FINAL FANTASY XIV (ファイナルファンタジー14。以下、FF14)を知らないゲーマーはいないのではないでしょうか。
FF14は、世界中に広がる数多のプレイヤーに支えられ「MMOといえばFF14」と言われるほどの圧倒的なゲーム体験を提供し、高い知名度を誇っている作品です。そんなFF14の第四弾の拡張パッケージ「暁月のフィナーレ」が、2021年12月3日にアーリーアクセス開始、12月7日発売に発売となります。「終焉の時」を目前に控えた今、2013年の新生エオルゼアのβテストから参加し、今も光の戦士としてプレイし続けているライター彼岸花(@higanbanamikan)がF14の素晴らしさと今後の期待を語っていきます。
最初は転けたFF14、そこからの復活
最初にFF14が出たのは2010年9月30日、11年前です。しかし翌々年の2012年11月11日にサービスを終了し、スタッフ入れ替えで新生版が開発されます。そして2013年8月27日に「FF14新生エオルゼア」という新ゲームとなって再スタートをしています。
新生前のFF14は、端的に言うと不評でした。魅力的な世界観やキャラクターを備えながらも様々な不具合があり、完成度の高くな出来で酷評が多かったと言われています。
そこから現在の吉田直樹プロデューサー兼ディレクター(以下、敬意と親しみを込めて吉P)の手により、文字通り「新生」し、絶大なる人気と評価を得ていきます。
これまで数多くのMMOをプレイしてきた筆者ですが、新生エオルゼアに対し「これはMMOの覇権だ、求めていたものが全てある」と感じました。当時遊んでいた別のゲームからFF14に即乗り換えました。それほどまでに新生エオルゼアの時点で秀逸な作品だったのです。そして祖堅正慶氏による音楽も素晴らしかったのです。
緻密に作り込まれた世界観、キャラクター、物語
そしてその世界は今も拡張を続け、今回の暁月のフィナーレは旧版FF14〜新生エオルゼアから続く一大サーガの完結となります。これまで2010年から続く世界で紡がれた「星の命の物語」。そこに至るまでの拡張パッケージの紹介もしていきます。
哀しき千年の戦争が描かれる、蒼天のイシュガルド
「蒼天のイシュガルド」は、2015年6月にリリースされた一番最初の拡張になります。舞台は物語の急転を経て、皇都イシュガルドへと飛んでいきます。この拡張で圧倒的に印象的なのは「フライングマウント」が解放され、以後空を飛べるようになったことでした。そしてストーリーも人間の業やドラゴンとの千年の戦い「竜詩戦争」を経てドラマチックに展開されます。
忌まわしき「友」との邂逅、紅蓮のリベレーター
第二弾の拡張となった作品が2017年6月にリリースされた「紅蓮のリベレーター」です。暁月のフィナーレでも登場する敵、ガレマール帝国の皇太子・ゼノスが初登場。主人公である「光の戦士」に執着し、一方的に友と呼ぶ彼がどんなヤバイ奴なのか存分に味わえる作品でしょう。引き続き、重厚なストーリーで物語が展開されるのですが、主人公が世界各地を帝国の支配から救う事で、英雄としても盤石な地位を手に入れていきます。
それぞれの戦う理由、漆黒のヴィランズ
2019年7月リリースの拡張第三弾「漆黒のヴィランズ」では、舞台はなんと別の世界、いわゆる鏡像世界に飛びます。そこで滅びゆく世界を救うことが、元にいた原初世界を救うことにもなっていくという始まりで、最初は少しの戸惑いとともに新鮮さもありました。中でも必見なのは、この中で登場する「水晶公」「エメトセルク」「アルバート」が織りなすドラマです。登場人物それぞれに、涙なしには語れないほどの背景と「戦ってきた理由」があります。それらの解明を経て、物語は完結に向かっていきます。
物語は終焉へ、暁月のフィナーレ
第三弾「漆黒のヴィランズ」から2年5か月の歳月を経て、2021年12月3日に遂にベールを脱ぐ第四弾の拡張「暁月のフィナーレ」です。
第四の拡張では太古に一度星が滅びかけた時の謎が解き明かされ、光の戦士が星の終わりから世界を救うことが描かれるようです。まだ謎が多いですが、これまでの物語の集大成となる暁月のフィナーレ。吉Pも言っていましたが、これまでの長い冒険の中での出会いが終焉の物語を彩るようです。長い時間の中で物語の記憶が薄れつつある人は、これまでの物語の見直しをすると良いかもしれません。
新しい自分になれる
