eスポーツインタビュー

eスポーツを科学する 福岡eスポーツリサーチコンソーシアム(FeRC)

福岡eスポーツリサーチコンソーシアム(FeRC)eスポーツインタビューアイコン

ePARA代表・加藤大貴が、eスポーツやゲームに関わる様々な方にインタビューする不定期企画。今回は、福岡eスポーツリサーチコンソーシアム(FeRC)の、作花浩聡会長にお話をうかがいました。

eスポーツにおける『アカデミック』を実現する

加藤:まず自己紹介と、FeRCの概要をお願します。

作花:福岡eスポーツリサーチコンソーシアム(通称:フェルク)の会長をしています、作花浩聡(さくか・ひろあき)です。FeRCは2020年2月15日に発足させたコンソーシアム(学術団体)で、企業としてはeスポーツなどゲームに関わる業界だけでなくIT企業、眼科医療に関わる企業、スポーツスクール企業に関わって頂き、それ以外にも大学の研究者・専門学校の教員をはじめ、視能訓練士、臨床心理士、鍼灸師、弁護士、税理士の方にも関わっていただいています。

加藤:幅広い業種の方が関わられているのですね。なぜアカデミック、学術的見地から団体を立ち上げようと思われたのですか?

作花:私は福岡地域戦略推進協議会(通称:FDC)のeスポーツビジネス創出分科会の会長も担当させて頂き、その関係で出会った大学教授の先生で、「eスポーツの業界にはアカデミックな部分がまだないよね」という話をし、何かできることを考え始めたのがきっかけです。
当時、参考にしたのがサッカーの世界です。日本サッカー界では、野球などに比べてデータを取り始めるのが非常に遅かったそうです。eスポーツにおいてもエンターテイメントとしての話題が先行するあまり、データを蓄積するという認識がまだ検討されておらず今後のことを考えると非常に大事になるだろうと考えました。
まずはエンターテイメントとして盛り上げることも大事なのですが、福岡eスポーツ協会がすでに盛り上げについては動かれていたため、それを補完する役目として我々は、『リサーチ』、eスポーツの学術的な調査を推し進めていくことになりました。このような考え方を説明し、賛同いただける企業や個人の方々のご支援を受け、発足しました。

加藤:ありがとうございます。今回インタビューをお願いしたのは、大学などのアカデミック側と連携した実証研究等がとても先進的な取り組みだと感じた点があります。今日はそういった現場のお話もうかがえればと思います。

福岡eスポーツリサーチコンソーシアム(FeRC)会長 作花 浩聡 氏

ゲームが育んだ 少年時代の友人とのつながり

加藤:作花さんのゲーム遍歴・ゲームとのつながり教えてください。

作花:小学校2年生の時にファミコンを親に買ってもらったのがゲームとの出会いです。『スーパーマリオブラザーズ』等も、もちろん経験しています。
そして中学に入る前に、ちょうどストリートファイター2がめちゃくちゃ流行して。ゲームセンターでずっとやっていました。その後スーパーファミコンの登場により家に居ながらストリートファイターができるようになり、それもたくさん時間をかけてやり込みました。その名残で今もeスポーツで唯一プレイできるのが、『ストリートファイターV』です。
子どもの頃はドラクエとかファイナルファンタジーとか、燃えプロ、ファミスタなどとにかく幅広く、いろんなゲームをやっていました。

加藤:ゲームから生まれた交友関係はありましたか?

作花:ゲームソフトをたくさん持っている友達の家にみんなで集まって遊ぶというのはよくありました。私の家はゲームに対して厳しい方だったので、そんなに買ってもらえなくて。友達のところでプレイしている時間の方が長かったような気がします。

加藤:その後ゲームから離れる時期はあったのでしょうか?

作花:中学から高校にかけては野球一筋という環境だったので、ほとんど触らなくなっていました。練習漬けで疲れて他に何もできないくらいの状況でした。その後の専門学校時代も、朝早くから夜9時ごろまで学校にいる生活だったので、ゲームとの距離は本当に遠かったです。

加藤:ゲームと再び向き合うきっかけになったきっかけは何ですか?

作花:我が子の存在です。Wiiあたりから子どもがゲームに興味を持ち一緒に触り始めました。仕事でeスポーツに関わるまでは、子どもの相手をするときがゲームに触れる唯一の時間でした。

プロサッカーの事例に学んだ、データ分析の大切さ

加藤:作花さんが、仕事でeスポーツに関わられるようになったのはどんなきっかけだったのですか?

作花:EVOJapan2019というeスポーツ大会が福岡で開催されるタイミングで、当時私が働いていた専門学校の生徒が運営スタッフとして関わることになりました。その際に学校内にてeスポーツ部の立ち上げを担当したのがきっかけです。

加藤:そこからFeRCにはどうつながっていったのですか?

