障害を持つ人がゲームを楽しめるような工夫があちこちに施されています。
今回はこれを使ったレーシングゲーム体験を行いました。用意されたタイトルは、同じくSIEから出ている『グランツーリスモ7』。「リアルドライビングシミュレーター」と謳うほど、リアルさが魅力なのだとか。
大きいボタンのコントローラー(Flex Controller)で『ぷよぷよ™テトリス®2』を体験
このコントローラーにはいろいろな可能性を感じました。両手で操作したりもできて、なかなかの発見でした。レースのタイム上位に小さなお子さんが入っていたりと面白かったです。
Flex Controller(フレックスコントローラー)は、筋ジストロフィーや脳性麻痺のために肢体不自由を抱える方のために開発されたコントローラーです。一般的な形状のコントローラーを操作するのが難しい方でも、自分にとって操作しやすいボタンやスティックを接続してゲームを楽しめます。今回は、指の動きを細かくコントロールするのが難しい方でも押しやすい大きいボタンを4つ接続し、『ぷよぷよ™テトリス®2』を体験できるようにしました。
実際にプレイしてみましたが、個人的には難しかったです。『ポップンミュージック』の家庭版などには大きいボタンが合うかもしれないと思いました。
ウェルフェアイノベーションフォーラム2024でさこつが考えたこと
私自身も統合失調症で障害者ではあるけれども身体の障害は持っていないので、その目線から世界を見る、というのがどれだけ大変かということを感じました。
車椅子を日常的に使ったりしない私は、車椅子で使いやすいカッパなど考えたことがありません。そういえば両手使うから傘させないな、というのも今回を機に気付きました。
このように、いろいろな企業の方が福祉製品を考えて開発して、日々障害を持つ方々が暮らしやすい社会になっていけばいいなと思いました。広く流通してどんどんお買い求めやすい値段になっていけば、さらにいいですね!
他人軸から自分軸へ
また、私はいとうまい子さんが講演で述べられていた生き方、「他人軸から自分軸へ」という、要するに他人からどう見られるかではなく、自分がどうしたいかで生きる、というものは心に残っています。私もそう有りたいなと思いました。気持ちを楽にできてさらに自分に芯ができるという、なんともすばらしい考え方です。いろいろな方におすすめしたいです。
なお、いとうまい子さんは、講演前にePARAブースに立ち寄り、快く記念撮影に応じてくださいました。