新たなスタッフとともに作り上げられ、練り上げられた緻密なストーリーと美しい世界。その世界は自分の好きな姿で走り回ることができます。
2013年頃、私は脳神経の疾患の悪化で独力で外に出れないほど体が弱り、常に布団の中で過ごしていた時期がありました。病床から本来ならば自由に動けないぐらいの体でした。そんな私は、エオルゼアを駆け抜けて今の自分と異なる「新しい自分」を手に入れていました。
時にはお兄さんとして、時には可愛らしい猫耳・うさ耳美女として、時には子供のような姿で。ここは一つの仮想現実・メタバース。現実とは違う姿でその世界の友人と遊ぶもよし、現実の友人と合流するもよし、散歩をするのもよし、強さを追求するのもよし。家を作って部屋を作ってのんびりするのもよし、ファッションを突き詰めるのもよし。音楽だって楽しめますし、演奏もできるようになりました。そこでは現実では実現できない色々なことが楽しめます。
FF14の世界でまず降りたつ「エオルゼア」では、ガレマール帝国や蛮神の脅威に慄く3つの国を救います。それに先立ち、まず一番最初に自分で作ったキャラクターを作り「なりたい自分」や「かっこいいと思う姿」「可愛らしい姿」好きな姿になることできます。中には既存のキャラクターを模してなりきるプレイヤーも。ルールさえ守れば何になってもいい、それはMMOの世界でとても楽しいことです。
正確や好みに合ったプレイスタイルでプレイできる
ゲームバランスも調整がしっかりとなされているので、やりたいジョブでクリアはしっかりできます。ちゃんとスキル回しや立ち回りを理解し、普通のゲームスキルがあれば最新節までクリアはできるはずです。皆を守り先導したければタンク。メンバーを癒しPTの要になりたいならばヒーラー。ギミックを処理しつつダメージを与えて敵を倒すDPS。とりあえず大まかに3つの役割があるので、性格に合った戦い方ができます。
気楽に遊びたい筆者は、身内と遊ぶときはDPSだけではなくヒーラーもタンクもこなしますが、知らない人と遊ぶときはDPS。こういった風にシチュエーションで立場を変えることもできるのです。友達だけではなく知らない人たちと遊ぶ機会もあるため、コミュニケーションスキルもあるに越したことはありませんが、パーティチャットで挨拶と人としての礼儀、最低限のやり取りができれば問題ないとも思います。
ゲームの主軸となるシナリオをクリアするには、バトルをしなければ先には進まないのですが、バトルだけしなければならないわけではない。序盤に解放されるゴールドソーサーというエリアでは各種ミニゲームが遊べ、特に「ドマ式麻雀」でFF14内で他のプレイヤーとも麻雀が遊べたり、ファションチェックという遊びや、宝くじのようなくじが楽しめるようになっています。いわゆるライト層、エンジョイ勢といった人も楽しめるようになっていますし、ガチ寄りの人たちには高難易度コンテンツがしっかりと用意されています。どんなプレイスタイルも許容してくれるのがFF14なのです。
暁月のフィナーレがすごい理由、ハマるワケ
蒼天のイシュガルド・紅蓮のリベレーター・漆黒のヴィランズから為るFF14の過去三回の拡張。そのシナリオはどれも評価が高く、時にはプレイヤーを涙させ、時には心を深々と突き刺してきました。そして、シナリオの集大成となる今回の暁月のフィナーレは、当然ながらFF14プレイヤーから高い期待感と高揚感を受けています。私は、シナリオライターである織田万里氏、石川夏子氏が生み出す世界観と物語の緻密さや心理描写などが素晴らしいと感じています。特に第三回の漆黒ヴィランズでは、石川夏子氏が描く各キャラクターの心理描写が素晴らしいと感じます。是非これは実際に味わって欲しいところです。
FF14は進化し続けている
これまで、2013年の新生エオルゼアから重厚なストーリーとともに8年の時を経たということ。それまでの歩みもそうですが、FF14の凄みは、堅実な運営によってゲーム自体もどんどん遊びやすくアップデートされ続けている点にあります。作品を作って世に出して終わりではなく、しっかりとプレイヤーの声に耳を傾け、直すべきところは直され、しっかりとプレイヤーの方を向いて運営・開発され、進化を続けているのです。
これからもまだまだ続くことが吉Pからも明かされましたし、8年続くサーガの結末である暁月のフィナーレも通過点ですらあり得るのです。正にいつ始めても始めどき。今回、一つの終焉を見送った後もその世界は続いていきます。
