「夏だ!祭りだ!eスポーツだ!」と盛り上がっていた日は遠く、すでに秋が深まってまいりましたが、冬がやってくる前に3日連続今夏のイベント報告をお送りいたします!
第二弾は、「バリアフリープロジェクトチームFortia(フォルティア) from ePARA」からブラインドeスポーツプレイヤーのいぐぴーさんと、先天性の左半身脳性麻痺を持つひだりぃさんが参加した「アテナ祭オンライン夏祭り」のレポートです。
8月20日に行われた「アテナ祭オンライン夏祭り」に、いぐぴーさんとひだりぃさんが招待枠で参加しました。豪華な配信者が集まる中で緊張した様子でしたが、結果を残すことができ、このイベントを通じて新たな可能性も生まれました。この記事では、ライターyuudaiが見たイベントの様子を執筆します。
「アテナ祭オンライン夏祭り」概要
Olipipiさん、おまんぺこさんが主催の、2021年夏を盛り上げるビッグイベント。
「自粛等が続き、毎年楽しみにしていた夏祭りに行けない子どもたちに、フォートナイトを通じてお祭りを楽しんでもらいたい!外に出ることができなくても、今年の夏も楽しかった!と思ってもらいたい」という思いから開催するオンライン夏祭りイベントです。
プログラムは3つ。
・「現地集合」 2021最強選手決定戦
・フォートナイト 「エンジョイカスタム」
・フォートナイト 「夏祭り クリエイティブマップ」
コロナ禍で夏祭りが開催されない中で、ワクワクさせてくれるオンラインイベントを開催できるのもゲームの魅力の一つですよね。
Fortiaのいぐぴーさんとひだりぃさんが参加したのは、フォートナイト「エンジョイカスタム」です。
フォートナイト「エンジョイカスタム」ルール
全4試合ありました。
1試合目〜3試合目
通常デュオ、特別なルールなし、視聴者も参加して楽しむことができます。
4試合目
UFO大将縛りマッチ(スクワッド)。チーム内で大将を1人気決め、大将が倒される(UFOが墜落する)とチーム脱落です。UFO以外の3名はUFOを護ります。UFOを撃ち落とし、最後まで残っているチームが勝利です。
大盛り上がりの「アテナ祭」
1試合目
2人は「ボニー・バーブス」に降りますが、別のチームも降りていて、すぐに倒されてしまいます。いぐぴーさんが、緊張で普段の動きができないひだりぃさんに「どんまい!次がんばろう!」と声をかけていました。明るく前向きな、いぐぴーさんの長所が発揮されました。緊張している時に前向きな言葉をかけられると、リラックスできますよね。
2試合目
「10分間生き残る」を目標にして臨んだ2試合目。通常マッチでは激戦区である「レイジー・レイク」に降ります。イベントでは他のチームが降りないだろうと予想し、見事的中。降りたのは2人だけです。既にアンチにも入り、他チームを迎え撃ちます。ひだりぃさんからいぐぴーさんに、取りやすい位置にアイテムを落とす、こまめに移動する方向を指示するなど、コンビネーションも抜群です。
アンチに入ってきた他のチームに、ひだりぃさんが先に倒されてしまいました。しかし、落ち込むことなく冷静に、いぐぴーさんに隠れる指示を出します。先に倒されてしまっても、目標を達成するために2人で協力して良い結果を残そうとする強い意志を感じました。いぐぴーさんも倒された後、反省点やこれからの活動などの話をするなど、ポジティブな2人。結果も22位と大健闘でした。
3試合目
3試合目も激戦区の「プレザント・パーク」に降ります。2試合目と同じく、激戦区には他チームが降りないだろうと予想しましたが、1チーム降りていました。2人ともアイテムを集める途中で倒されます。落ち込むことなく「4試合目のスクワッドがんばるかー」と明るい2人。
すると、Fortia広報担当の直也さんがボイスチャットに入ってきて、雑談が始まります。直也さんが「フォートナイトをプレイしてみたい!」と伝えると、いぐぴーさんの熱い解説が始まりました。正直、とても驚きました。僕は数回プレイを見たことありますが、ここまで解説できるのかと思いました。全盲なので耳からの情報のみを頼りにプレイします。武器の発砲音、アイテムの種類など、全てわかりやすく解説しているのです。
僕はフォートナイトをプレイしたことはないですが、自然に理解できました。フォートナイトへの熱い想いが伝わってきた解説。この配信、ぜひ一度見て欲しいですね。
4試合目
