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インタビュー

VR活用とePARAとの親和性・協業可能性を考える〜株式会社スペースリーCOO中嶋氏~

2021年4月25日にオンライン開催された「ePARA VR/テレワーク就活Fes」。このイベントは、VR(バーチャルリアリティー)を活用した日本初の障害者のための就職イベントで、VRによるオフィス訪問や業務体験を通して、ミスマッチを防ぎ、障害者雇用を促す試みでした。

そこでVR技術を提供していたのが、どこでもかんたんVRクラウドソフト「スペースリー」を開発・提供している株式会社スペースリー。今回は、ePARA代表・加藤大貴が、スペースリーのCOO中嶋雅宏氏にお話を伺いました。

お話ししてくださった方

中嶋雅宏さん紹介

東京大学卒業後に三井住友銀行に入行後、BNPパリバ証券で勤務。35歳(2016年)の時に大学時代の学友・森田氏と意気投合。中嶋さんが保有していた不動産で空室が出来たことがきっかけで、VRを使った内覧が出来れば面白いのでは?と思い、二人でVRビジネスを行う株式会社スペースリーを立ち上げ、現在5,000社ほどが導入している。
スペースリーの事業開発、営業、マーケティングを主に担当。
趣味はお子さんと遊ぶこと、美味しいものを食べること、そして旅行。

スペースリー社 × ePARA社 インタビューの様子

スペースリー立ち上げのきっかけ

加藤:スペースリーのスタートアップの経緯を伺っても良いですか?

中嶋:大学を卒業して銀行証券会社で仕事をしていた35歳ぐらいの時に、将来もこのままずっと金融業界でいくのか?と悶々としていた時期があり、人生1回しかないので挑戦してみるか、という思いがありました。加藤さんも元々安定した仕事をしていたということで共感いただける部分もあるかもしれません。

そんな悶々としていた時期に、大学一年生の時に同じクラスだった森田(スペースリー代表)に久々に再会したときに森田が言うのです、「VRがスマホでも簡単に見れるようになったのでぜひそれを事業化したい」と。
個人的に資産運用の形で不動産投資として物件を持っていましたが、その空室が出たのをきっかけに「これをVRで見れたらいいんじゃないか」と直感しました。実際に足を運んで内覧できなくても、リフォームが終わっていなくて室内が見れないときでも、VRで内覧したら決めやすいのでは、と。これは社会全体にとって価値がある話だと可能性を感じました。

それで週末の間に妻とも相談し、会社を辞めることにしました。そして、森田と2人で恵比寿の不動産屋に行って、事務所のワンルームのマンションを契約したのがスタートでした。今は従業員も40名ほどになり、VR事業も不動産業界を中心に5,000件以上に導入していただいています。

スペースリーのVRサービス

加藤:どういったことに力を入れているかなど、伺っても良いですか?

中嶋:不動産物件をVRコンテンツにして、物件案内で使っていただいています。また、VR就職Fesでもそうですが、企業のオフィス、特に今このコロナ禍だとオフィスに訪問ができません。そういった企業のオフィスの空間をVRコンテンツ化して、閲覧できるようにします。

他には、最近だと美術館で導入いただいているケースもあります。小売店や観光業界などでも導入していただき、オンライン上でVRを用いてわかりやすく表現したいという時に、幅広く使っていただけるサービスになっています。

加藤:ありがとうございます。美術館のお話も出ましたが、「どの辺まで視野に入れてサービスを広げていきたいか」といったお話を伺えますか?

中嶋:正直なところ、美術館やお店を見せるだけだと、事業として大きくするには難しいところがあるというのが本音です。

市場規模の話になりますが、やはり不動産は毎日市場が動いていて、退去する人もいれば新しく探す人もいるので、市場がとても大きいです。美術館や観光地の話になるとPRにはなるかもしれませんが、事業として大きくできるかというと難しいです。

ですので不動産以外のところですと、製造業を中心にVR空間で研修をしていただくサービスも提供しています。以前であれば研修所に集まることもできましたが、コロナの影響もあり、オンラインでできることはオンラインでしようという流れがあります。eラーニング、座学だけだと伝えにくいような研修内容をVRで再現し、習熟度を高めることも狙っています。

VRの研修への活用

加藤:VRでラーメンを作ったり、ピザの接客といったマルチタスクをこなしたりするゲームがあります。研修でもゲーミフィケーションを取り入れたりもしており、こういったVRの活用にはどういった感触を感じていますか?