先述の通り、FF14の世界は一つのメタバース。世界中のたくさんの人々がいて、自分が動けば友達もできますし、友達と遊ぶことだってできます。現実がちょっとパッとしなくてもFF14の世界は過ごしやすいことも多々あります。そこは「一つの居場所」。だからこそ、そこに居心地の良さを見出しハマってしまう人が続出するのでしょう。10年間かけて練り上げられたもう一つの世界の作りこみに感嘆することは間違いありません。
エオルゼアの人々
FF14にハマる理由のもう一つが、「その世界の人々」の魅力です。そこには現実の姿とは違うけど、ある意味「現実よりその人らしい、本当の姿の人々」たちがいるとも言えると思っています。
FF14の中で、コミュニティを見つけ出す
公式にも「コミュニティファインダー」という、プレイヤーと繋がるための機能があります。「コミュニティファインダー」を使用して、遊ぶ時間帯の合うコミュニティや、プレイスタイルの近い人たちの所属するコミュニティを探し、参加することができます。もちろん自らコミュニティを探して声掛けをする勇気や、人を傷つけたり不快にさせたりしない礼節を持った上で臨めば、楽しい時間を創り出すことができます。
ただし、必ずしも楽しいとは限らないのは事実です。筆者も人が少ない時間にしか遊べず、また、高難易度コンテンツも引退し一緒に遊ぶ人がいなく、あまりモチベーションが上がらない時期もありました。ですが勇気を出しログイン時間の合う人をコミュニティファインダーで探し、リーダーさんに声をかけコミュニティに参加したところ、人の少ない時間に遊べる友達や知り合いができました。
ある程度ゲームに慣れ、友達が欲しいと思えたとき、公式でこういった機能を用意してくれているのは本当にありがたいことです。一緒に遊ぶ友達ができれば、より世界に没頭してしまいますので、深くハマってしまうことは必然と言えるでしょう。
FF14を遊ぶにはまず無料トライアルがお勧め!
ここまで読んで、もし新たにFF14を遊びたい人がいらっしゃったら。まずは無料のフリートライアルで遊んでみることをお勧めします。フレンド登録ができない、所持金に制限があるなどはありますが、蒼天のイシュガルドまで無料で遊べますので、とりあえずはこちらで良いとも思います。製品版に移行した後は月額課金とソフト代がかかりますので、とりあえずは無料で困らないところまで行き判断するといいでしょう。
PC版では好きな時に製品版のコードを入力し有料の製品版に移行ができます。ですのでセール時に買って手元に置いておくのも良さそうです。ただし、ps4/5版だと製品版を買った時に製品版移行開始となるので、セールの時に買って、後で好きな時に製品版に移行するといったことができません。そこはご注意下さい。
暁月のフィナーレ からFF14の中に入り始めることはおすすめしない
暁月のフィナーレを遊ぶには、これまでに紹介した新生エオルゼアだけではなく、蒼天のイシュガルドから続く拡張パッケージ全てが必要になります。そしてこれまでのすべてのシナリオの走破も必要です。暁月のフィナーレだけ買って、無課金でそこだけ遊ぶということはできません。
推測ですが、暁月のフィナーレ発売後、課金してこれまでのシナリオをスキップし、新しいシナリオに入れるアイテムも発売されると思います。しかし私としては、その選択肢はあまりおすすめしません。いきなり初心者が使っても、プレイヤースキルもないまま、シナリオも理解しないまま高レベル帯の新しい世界へ投げ出されるのでは、本来の魅力の半分も理解できないはずです。大変かもしれませんが、時間をかけ全てのシナリオを楽しみ一歩ずつ歩んだ方が、より深い感動と素晴らしいゲーム体験を満喫できるでしょう。
光の戦士は12月3日から月へ旅立つ
暁月のフィナーレの発売日は12月7日ですが、早期に予約をしたプレイヤーはアーリーアクセスと言って12月3日から拡張パッケージを遊ぶことができます。ですので、その日以降、もしかしたらFF14の世界にのめり込んで1−2週間は帰ってこない人も出てくるかもしれません。人によっては年始からオープンする高難易度コンテンツの攻略に挑み、当面は現実どころじゃない人もいるでしょう。それは決して推奨される生活ではないと思いますし、おすすめはできません。一方でFF14のファンとしては、FF14がそれほどまでの魅力に満ちた作品であることを理解していただければ嬉しいです。この「光の戦士」たちの星を救う戦いを生温かく、そして優しく、見守っていただけると幸いです。