インタビュー

地域活性化のためのeスポーツ 群馬県庁eスポーツ部

いま、企業や社会人のeスポーツ部が続々誕生し、eスポーツが社員同士の交流のみならず、企業交流戦など、新たな企業間交流のツールとしても注目されています。今回は、初となる自治体編。ePARA代表・加藤大貴が「群馬県庁eスポーツ部」から田部井部長と山崎副部長(崎の字は﨑:大の部分が立)にお話をうかがいました。

インタビュアー:加藤 大貴(ePARA代表)

都道府県初!eスポーツと名のつく部署に所属する二人の自己紹介

写真中央が田部井部長、右が山崎副部長。左は部員のKさん

加藤:まず、お二人の自己紹介をお願いします。

山崎:群馬県産業経済部eスポーツ・新コンテンツ創出課 eスポーツ係の山崎といいます。私はeスポーツ係ということで、県内でのeスポーツ普及に向けてセミナーの開催や、今回のメインテーマである部活動の副部長を担当しています。私自身、eスポーツと言われるようなタイトルにそんなに触れてこなかったので、この1年、新しい刺激というか発見ばかりです。

田部井:同じくeスポーツ・新コンテンツ創出課 eスポーツ係で係長をしている田部井です。部活動では部長をしています。ドラクエ世代で、eスポーツは簡単なものからチャレンジしているといったところです。

加藤:よろしくお願いします。私どもの企画では今回初めて自治体を取り上げるので、どんな話が飛びだすのか楽しみです。

行政がeスポーツに取り組む理由

加藤:それでは、初めに群馬県におけるeスポーツに対する取り組みを伺っておきたいと思います。

山崎:eスポーツ・新コンテンツ創出課は今年度(2020年度)発足で、他には新しいコンテンツを開拓する係や、フィルムコミッションというロケなどを誘致する係があります。eスポーツ係としてはeスポーツの特徴を活用した「地方創生(ひとづくり、まちづくり、しごとづくり)」と「群馬のブランド力向上」に取り組んでいます。

田部井:我々の係は現在4人体制ですが、みんな「eスポーツが好きだからこの係に来ました!」というわけではないので、未知の領域なんです。そんな中で、まずは、自分たちがeスポーツの魅力を知り、理解を深め、そして、県内でeスポーツが広がることを願って始めたのがeスポーツ部です。

加藤:そうなんですね。ところで、群馬県は行政の取り組みとしてはかなり先行していると思うのですが、具体的にどのような取り組みをされていますか?

山崎:今スポットを当てているのは主に3つの層で、若年層、社会人、そして福祉分野です。若年層では、昨年11月に19歳以下を対象としたU19eスポーツ選手権を開催しまして、おかげさまで大盛況のうちに終えることができました。社会人に対しては、交流イベントやセミナー等を実施し、特に就職氷河期世代向けにeスポーツ関連産業やサイバーセキュリティをテーマにした講座も開催しています。あと、高齢者向けに健康増進などの効果を期待した取組を始めたところです。

田部井:正直、まだ手探りのものもあります。今年度の結果も踏まえて、これから長いスパンで行政が取り組むeスポーツを考えたいですね。そして、地域経済や産業の活性化につなげていきたいですね。

山崎:ちなみに、当課にはゲーミングPCなどゲームができる環境があるんですよ。イベント開催前にどのようなゲームなのか把握するために使ったり、eスポーツの知識を増やすために使用しています。

オンラインとオフラインの間で揺れる部活事情          

群馬県庁eスポーツ部 活動の様子

加藤:話をeスポーツ部の方に移していきたいかと思うのですが、いまどのくらいの規模で活動されていますか?

山崎:2020年の6月から産業経済部のメンバーを中心に始めて、現在は30名ほどがいます。今は部内だけではなく、離れた職場の方も多くいて、オフラインのときだと車で1時間かけてでも来てくれるんです。部員は男女問わず、年代も幅広くて、20代から50代まで揃っています。

田部井:ただ、新型コロナの影響で、しばらくオフラインでの活動ができていないんですよ。じゃあ、オンラインでやろうってなるんですけど、今度はゲーム機やソフトなど、ゲームをプレイできる環境がない、という方が出てきて、そこをどうするか試行錯誤といった感じです。

加藤:それは、他の企業eスポーツ部さんでも出ていたお話ですね。

田部井:みなさんその点は苦慮されていますよね。オフラインだと仕事が終わって、夕方6時半頃からできるんですが、オンラインのいまはみんなが家に帰り着いて、家事も一段落した夜9時くらいから。集まるのも一苦労で、できるメンバーでやるといった感じです。

県民に理解してもらうためには、まず土壌づくりを

加藤:そういえば、eスポーツに対する県民の方々の反応ってどうなんですか?

田部井:賛否も含め、いろいろな意見があると思います。eスポーツは新しい分野なので、まずは土壌作りをしていきたいですね。我々がどんなに頑張っても、周囲が盛り上がらないとダメだと思っています。県内のいろんな産業、あるいは県民の方にeスポーツを身近なものとして親しんでもらうことが大切だろうと、セミナーやイベント、U19eスポーツ選手権などを開催してきました。

山崎:あと、eスポーツが仕事に結びつくことを知ってほしいと。ただ、県内ではeスポーツの仕事がまだ少ないので、地元企業との連携も大事になってくると思っています。

田部井:これからの成長が期待されるeスポーツ関連産業で、若い人や就職氷河期世代の方が地元で働けるよう、行政として、しっかりと対応していく必要があると考えています。

山崎:もう一点、社会人とeスポーツの関わりで課題があって。県内の社会人eスポーツ部の声がまだまだ少ないんです。そこに対しては、私達が上手いわけじゃないけどeスポーツの活動をしていることを見せながら、県内のいろんな企業や団体にeスポーツに関わっていただきたいと思っています。

加藤:企業さんもそうですが、魚屋さん・肉屋さんなどの地域の個人商店さんの連合チームっていうのも面白いかもしれませんね。

田部井:そのとおりですね。県庁eスポーツ部がFacebookやtwitterで情報発信しているのは、そんな広がりを願っているからです。県民にeスポーツがあたりまえのものとして浸透してくれるよう、日々頑張っていきたいですね。

まとめ:行政がeスポーツの種をまき、広げていくことの可能性

今回のお話を伺って、行政がどのようにeスポーツに向き合っていくのかというテーマがまだ始まったばかりであること、日々試行錯誤の中で活動されていることを強く感じました。また、若年層、社会人、福祉分野と幅広い層にアプローチして地域の活性化に取り組まれており、この取り組みが花開く日が楽しみでなりません。そして、群馬県における社会人eスポーツ部の盛り上がりにも期待です。

今回インタビューにご協力いただいた、「群馬県庁eスポーツ部」のみなさん、お忙しい中ご協力ありがとうございました。

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