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【東京eスポーツフェスタ2026】パラeスポーツプレーヤーと一般参加者が白熱バトル!——『ストリートファイター6』によるエキシビションマッチ観戦レポート

eスポーツの普及と関連産業の振興を目的に開催されているeスポーツイベント「東京eスポーツフェスタ 2026」が2026年1月9日(金)〜11日(日)、東京ビッグサイトにて開催されました。東京都や関連団体で構成される実行委員会が主催するイベントで、今年で7回目となります。

そんな「東京eスポーツフェスタ 2026」内で開催された「パラeスポーツプレーヤーとのエキシビションマッチ」(企画:東京都スポーツ推進本部)のイベントレポートをお届けします。

パラeスポーツプレーヤーとのエキシビションマッチとは?

出演者は、ePARA所属のJeniさんとNAOYAさん。スペシャルゲストとして女子eスポーツチーム「G-STAR GAMING」をプロデュースする倉持由香さん、MCにはゲーム芸人のNOモーション。のおふたりが登壇した。

▲左からNOモーション。の星ノこてつ。さん、矢野ともゆき。さん、倉持由香さん、Jeniさん、NAOYAさん

採用タイトルは、ePARAがサウンドアクセシリビリティの監修を行った、人気格闘ゲームの最新作『ストリートファイター6(スト6)』だ。監修に直接関わったNAOYAさんは、全盲プレーヤーでありながらゲーム内ランク“マスター”に到達するというツワモノ。Jeniさんは、全身の筋肉が徐々に衰えていく「デュシェンヌ型筋ジストロフィー症」という難病を抱えながらも、アゴでキャラクターを器用に操作するプレーヤーだ。そんなふたりに挑戦するのは、一般来場者の5名。

▲左から、浅瀬シャロさん、のぶさん、カワギシさん、MikotoChanさん、トンプソンさん

パラeスポーツプレーヤーとのエキシビションマッチ対戦結果

ここからはエキシビションマッチの対戦結果をお届けしよう。

第1戦:浅瀬シャロさん vs NAOYAさん

浅瀬シャロさんは、『スト6』を始めて約2年、ゲームをきっかけにたくさんの方と知り合い、Jeniさん、そしてNAOYAさんとも知り合いになることをきっかけに本日参加したとのこと。なんといっても注目は、全盲のプレーヤーであるNAOYAさんが、どのように試合内容を把握しているのかという点だ。『スト6』には、相手との距離や自分の体力といった状況を効果音で確認できる「サウンドアクセシビリティ」機能が搭載されている。NAOYAさんはこれらの“音”を頼りに状況を瞬時に判断し、技を繰り出しているのだ。

▲攻めてくるNAOYAさん(画面左)を必殺技で追い返すなど対応が光っていた浅瀬シャロさん(画面右)だが、勢いのある攻めで畳みかけたNAOYAさんが2ラウンド先取で勝利となった ©CAPCOM

惜しくも敗れた浅瀬シャロさんは、「(NAOYAさんとは)普段から対戦している相手で、勝率は五分五分という感じなのですが、一本勝負となると何が起こるか分からないからドキドキしました」と、対戦時の緊張を語ってくれた。

対するNAOYAさんは「SA(スーパーアーツの略で、威力の高い必殺技)に当たって一巻の終わりを感じました。と思ったらガードできて……何とかなるもんだなって。ありがとうございます。すいません、緊張で言葉が出ません!」と心の声を吐露。普段はトークでの盛り上げが得意なNAOYAさんだが、この大舞台ではさすがに緊張が勝ったようだ。

第2戦:のぶさん vs NAOYAさん

なんとのぶさんは、普段から目隠しプレーを行っている猛者であり、NAOYAさんとは互いに視覚を封じて戦う「心眼バトル」で切磋琢磨する良きライバルだという。 そんなのぶさんが今回用意したのは、自身の使用キャラクターを模したアイマスク。両者がキャラの顔(アイマスク)をつけて対戦するという、なんともシュールで、ユーモアあふれる光景が繰り広げられた。

▲会場で持参したアイマスクをお披露目するのぶさん。NAOYAさんにも使用キャラを扮したアイマスクを手渡し、「心眼バトル」が開幕した

試合はのぶさんが終始リードし、NAOYAさんを追い詰める形に。互いに心眼を極めた者同士の戦いは、ストレート勝ちでのぶさんに軍配が上がった。

試合を終えたのぶさんは「何回かNAOYAさんとは戦わせてもらったことがあるんですけども、こんなすごい大きな舞台で戦わせていただいて——しかも勝てたので、すごくうれしいです。ありがとうございます」と喜びを語った。 対するNAOYAさんは、ストレート負けを喫したものの、「これ、普段私もよく対戦者から言われる言葉なんですけど……。絶対見えてるでしょ!(笑)」と心眼ならではのジョークを飛ばし、会場を和ませた。

