7月某日。第1回ePARA遠足。
Ginza Sony Parkにて開催中の「AUDIO GAME CENTER」』と、品川の「Any%CAFE(エニーパーセントカフェ)」に、ePARA代表の加藤大貴さんと、ePARAスタッフHosoさん、Fortia仲間の直也さん・たまさん・彼岸花の5名で行ってきました。
直也さんの素敵な声をゲームで聴けたことに感動し、オープン前の「Any%CAFE」にも行くことができて、とても楽しいイベントとなりました。コロナ禍で制約の多い中ですが、こうしてオフラインでもミーティングを開催したいと思える、楽しい遠足となりました。
「AUDIO GAME CENTER」でeスポーツ
「AUDIO GAME CENTER」は、銀座駅直結のGinza Sony Parkにて開催されている「音で遊ぶ、音から想像する。」をコンセプトとした、サウンドにて展開されるゲームを遊べるスポットです。(2021年7月18日まで開催予定)
そこでは、
- リズムアクションゲーム『スクリーミング・ストライクneo』
- レーシングゲーム『大爆走!オーディオレーシング』
- ストーリーテリングホラーゲーム『幽霊のいるところ』
の3つゲームが楽しめます。5人で遊んだのは『スクリーミング・ストライクneo』と『大爆走!オーディオレーシング』です。そこにはゲームセンターには必須とも言えるモニターやディスプレイがなく、音だけで楽しむゲームが繰り広げられていました。
リズムアクションゲーム『スクリーミング・ストライクneo』
Ginza Sony Parkに来訪した最大の目的は、リズムアクションゲーム『スクリーミング・ストライクneo』をプレイすることです。
実はFortiaでも活躍中の直也さんが『スクリーミング・ストライクneo』のナレーションを行っているんです。
音だけのリズムアクションゲーム、ガイドをするナレーションは聴きなれた直也さんの声。ヘッドホンを装着すると、優しさと安心感のある直也さんの声が聞こえ、ついつい感動してしまいました。やはり良い声は気分を良くしてくれます。
直也さんの声のガイドに従い、ゲームが開始されます。
まず、ヘッドホンを装着し、目の前の台にある3つのドラムパッドの場所を確認。音の方向を認識し、そこからヘッドホンで音の方向を確認し、3箇所のパッドを叩いて得点を出します。
当初の予定では各々が体験して終わる予定だったのですが、ePARA代表・加藤さんの、「せっかくだからこれもeスポーツしましょう!」という一声で、展示ゲームがeスポーツに変身。5人で点数を競いました。
直也さんは目が見えないながらも、手で触って叩く部分の位置を確認したあと、バチを持って堅実にプレイしていたのが印象的でした。
晴眼者の我々は音を聞き、パッドを目で見てのプレイでした。ですが、見えないと触感で位置の確認、それを覚え叩くということで晴眼者よりも操作自体は高難易度だったはずです。
それでも、直也さんは100点満点中78点という高得点。参加メンバー5名中2位という好成績でした。さすがです。
やはりブラインドゆえに聴覚に関しては優れているのか、的確に音のする方向を判断し、正しくパッドを叩けていたようです。
そして注目の一位は…?
Fortia内でFPSを得意としているたまさんが、、86点を叩き出し見事の一位!
普段からのゲームでのサバイバルや自衛隊の経験が光ったのでしょうか。
「AUDIO GAME CENTER」のスタッフさんいわく、この高得点はなかなか出せないそうです。おめでとうございます。
目だけではなく耳からも情報を得て的確に判断をし、即座に操作していくという日頃のプレイが活きていたのかもしれません。瞬発力やゲーム能力に長けたFPSプレイヤーならではの、納得の順位でした。
こちらがリズムアクションゲームの順位表です。
- たまさん 86点
- 直也さん 78点
- 彼岸花 50点
- Hosoさん 47点
- 加藤さん 35点
ゲームとなると、ゲーマー勢が上位に行きやすい部分もあるのかもしれません。たまさんはFPSで、直也さんは日頃の生活で鍛えられた抜群の聴覚と鉄拳で鍛えられた反射神経。
実際にプレイしてみると、音のなる方向を素直に叩けば良いのですが、即座に判断ができなかったりします。また、忙しく操作するタイミングもあり、集中力も的確な操作も求められます。
ゲームを通して「聴覚を頼りに何かをする」ことの難しさを感じることができました。意外と目を瞑った方が音の方向がわかりやすいのも、プレイした実感です。
レーシングゲーム『大爆走!オーディオレーシング』は意外な展開に?