4試合目は、はとぽぽさん、yumaさんとスクワッド(4人チーム)を組みました。UFOのはとぽぽさんが倒されると、チーム脱落になります。スクワッドは味方とのコンビネーションが重要です。初めてプレイする方とは、連携が上手くいかず、難しいのではないかと感じていました。しかし、yumaさん、はとぽぽさんといつも一緒にプレイしているかのようなスムーズな連携でした。
はとぽぽさんは上空からサポートし、yumaさんは、いぐぴーさんに対してアイテムを取りやすいように目の前に置く、崖を登るときに落ちないように道を2つ作りサポートするなど、とても親切でした。結果は8位。UFOを落とす練習をしてきたからみんなに見せたかった、と悔しがっていました。
いぐぴーさんの感想
「このような素晴らしいイベントに参加させてもらい、とても楽しかったです。ビクロイを目指して練習してきましたが、取れなかったので悔しかったです。感度調整や練習がもう少しできていれば、より良い連携が取れていたかもしれません。でも、最後まで楽しむことができたし、次の機会があれば全力で楽しみたいです!」
感度調整は盲目プレイヤーにとってはかなり重要です。味方に「ちょっと動かして」と言われても、感度が合っていないと違うところを向くことになります。ギリギリまで調整していましたが、完璧とまではいかず悔しさをにじませたいぐぴーさん。それでも「楽しむこと」をもっとも大切にして、前向きにプレイしていた姿が印象的でした。
アテナ杯で出てきた新たな可能性
いぐぴーさんは、アテナ杯のおかげでTwitchのフォロワーが200人超えになり、収益化を達成することができました。アクティブな全盲配信者は、いぐぴーさんを含めてほんのわずか。このまま配信を続けてフォロワーが増えると、全盲配信者・障害を持つ配信者の希望になるのではないでしょうか。明るくゲームを楽しむいぐぴーさんは、人気が出るに違いありません。フォートナイト、鉄拳を中心に配信しているので、ぜひ見てください。(いぐぴーさんTwitch)
ひだりぃさんは、先天性の脳性麻痺で、左の上下肢を思い通りに動かすことができません。フォートナイトが大好きなので、「アテナ祭」への参加が決まった時はとても喜んでいました。ピンチの場面でも冷静に建築を駆使して、有利な場面に持ち込めるのも強みの一つです。それに、いぐぴーさんに対してのサポートがとてもうまい。物資を取りやすい位置に置いたり、移動場所を誘導したりと、細かなところまで気遣いができるのも長所です。
また、ひだりぃさんもYouTubeで配信をしています。障害者として生まれたからには、ただ「障害者」として生きるのではなく、「強み」に変えたい。少しでも他の障害者を「勇気づけたい」、「障害者への理解を深めたい」と、強い思いを持ち活動しています。目標はチャンネル登録者数1000人。ひだりぃさんのYouTubeチャンネルも一度見てみてください。(ひだりぃさんYouTubeチャンネル)
これから目の離せない2人
Fortiaとして初めて「フォートナイト」のイベントに参加した2人。とても緊張していましたが、息ぴったりの連携で、2試合目では22位と結果を残すことができたのは自信になったのではないでしょうか。
僕も世界大会に出場した時は、頭が真っ白になり手が震えたので、2人の気持ちはよくわかります。笑
「アテナ祭」で2人の認知度は高くなり、10月17日に開催された国分寺青年会議所主催イベント「eスポーツの祭典 ~掴め VICTORY ROYAL」ではアンバサダーを務めました。
これからイベントに出場する機会も増えるのではないかと思れる2人の「フォートナイト」での活動に注目していきたいと思います。
いぐぴー
Twitter:https://twitter.com/@Fortia_Iguppy
Twitch:https://www.twitch.tv/iguppy1992
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ひだりぃ
Twitter:https://twitter.com/l_e_f_t_boy
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCkDoP-VQ63zDDFG3Tzr2jWw
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ライターyuudai
Twitter:https://twitter.com/yuudai_1105V
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