第3戦:カワギシさん vs 倉持由香さん

カワギシさんは普段、障害者支援の仕事に携わっており、格闘ゲームを子どもたちや障害者に広める活動も行っているという。 そんなベテランプレーヤーだけあって、試合は圧巻のストレート勝利。倉持さんの操るリリーの狙いをことごとく阻止する立ち回りで、ベテランの威厳を見せつけた。

▲倉持由香さん(画面左)を画面端に追い込み、怒濤のラッシュでたたみ込むカワギシさん(画面右)。リリーの得意な間合いに寄せ付けないといった対策で勝利をつかんだ ©CAPCOM

試合後、倉持由香さんは「昨日も夜中まで夫(ふ〜ど選手)とエド対策してたんですけど、めちゃくちゃリリー対策されちゃってて、読み合いに持っていけなかったです。めちゃくちゃ強かったです!」と完敗を認めるコメント。

対するカワギシさんは「3日間ぐらいリリーのことしか考えてなかったです。やっぱりふ〜ど選手の対戦見てますんで、絶対勝ちたいと思って頑張ってきました」と語り、お互いの気合いがぶつかり合った名勝負だったことをうかがわせた。

ちなみに、倉持さんの夫であるREJECT所属のプロゲーマー・ふ~ど選手は、カワギシさんと同じ「エド」を使用し、数々の大会を制してきたトッププレーヤーだ。そんな“最強の練習相手”と対策を重ねてきた倉持さんを打ち破ったカワギシさんの実力は、まさに本物と言えるだろう。

第4戦:MikotoChanさん vs Jeniさん

MikotoChanさんご自身も聴覚障害を抱えていて、「障害者でもやれるんだぞ」というところを皆さんに知っていただきたい、そしてさらに広めていきたいということで参加したとのこと。全盲のプレーヤーが音を頼りに戦うのに対し、MikotoChanさんは画面の映像だけが情報源となっている。そんな彼がどんな戦いを見せるのかが注目された対戦だ。

▲試合はJeniさんのパーフェクト勝利から開幕。2ラウンド目は、Jeniさんをあと一歩のところまで追い詰める善戦を見せたが、最後はJeni選手が逃げ切りストレート勝利となった  ©CAPCOM

悔しい結果となったが、MikotoChanさんは「試合の入りはすごく緊張しました。やっぱり会場ということもあって、いつもより難しく感じましたね。(Jeniさんは)私と同じように障害を持っているので、こうしてお互いに対戦できて本当にうれしかったです。ありがとうございました」と参加できたことの意義を伝えた。

対するJeniさんは「2ラウンド目はマジで負けるかと思いました。めちゃくちゃ緊張しましたけどいい試合ができたので良かったです」と安堵の表情を見せた。

▲キャラクターの移動はアゴで、攻撃などの技は指先で操作しているJeniさん。使用デバイスも日々進化しているそうで、その操作性を生かした非常に繊細な立ち回りを見せていた

第5戦:トンプソンさん vs Jeniさん

注目は、なんといってもその異色の経歴だ。トンプソンさんは、トライアスロンの年代別・日本ランキングで4位に輝くリアルのアスリート。 使用キャラクターはキャミィ、ランクはダイヤモンド。リアルとバーチャルの両方でストイックに高みを目指す、まさに“鉄人ゲーマー”だ。

▲2ラウンド目、Jeniさん(画面左)の突進攻撃に対し、トンプソンさん(画面右)は“見てから”必殺技を合わせる超反応を披露。トライアスロンで培った研ぎ澄まされた集中力とフィジカルが、eスポーツでも遺憾なく発揮された瞬間だ  ©CAPCOM
▲試合は1-2の接戦となり、惜しくもJeni選手に敗れてしまったトンプソンさん。「実はここ、お台場はトライアスロンのオリンピック開催会場なんですよ。ホームで勝ちたかった~!」とコメントし、トライアスリートにとっての“聖地”で勝利を飾れなかった悔しさを露わにした

第6戦:倉持由香さん vs Jeniさん

一般参加者によるエキシビションマッチのあとは、倉持由香さんとJeniさんによるスペシャルマッチも開催。お互いエキシビションマッチを終えて、緊張もほぐれてきたということもあり、2本先取のガチンコバトルだ。

いきなりJeniさんのパーフェクトKOからの開幕となり、怒濤の攻めでJeniさんが1本先取。

▲相手に近づいて強力な投げを仕掛けたい倉持さん(画面左)に対し、それをしっかりと読み取ってジャンプで回避するJeniさん(画面右)。相手のやりたいことをしっかりと把握しているからこそできる反撃だ

