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ePARAを支える人たち 座談会

JAPANNEXT社とともにインクルーシブなモニターの未来を考える-Fortia×スポンサー座談会- [PR]

ePARAとバリアフリープロジェクトチーム「Fortia」(フォルティア)の活動は、スポンサー企業のさまざまな支援により支えられています。Fortiaの週次ミーティングでの発案をきっかけに、ePARAスポンサーの担当者様とFortiaが直接お話しする座談会企画が実現しました!

第2弾は株式会社JAPANNEXT様。ePARAが2023年9月に岩手県盛岡市で開催した HACHIMANTAI 8 FIGHTSでは実に約40台ものモニターを貸し出してくださいました。ほかにも、国際福祉機器展(H.C.R.)川崎フロンターレファン感謝デー心眼PARTYクロスライン-ボクらは違いと旅をする-SEASON2など、多くのイベントでお力をお貸しいただいています。

座談会参加者

株式会社JAPANNEXT様

セールス&マーケティング本部長 剣持様

ePARA/バリアフリープロジェクトチーム「Fortia」

参加者主な障害特性
まるぽすアイザックス症候群
GreenBird自閉症スペクトラム
希央広汎性発達障害
左目にピンク色の花を飾っている男性のアイコン夕立P統合失調症
ゆづぱん下垂体機能低下症
広汎性発達障害
色覚異常
いちほまれ網膜色素変性症
Jeni筋ジストロフィー
あーりん(進行)筋痛性脳脊髄炎
線維筋痛症

Fortiaメンバーとモニターとの関わり

あーりん:私は神経難病があり、簡易電動車椅子を使って生活しています。瞳孔の調節がうまくいかないことがあり、目に強い光が入ると頭痛や吐き気などの症状が出ることがあるので、画面を見るときは色付きメガネで光の刺激を抑えています。
私の兄はモニターだけで4~5台持っていて、この座談会で兄のモニター愛にも少し共感できるようになるかな?なんて思ってます。

まるぽす:アイザックス症候群という日本に約100人しかいない希少な難病を患っています。筋肉が痙攣して痛みが出るのが主な症状で、私の場合は左脚のみにその症状が出ています。左脚に負担をかけないように、車椅子や杖を使って生活しています。
モニターは、YouTubeでのゲーム配信などもするので2枚持っています。

まるぽすの机。2枚のモニター、キーボード、スマートフォン、マウスが置かれ、マイクが設置されている
ゲーム配信もこなすまるぽすのデスク環境

GreenBird:発達障害の自閉症スペクトラム障害があり、主に対人コミュニケーションの障害があります。
モニターは144Hzの高リフレッシュレートのものを使っています。いろいろなゲームをプレイしていて、スマッシュブラザーズなどの大会にも出場しました。

希央:広汎性発達障害、ADHDがあるタイプの発達障害で、それに関連して双極性障害Ⅱ型もあります。デザインの仕事でIllustratorやPhotoshop、映像関係だとAfter Effectsなどをよく使うので、モニターは発色が良くDCI-P3などの規格に対応したものを選んでいます。JAPANNEXTさんの10.1インチモバイルモニターをはじめ、ガジェット好きなので7枚ほどモニターを持っています。

夕立P:統合失調症があります。通院から帰ってきたばかりで頭が回らず…ちょっとパスで!

ゆづぱん:私は指定難病の下垂体機能低下症と広汎性発達障害、気分障害、色覚異常、それにナルコレプシーの疑惑も出てきた感じで、まったり生きています。1型と3型の両方というレアな色覚異常があり、他の人が見えていないものも見えるみたいで、例えば、みんなが白いって言っている壁も、レインボーというか…キラキラして発光しているように見えるんです。
モニターは結構好きで、実家では縦型の大きいモニターを4台、それに真ん中に大きなモニターをドーンと置いて、それを眺めながらアナリスト気分を堪能していました(笑)。

いちほまれ:網膜色素変性症という進行性の目の難病です。徐々に視野が欠けていく症状があり、今は中心部分のみ見えている状態で、視野障害とか、ロービジョン、弱視と言われる状態です。普段は白杖を使って生活しています。
ゲーミングPCを使うようになってからゲーミングモニター(34インチのウルトラワイドモニター)を買いました。応答速度が上がったことで、ハンドルを切るタイミングを改善でき、さらに楽しさが広がりました。

Jeni:筋ジストロフィーという難病で車椅子に乗っています。進行性の難病で、筋肉がだんだん弱くなっていく病気です。ゲームのコントローラーを手でうまく操作できなくなったので、顎で操作するコントローラーを自作しました。
初めてのモニターは中学生の頃、ゲームのために買いました。基本的にゲームが大好きです。普段は144Hzと60Hzのモニターを使っていて、大会に行く際は、モバイルモニターを車椅子に搭載してどこでも対戦できるようにしています。

車椅子のJeniが他のプレイヤーと並んでゲームをプレイする様子。後ろにはスタッフや観客など大勢の人が立っている
モニターと顎コントローラーを搭載したオリジナル仕様の車椅子でEVO Japan 2023に出場したJeni

モニター用語
リフレッシュレート:モニターが1秒間に画面を更新する回数。単位はHz(ヘルツ)。
応答速度:モニターの色が切り替わるまでの時間。単位はms(ミリ秒)。

モニターってどう選べばいいの??