次に挑戦したのは、「大爆走!オーディオレーシング」。音楽のなる方向にハンドルを切って走る、音を頼りに走るレースゲームです。これは本格的なシートとハンドルがセットになっていて、ゲームセンターにあるレースゲームによく似ています。ですが普通なら前面にあるべきモニターがなく、ヘッドホンだけです。
ペダルも備え付けられたシートに座ってみると、確かにレースゲームの感触なのですが、音だけを頼りに走ってみると難しかったです。
アクセルを踏み、音楽が鳴る方向へハンドルを切るというだけなのですが、途中で邪魔が入ったりラップが入ったりもするので難易度は高かったです。なによりも、音の方向がちょっとわかりづらくも感じます。これは追うべき音の他にも別の音も混ざっていたからでしょう。
冷静に耳をすまし、なんとか音の方向へ向かって走る操作をしましたが、実践してみると普通のレースゲームより難しいゲームでもありました。
- 彼岸花
- 直也さん
- Hosoさん
- たまさん
- 加藤さん
大穴!伏兵の彼岸花、謎の勝利です。元々車関係の仕事をしていて車の運転は慣れていましたから、そこで培われたドライビングスキルが活きたのかもしれません。そして実は日産シルビアのドリフト仕様車を乗り回していた時期もあり、運転に関しては自分で思うよりも得意だったようです。
目を瞑り、集中して音を頼りに走りましたが、難しくも楽しかったです。
なにより注目すべきは、またしても二位という好成績の直也さんです。直也さんは盲目であることから、車の運転経験はないはずです。にもかかわらず、音を頼りにハンドル操作とアクセル操作をこなしてレースゲームができました。
音が主体のゲームで「聞く」能力が存分に発揮されたのかもしれません。運転経験がある人よりもレース結果が優れていたという結果でした。
音の世界で強い盲目の格闘家、直也
今回、音にフォーカスしたゲームを遊ぶことができた「AUDIO GAME CENTER」。そこで感じたのは、音しか頼りにできないことの難しさと、普段からそのことに慣れ親しんでいる盲目の方の聴力です。
ゲームを通して、普段見ることのできない観点で物事を見るきっかけになる素晴らしいイベントでした。晴眼者は普段、情報の殆どを視覚情報から得ています。ですが直也さんとともに音のゲームを楽しみ遊んだことで「音でここまでわかるなんてすごい」と、視覚障害に対して理解し応援したい気持ちが更に深まりました。
耳が声が、感覚が素晴らしい。みんな違ってみんないい、みんな何か素敵な強みがあるんだと感じた「AUDIO GAME CENTER」でした。
潜入!バリアフリーeスポーツカフェ『Any%CAFE』
ゲームで大盛り上がりした後は場所を変え、クラウドファンデングで100%を遥かに超える目標達成をしたバリアフリーeスポーツカフェ「Any%CAFE」へ遊びに行きました。
「Any%CAFE」は、JOYSOUND品川港南口店の1階にあるスペースをお借りして開かれます。品川駅徒歩2分(改札から5分程度)という好立地にあり、誰でも入りやすく、とても綺麗な場所です。通常時は10名ぐらいで利用可能なスペースがあります。(2021年7月時点ではコロナ対策の観点から5名以内です)
室内には、ドラムセットもあります。
気になったのはブラウン管テレビとメガドライブミニ。これはRTA(ゲームのリアルタイムアタック)に用いるには最高の品で、加藤さんが直々に入手し鎮座しています。その他にも様々なゲーム用の設備が整っており、みんなでゲームをする環境としては快適に感じられます。
有線接続もできていて、大きな問題はありませんでした。
当日は、定期的に開催しているFortiaミーティングをオンオフ混合で開催し、いつもとは違う趣のFortiaミーティングを経験することができました。
別の階には最大200名集まれるスペースもあり、そこでePARA主催でのイベントなど開催できます。これだけの立地にしっかりした設備も整っており、素直に素晴らしい施設だと感じました。
着いた私たち5名は、早速メガドライブを使ってゲーム開始。
ぷよぷよやテトリス対決をし、一喜一憂しながら盛り上がりました。
「Any%CAFE」のクラウドファンディングから素敵なプロジェクトだと感じ、私もささやかながら支援をさせていただいています。「Any%CAFE」に直接足を運んで仲間と楽しい時間を過ごせたことに、心から嬉しくなってしまいました。
「楽しい」で繋がる人の心、自分らしく輝く場
第1回Fortia遠足で感じたことは、実際にゲームで一緒に遊ぶと仲良くなれます。そしてこの「ゲームは楽しい」を通じ、障害や病気があっても「自分らしく輝ける場」になると信じています。そんな活動を後押しするePARA。確実に形になり、実を結び続けています。
これからもきっと、Fortiaの活動やバリアフリーeスポーツカフェで開催されるイベントで沢山の「楽しい」があることでしょう。ePARAとFortiaの今後の展開が楽しみです。
七夕に願いを添えて
「みんながしあわせにくらせますように」
筆者の6歳の娘が書いた、今年の願いごとでした。
オフラインイベントでも感じましたが、飲食や飲酒に気を使い、マスクが欠かせず手指消毒を怠れないコロナ禍の今。
コロナがなければもっと楽しかったのに、という思いも否めません。
今も不幸せだとは言いませんが、楽しいことが制限される日々は続きます。
これからコロナのワクチンが行き届き、状況が落ち着けばきっとまたかつての生活が戻ると願っています。その時にはきっと幸せさも上がると期待します。
そして、病気や障害があっても自分らしく輝き幸せに暮らすこと。
そんな素敵なことを普通のことにしていく。ePARAの活動によって「生きていて幸せ」と感じる人がこれからも増えたら良いと思います。
心のバリアフリーを進め、障害の有無にかかわらず多くの人が幸せに暮らせる社会。そんな世の中を作るきっかけづくりを目指すのが、ePARAの活動でもあります。ePARAの活動が一人でも多くの人の笑顔につながりますように。