どうも皆様、はじめまして。新しくBlind Fortia(ブラインドフォルティア)に参加させていただくことになりましたフミ武(タケ)と言います。網膜色素変性症による視覚障害があります。
今回の記事では、見えていた頃の簡単なゲーム遍歴から、プレイが難しくなった頃に出会った「ストリートファイター6」について書かせていただきましたので、何かの参考になれば幸いです。
では、拙い文章ではありますが、ご覧くださいませ。
格ゲーや音ゲーと過ごした少年時代
2024年現在、「デジタルネイティブ世代」と言われる世代がありますが、それを考えると自分は「ゲームネイティブ世代」になるのでしょうか。
物心がついた時にはファミコンが家にあり、一番古くて楽しい記憶は、「SPY vs SPY」という、プレイ画面が上下にわかれて対戦するゲームで、勝ち過ぎると妹が拗ねるので、子供ながらに気を遣って遊んでいました。
我が家はそこまでゲームに肯定的ではありませんでしたが、学校の友達は違うハードやソフトを持っていたため、おそらく、触らなかったハードを探す方が早いくらいです。アーケードゲームもそれなりに触れていて、音ゲーや格闘ゲームを主に遊んでいましたし、PCゲームやスマホゲームも、どうやって無課金の限界に挑めるかという、ちょっと趣旨の違った遊び方をしていました。
デジタル以外でもアナログゲームとして、大人になってから始めた将棋が楽しく、今では日本将棋連盟の支部運営も行っています。
わりとすべてのプレイ時間を合算したら、相当遊んでいる方でしょうし、こうして記事を書かせていただくなかで振り返ると、ゲームの進化を体験してきたな、と感じます。
唯一誇れるものがあるとしたら、中学生時代にやりこんだ「ストリートファイターZERO2」での連勝です。スト2の頃から友達でプレイをしていましたが、どうしても使用キャラに偏りが生じるので、何か別路線で勝ちたいと思って選んだのがザンギエフでした。
友達同士でもゲームセンターでもあまりプレイしている人がいなかったので、スーパーファミコン版のZERO2で練習した結果、友達同士でもいい盛り上がりになりましたし、ゲームセンターでは楽勝と思われてよく乱入されるのですが、それらを投げ飛ばして、気づいた時には27連勝していたことが小さな自慢です。
視力低下中に出会ったスト6とePARA
二十歳過ぎて、少し暗いところが見えにくくなったなと感じて、25歳の時に網膜色素変性症と診断されてから、少しずつ動きの少ないゲームや将棋を続けてきたのですが、2023年春頃には、それらも難しくなっていきました。ありがたいことにデイジー図書(※)や、見えにくくなった時の将棋はありましたが、やはり物足りなさを感じていた頃、ニュース記事を読んでいると、PS5にはテキスト読み上げ機能があり、スト6にはサウンドアクセシビリティなる機能があると書いてあったのを見て、子供の頃にテレビで紹介していた全盲の海外プレイヤーが格闘ゲームをプレイして、その脳内イメージを映像化して伝えていたことを思い出しました。
(※)編集局注釈:デイジー(DAISY:Digital Accessible Information SYstem)とは、活字による読書が困難な人々のための国際的なデジタル録音資料制作システムのこと。近年は音声だけでなく,画像やテキストデータとともにインターネットでも提供できるマルチメディア対応型記録媒体となっている。(参考:日本図書館情報学会『図書館情報学用語辞典 第5版』)
ひょっとしたら遊べるかもしれないと、すぐにYouTubeで検索すると、心眼CUPの動画に行き着き、日本でも同じように画面が見えなくてもプレイしている人がいると知って励みになりました。自分も同じように闘ってみたいと思い、すぐにその詳細を知りたいとePARAへメールをしましたが、冷静に考えれば大分警戒されても仕方がない勢いだったと思います。
PS2以来の家庭用ハード。そして、中学生時代にやりこんだストリートファイターZERO2以来のストリートファイター。
家族に設定を手伝ってもらいながら、サウンドアクセシビリティの設定をし、いざプレイ。
選んだキャラクターは、当時使い慣れたザンギエフ。
最初は距離感を音で覚えながらでしたが、あの頃練習をしていた1回転と2回転の技を決めた時、その感覚を身体が覚えていたことに興奮し、ストーリーでパーフェクト勝利できた時は、これでまた闘えると自信になりました。本当にこの機能を作ってくれたCAPCOM様と開発に関わったePARA様には感謝しています。
(関連記事:6月2日発売「ストリートファイター6」のサウンドデザインにバリアフリーeスポーツePARAが協力)
目隠しゲーム動画投稿の開始
もともとパソコン操作が好きなこともあって、ブラインドタッチはほぼ完璧なので、スクリーンリーダーにもわりと早く順応できました。
そこで、今まで室内で楽しめることの最後に残った、「ゲームプレイ動画投稿」と「ゲーム実況」をしようと動き出しました。
幸いPS5には、録画機能と配信機能もあるので、拙いながらも、YouTubeやXに投稿を始めて、サウンドアクセシビリティによって視覚障害者であってもメジャーなタイトルで遊べることを広める活動をしています。
そうしているうちに、先天性全盲のeスポーツプレイヤーNAOYAさんからBlind Fortiaに誘われ、心眼使いとして参加することになりました。Galaxy LaboratoryのMMさん、京さん、レントさんらの練習会にも参加させていただいたり、NAOYAさんの交流している高校生ともオンライン練習会に参加させていただいたり、積極的に活動しています。
(関連記事:バリアを超え、旅立つ仲間たちと過ごした冬の物語 − 立修館eスポーツ部×NAOYA 交流会レポート)
2月には、所属の垣根を越えてブラインドeスポーツを広め交流を深めようと、NAOYAさん、実里さん、MMさん、京さん、レントさん、そして自分の6人がプレイヤーとして戦う「Invisible Fighters Jamー座闘市ー」を全員で企画してYouTube上で配信しました。
手伝っていただいたJeniさんとむぎさん、サムネを作ってくれた友人には感謝の気持ちでいっぱいです。友達や将棋の教え子にも宣伝したら、「あれは本当に全員画面を見ないでプレイしているの?」と驚きと賛辞をいただき、興味を持ってくれたことに開催した意義があったと感じました。
「ゲームの楽しさ」を伝える人になるために
2024年4月から盲学校の鍼灸を学びにいくことに決めております。正直に言えば、かなり迷っていますし、定期的にYouTubeへ投稿をしていると一般の方からコメントをいただくなど少し手ごたえがあるので、伝えるということに重心を置くことも考えました。けれども、まずは地盤をしっかり固めて、自分が感じていた楽しさをどうすれば伝えられるか、また何が必要なのかを、3年間勉強をしながら考えて、腕を上げていくつもりです。
「Invisible Fighters Jamー座闘市ー」も定期的に開催を続けて、将来的にはブラインドプレイヤー16人以上のトーナメント戦をしたいです。
来年のEVO Japanにも出場できる準備は続けていきますが、仲間たちと予想している、2028年パラリンピックeスポーツでストリートファイター6が採用された時に、誰かが優勝できるように、お互いに高めあっていきたいです。
ストリートファイターについて語りたい思い出も他のゲームの話もまだあり、どこかで自分のライフスタイルである将棋についても、お伝えする機会がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
最後に、
彼の言葉を借りれば、「ここからが本番だ!」
自分が楽しんできた様々なゲームを
今後の人たちにも体験してもらえるように。
本気で楽しんで
音と創造力の世界を知らない人たちへ伝え
皆が平等にゲームを楽しめる時が来るように。
全力全開で伝えていきます。