あーりん:モニターに関してこんなことで困ってるよ、こんな困り事があるって聞いたことがあるよ、などなど...お悩みがある方いらっしゃいますか?

希央:モニターのパネルや性能の種類が多すぎて、どれにすればいいのか分からないという声をよく聞きます。私も一度、使い慣れていない種類のモニターを買ったところ目に負担がかかり、「失敗したー!」と思ったことがありました。
人によってモニターの特徴との相性が大きく分かれると思います。その相性が分かりやすく知れるといいなと思っています。

剣持氏:液晶パネルは大きく分けてIPS、TN、VAの3種類に分かれています。IPSは発色が良く、TNは残像が少ないのでゲーミングにおすすめで、VAはコントラスト比が高いから映画などにおすすめ...といった一般的な説明はありますが、コントラスト比が高いと疲れてしまうかもしれないなど、障害のある方にとっての使い心地は正直あまり考えられてきませんでした。
3枚の液晶モニターを用意して、障害当事者の方に比べてもらうなどの実験をやってみてもいいかもしれません。

希央:こういう人にはこのタイプは実はあまりお勧めしないよ、みたいなナレッジがメーカーさんにあってもいいのかなと思いました。

剣持氏:見え方には好みや個人差もあるため、メーカーはなかなか断言はできません。こういう場合にePARAのようなパートナーが必要で、「検証した結果、我々はこうでした」という参考情報をシェアしていくことができます。パートナー企業と協力しながら考えていきたいですね。

モニター本体だけじゃない!あったら嬉しいこんなもの

もっとフレキシブルで、自力で操作できるモニターアームが欲しい!

Jeni:私のように車椅子の高さに合わせてモニターを調整する場合、市販のアームでは案外高さを出しづらく、モニターを顔に合う位置まで持ってくるのが簡単ではありません。そこで縦長のパイプを別に固定し、VESA規格のクランプを使って高さを調整する、なんてことをよくやっています。
これだと個々人で特別に作る必要があるので、アームの関節を増やしてもっと柔軟に高さ調節ができるとさらに良いのになと思います。

モニター用語
VESA規格(VESAマウント):テレビやモニターなどを固定するアームスタンドの国際規格。

剣持氏:モニターアームの関節を増やせばもっと柔軟に長さを調整できると思いますが、長くすればするほど耐荷重の問題が出てきます。
また、当社のモニターアームはすべてガス式なので、そもそも関節部分を増やせなかったり、モバイルモニターだと軽すぎて自由に動かせなくなってしまうのが現状です。軽いものでも自由に調整できるようなアームを実現していければいいですね。

まるぽす:私の場合、FPSゲームなどでマウスを握るときは手が下にくるように椅子の座面を高くし、それ以外のときは、症状がある足をできるだけ疲れさせないように座面を下げてゆったり座るようにしているのですが、その都度モニターの調整が必要です。ボタンを押すだけで角度や高さを調整できるリモコン式の電動モニターアームがあればいいなと思いました。

希央・ゆづぱん:そうなると価格が高くなりそう〜。

まるぽす:角度だと、垂直・ちょっと前に傾く・ちょっと後ろに傾く、高さだと、下・真ん中・上みたいな、大雑把に3段階とかでもいいので、あると非常に助かりますね。

剣持氏:チルトなどの傾き調整であれば、アクセサリーとしてその部分だけ作れば実現可能ではありますね。

まるぽす:上肢や下肢に障害があって、自分で簡単にモニターの角度を調整できない方もいると思うので、手元や、モニター下部のコントラスト調整ボタンなどの辺りで、モニターの高さや角度などが調整できると嬉しいです。

あーりん:介助者にモニターの位置を調整してもらう方もいるかと思いますが、微調整を口頭でお願いしても、「ちょっと」の感覚が人それぞれ違うから難しそうだなと思います。自分で調整できれば、障害があっても気楽にゲームを楽しめるようになりますよね。

手元で画面を切り替えたい!