作花:半年後ぐらいに、FeRCの構想に繋がる出会いとして、元Jリーガーの方とお話しする機会があり、「サッカーではデータを取り始めるのが非常に遅かった」という話を聞いて。Jリーグ発足後少し経ってから「データによる分析やりましょうよ」と話題が出たときに、「今まで数年間何もやってないから別にやらなくてもいい」という考え方の意見と、「今後の事を考えるとすぐにでもやるべきだ」という意見に分かれてしまい、導入までに時間がかかったそうです。
その結果選手によっては全盛期のデータが残ってないっていうことがあったと聞きました。そうなるとデータを分析したくても出来なくなり将来的にはもったいないことになります。
eスポーツでデータを集めるっていうのはリアルスポーツと同じで非常に大事なことであり意義があるのでは?」という話になりました。それだったら一緒にやりましょうと大学の研究者たちを筆頭に、異業種の方達とどんどん繋がっていった形です。

幅広い層を対象としたFeRCの研究

加藤:いい出会いがあったのですね。FeRCとしては今どのような動きをされているのでしょうか?

作花:FeRCの目的としては、リサーチの対象を絞ってはいません。現在プロプレイヤーの方も、これからプロを目指す学生さんも、eスポーツに興味を持つ小中高生も、eスポーツに全く興味がない保護者の方や高齢者の方もリサーチ対象になります。
それぞれに対して必要となるものは違いますが、eスポーツに関わることでどう影響が出るかっていうのが、まだ誰もデータとして出せていない
仮に悪いデータが出た場合、どうすれば良い結果に変化させられるか、解決案を出すこともできる。良いデータが出た場合、よりそれを推し進めることもできる。例えば「高齢者の健康寿命が延びる」というような効果を見極めていくことができます。

加藤:リサーチ対象は絞っていないのですね。

作花:私はいつもまず大前提として、「eスポーツはあらゆる壁を払拭してくれるものだ」という説明をしています。
ePARAのみなさんはもうご存知だと思いますが、eスポーツは障害がある方であろうが、健常者であろうが大差なく、ルールさえ理解していれば同じフィールドで競技を行うことができます。区別することは必須ではありません。地域の違いや男女の力の差、年齢も関係ありません。壁を作る必要がないのです。このようなスポーツは存在しません。ですから、逆にeスポーツのリサーチ対象を絞ってしまうとeスポーツの良い部分が見えなくなってしまうと考えています。
FeRC発足当初は小学生のリサーチを先行する予定だったのですが、コロナ禍の影響により延期になってしまい、結果的に先に高齢者への影響について実証実験を行政と連携して行うことになりました。

FeRC(福岡eスポーツリサーチコンソーシアム)実証実験

eスポーツを科学することで日本の文化にしたい

加藤:最後に、これからのFeRCの目標を教えてください。

作花:最終的なビジョンとしては、例えば教育委員会に色々なデータを持っていき、eスポーツは一概に悪いものばかりじゃない、関わることでさまざまな効果が見込めるということを立証し、「eスポーツを教育で使える」環境を作りたいですね。
ゲームは敷居が低いので入り口をゲームにすることでパソコンのキーボードやマウスの操作に触れさせると小学校のプログラミング教育の一つになり得るかもしれないし、思考能力だけでなく技術的な何かをやる体験だったり、中高の部活動の位置づけだったりと、色々な可能性があると思います。
それをやって何か意味があるのか、どんな効果があるのか、などを追及する人たちはたくさんいると思います。でもそのような意見の方たちは意味がないし効果がないと言い切れるだけのエビデンスがなかったりします。だからこそ我々がしっかりとリサーチを行い、情報提供をし、データとしてエビデンスを示すことで、eスポーツの取り組みを採用してもらえるような形に仕上げていくことを福岡から日本全国に広げたいですね。このように今後の日本のためにと思える企業には是非FeRCに参画していただきたいです。そしてみんなで盛り上がりを定着させていって、最終的にはeスポーツが日本の文化として定着する形に落とし込みたいと思っています。

インタビューを終えて:eスポーツを科学することで拓ける未来がある

今回のインタビューを通して、今後はeスポーツの分野においても、学術的・科学的な分析研究が重要になっていくことを感じさせられました。また、研究対象をあえて絞らず、幅広い世代について知見を広げて分析していく姿勢には感銘を受けました。
ePARAとしても、アカデミックな見地からの取り組みには非常に興味を持っています。今後のFeRCのみなさんの取り組みと、その先の未来が楽しみです。
今回インタビューにご協力いただいた、FeRCの作花会長、本当にありがとうございました。

参考URL

インタビュー先:FeRC(福岡eスポーツリサーチコンソーシアム)
公式サイト:https://www.ferc.jp/
Twitter:https://twitter.com/Fukuoka_eRC

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インタビュアー:加藤 大貴(バリアフリーeスポーツePARA代表) 
 Twitter: https://twitter.com/koken_3
 Facebook: https://www.facebook.com/koken3Kato
国家公務員を辞めてまで実現したかったこと~ePARA代表加藤が振り返る~

編集:希央 (ライター)
Twitter: https://twitter.com/FClaustra

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