中嶋:アメリカのケンタッキーフライドチキンでは調理をする過程をゲームの中で体験できたりもします。その延長で、例えば企業の研修の一つでOJTがありますが、現場で先輩社員が教えるのを横で見ます。ですがそれをCGで再現するとなると、ゲームを制作するのと同じようなプロセスになってしまいます。

そうなると専門的なプログラマーがそれを制作するということになってしまうので、高コストになります。ですので、今はその工場やキッチンにおけるオペレーションを360度カメラを使ってアーカイブするというアプローチでサービスを提供しています。

ePARAとの出会いと共感

加藤:ePARAでもVR就活Fesにてお声掛けさせていただきましたが、それらに対してどう感じたかなど伺っても良いでしょうか。

中嶋:弊社ではVR上のサービスを提供していて、VRで考える価値というと、時間や移動といった制約をなくせるというところにあります。通常では体験できないことが体験できるというところがやっぱりVRが持つ価値だというふうに思います。
そういう意味では障害者でもいろんなタイプの方がいらっしゃるとは思うんですが、例えば移動が困難な方にはVRの価値を提供できます。


前職、前々職の大企業で働いていたときは、障害者雇用において単純作業などをやっている障害者の方々を見てきました。でもそうではなく、障害者の方はzoomやVRといったいろいろなツールを使いリモートワークでその人の良さを生かした働き方ができる。それを目指すePARAさんには非常に共感ができます。障害者の方々に手段を提供することによって本来の価値を出せるようにしてあげたい。


私達の事業は障害者にフォーカスしているわけではありませんが、非常に共感できるところがあって、ぜひこのVR就活FesにおいてVRで職場を紹介したいというところはありました。

ePARAとの協力と相互発展

加藤:ありがとうございます。すごく温かくて、中嶋さん自ら出てきてくれるということに少し驚きもありました。今後協働可能なことなども伺ってみたいです。

中嶋:VRで研修を行うといったサービスを提供している我々としては、VR動画の制作のニーズがあります。動画編集などは、身体的な障害などは関係ない業務なので、その代行などをお願いできたらなと思っています。今は普通の動画編集をできる人はたくさんいますが、VRとなるとまだ新しい分野です。
そこでぜひePARAに所属しているクリエイターさんにお願いしてみたいです。ゲームの好きな方が多いのならば、VR動画制作のスキルを積みたい人や経験をしておきたい人がいるのではないかと。

加藤:素晴らしいですね。制作に関する研修からご一緒させていただいてもいいかもしれませんね。これからきたるVRの時代にとても夢が広がります。ePARAが運営するバリアフリーeスポーツカフェ「Any%CAFE」で一緒に教育コンテンツもできたらいいですね。

中嶋:バリアフリーeスポーツカフェの導入手順をVR化してみるのもありかもしれないですね。

加藤:すごい!ぜひ、カフェのコンテンツパートナーとしてお願いしたいです。ePARAでは三つの事業をやっているので今一度ご説明しますと、一つは就職支援。あとはeスポーツの大イベント。もう一つはWebマーケティングで、一見バラバラに見えるところで実は有機的に繋がっています。また、全盲の方を中心としたeスポーツチーム、Blind Fortiaも立ち上げました。

中嶋:ブラインドeスポーツに関しては本当に新しい分野ですね。ただただすごいので、一つのジャンルとして確立していっていただきたいです。

加藤:ありがとうございます!

インタビューを終えて

今回のインタビューでは、スペースリーとePARAでの今後の協働が期待される話し合いとなりました。障害者福祉に特化しているわけではない、でもVRの技術で幅広い人たちがさらに活躍することができるという思いは、ePARAとも共通した部分があります。今後もePARAではVR技術も取り入れたVR就活Fesなどの定期開催を予定しております。

VR技術のスペースリーとの相互協力関係は、障害者が自分らしく輝くことへの礎の一つとなることに期待ができます。今回インタビューにご協力いただいた、スペースリーの中嶋さん、本当にありがとうございました。

ePARA編集部

インタビュー企業:株式会社スペースリー
HP:https://corp.spacely.co.jp/
公式note:https://blog.spacely.co.jp/

インタビュアー:加藤 大貴(バリアフリーeスポーツePARA代表) 
Twitter::加藤大貴@バリアフリーeスポーツ「ePARA」代表
Facebook: https://www.facebook.com/koken3Kato
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