テーブルとモニターを設置した車椅子に座るJeni

Jeni:KVMスイッチの切り替えを、モニターの側面や背面のボタンではなく外部のボタンでできるようになるといいなと思っています。
切り替えは介助者にお願いしているのですが、仕事中だと制度上介助を受けることが難しく、切り替えてくれる人がいないこともあるので、自分でも押せるような、切り替えのしやすい仕組みがあるとありがたいなと思いました。

モニター用語
KVMスイッチ:1組のキーボード・ディスプレイ・マウスで複数のコンピューターを切り替えて使うための装置。KVMはKeyboard、Video、Mouseの頭文字を取ったもの。

あーりん:国の障害者福祉制度の枠組みでは、仕事中や学業でのヘルパーさんの利用は認められていないんです。そのため、例えば家族が来るまで仕事の進行を待ってもらうこともあると聞いています。自分でできる方法が選択肢としてあれば嬉しいですよね。

まるぽす:モニターのUSB Type-Cなどに接続した外部コントローラーを手元に置いて制御できるとすごくいいですね。

Jeni:モニターを制御するボタンが大きめなら、音声入力で遠隔でボタンを押せるデバイスを使って音声で切り替えることもできます。特にゲーマーだと、PCとコンシューマーゲーム機とで画面を切り替えることも結構多いんです。

希央:そうそう!切り替えが面倒なんだよなぁ。

まるぽす:ゲーム配信のときはHDMIの分配器を使って、デュアルスクリーンの片方をコンシューマーゲーム機の画面にしてプレイしたりします。そういった切り替えが、同一のモニターならもっとスマートにできるというような機能があるとありがたいですね。

剣持氏:価格とのバランスも大切で、あまり使わない機能まで全部標準で盛り込むと価格が高くなり、結果的にあまり売れない商品になってしまう可能性があります。ただ、別売りのアダプターやオプションで機能を補えるようにすれば、モニターの選択肢も増えますし、多くの方に満足のいく商品を届けられるかなと思います。

かけたくなるようなオーバーグラスを!

ゆづぱん:アクセサリーの話題でいうと、ブルーライトやUVなどをカットするためにメガネの上からかけるオーバーグラスをアクセサリーとして出していただけると助かります。目に負担がかかるのでオーバーグラスが必要なのですが、かっこいいものが少なくて。もう少しスタイリッシュでかっこいいものがモニターメーカーさんから公式で出ると嬉しいです。

希央:モニターメーカーがこういったアクセサリーを出していくことで、いろんな人が使いやすいものを、いろいろな形で目指してます!とアピールできそうですよね。

剣持氏:これはやってみてもいいかもしれないですね。グラスはモニターのタイプによらず使えるので非常にいいですね。

新たな取り組み「インクルーシブプログラム」

ジャパンネクスト社インクルーシブプログラムのバナー

希央:JAPANNEXTさんの製品は、障害者手帳で若干お安くなるとかはないのでしょうか。今話してきたような付加機能を実現しようとすると、どうしてもコストが掛かります。障害の特性上その付加機能が必要、という方もいると思うので、ちょっと手が届きやすい価格であればありがたいなと思います。

剣持氏:障害者割引申請用の申し込みページを作って、手帳の写真を送っていただいて、当社からクーポンを発行するというような形であれば、2週間ほどあれば実現できるかと思います。

一同:早い!!!!

剣持氏:ですが、この制度を始めるにあたって皆さんに一つ相談がありまして。今回の取り組みをどのような名前にするのがふさわしいか、何かご意見ありますでしょうか?

ゆづぱん:「インクルーシブチャレンジ」とかどうですか?「インクルーシブ」という言葉自体が、SDGsのその先という感じで注目されていますし。

希央:「インクルーシブプログラム」とかも良さそうですね!

いちほまれ:若い人たちも学校でインクルーシブ教育とか受けているので、若い世代にもすごく分かりやすいんじゃないかと思います。

希央氏:インクルーシブプログラムの枠組みで障害者向け割引をやるというのはどうでしょう。「インクルーシブ」には「包み込んで支え合う」という意味がありますが、そういった支えていくためのプログラムのほうが、ただ割引をするのではなく、底上げを図っているというイメージになりそうです。

ゆづぱん:企業に対してもポジティブなイメージが持てますよね。包括的にみんなを支えていく、土台を上げていく、という思いがすごく伝わってきます。

剣持氏:インクルーシブプログラムの活動の一環として、割引やePARAとの連携をしていくのはいいですね。一緒に創っていくという形で進めていきたいです。

オンライン会議システムの画面に写った集合写真。縦3つ横5つの合計15の枠に各参加者が写っている

語り合うから気付けること

あっという間に2時間越えの大盛り上がりな座談会になりました。ツールや方法を考えれば障害があっても乗り越えていけるのだということが改めて実感できる機会となったのではないでしょうか。
障害当事者の困り事や感じていること、障害当事者の中ではもはや当たり前となっている日常を実際に企業様にお話しするだけでなく、こういった座談会形式で双方向に意見や質問を投げかけ合えることはとてもありがたく、貴重で有意義な会となりました。これを皮切りに、またこれからお互いにいろいろなディスカッションをしていければと思います。

JAPANNEXTの剣持様、この度は誠にありがとうございました。

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あーりん

筋痛性脳脊髄炎という原因も治療法も分かっていない難病を抱えながらも、車椅子チャレンジユニットビヨンドガールズのメンバーとしてステージに立ったり、バリアフリーマップアプリWheeLog!のアンバサダーや運営委員を務め、積極的に活動している、歩ける系車椅子ユーザー。 普段は分身ロボットカフェDAWNver.βでOriHimeパイロットとして働いている。

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