2本目は倉持さんの反撃が光る。狙っていた投げ技もしっかりと決まり、読み合いもバッチリ。意地の1本を取り返した。

▲使用キャラであるリリーのいいところを見せられて満面の笑みを見せる倉持さん

試合は3本目までもつれ込み、対戦もフルセットフルカウントへ。互いに一歩も譲らない接戦が続いたが、最終的に勝利を手にしたのはJeniさんだった。倉持さんは「Jeniさんと対戦するのは1年ぶりくらいだったけど、その頃に比べて読み合いも強くなっていて、いい戦いができました」と試合を振り返る。一方、勝利を収めたJeniさんは「いやぁ、最後はだいぶ必死でした。(気合いで)体温が上がり過ぎちゃったので、ちゃんと水分を摂ろうと思います(笑)」と、対戦の熱量を語ってくれた。

思わぬスペシャルエキシビションマッチも開催され、参加者だけでなく観戦者もヒートアップ。会場全体が一体となって盛り上がる、誰もが楽しめるイベントとなった。

まとめ:誰もが楽しめる雰囲気づくりへ

こうして参加者全員が笑顔になれるイベントとなった「パラeスポーツプレーヤーとのエキシビションマッチ」は幕を閉じた。個人的には、「東京eスポーツフェスタ 2026」の会場内で、ひときわ大きな盛り上がりを見せていたイベントだったと感じた。

その熱狂の要因となっていたのが、NOモーション。のおふたり、倉持由香さん、Jeniさん、NAOYAさんの共創による「会場の雰囲気づくり」だ。 来場者のすべてが『スト6』の大会文化に精通しているわけではない。そこをくみ取り、試合前の声出しや応援方法を丁寧にレクチャーすることで、誰もが参加しやすい一体感を作り上げていたのだ。

▲対戦が始まる前に「イエーイ! イエーイ!」のかけ声で盛り上げるのは、『スト6』の公式大会ではよく見る光景だ。こういったコミュニティー内での楽しみ方を、NOモーション。のふたりが率先して観客に伝えていたのは、“誰も置いてけぼりにしない”素晴らしい配慮だった

最初は「あれ、どうやるんだっけ……」と不安になりながら控えめに腕を上げていた観客も、次第に声援がエスカレート。イベントの終盤では、誰もが大声を出してイベントを楽しんでいる姿がそこにはあった。

eスポーツがもたらす多様性の楽しさ

本イベントを通して感じたのは、eスポーツが持つ多様性の在り方だ。eスポーツといえば「誰もが楽しめる」と、ある意味軽視される部分もあるが、誰もが楽しめるからこそ、誰もが真剣に打ち込めるのだと筆者は伝えたい。

勝負事に負ければ、やっぱり悔しいし、次につながる一手として練習を重ねていきたい。そんな挑戦が楽しめるのが、eスポーツが持つ魅力のひとつなのではないだろうか。

本イベントでは障害の有無も関係なく、全員が『スト6』という共通言語で団結し、純粋に目の前の勝負に熱狂した。この混ざり合う楽しさこそが、eスポーツの最大の魅力であり、eスポーツが切り開く未来の形なのだろう。

視察チームも、心をひとつに

「東京eスポーツフェスタ 2026」には、サウジアラビアeスポーツ連盟会長を務めるファイサル・ビン・バンダル王子と東京都知事・小池百合子氏が視察として来訪し、「パラeスポーツプレーヤーとのエキシビションマッチ」も観戦した。視察チームは、出場者が真剣に向き合う姿を見て、一様に自然と笑顔がこぼれていた。eスポーツが、年齢・性別・国籍・障害の有無・立場の違いなどのバリアを超え、心をひとつに楽しめる可能性を示唆した瞬間だったように感じた。

▲イベントにはサウジアラビアのファイサル・ビン・バンダル王子と小池都知事の姿も! 東京から世界へ発信される「eスポーツの可能性」に、熱い視線が注がれていた

HAWK Gaming Group × ePARAが築く、バリアフリーeスポーツの架け橋

ePARA社は2025年9月、eスポーツ業界の国際的有力企業であるHawk Gaming Group(会長:トゥルキ・ファイサル王子)とMOUを締結した。ePARA社にとって、障害のあるゲーマーが主役となるバリアフリーeスポーツの事例は、グローバル戦略パートナーであるHawk Gaming Groupとの協業を深化させる重要な節目となる。Saudi Vison 2030の志の高い目標に沿い、この協業がいかに世界的なバリアフリーeスポーツの架け橋を築いていくのか、その展開が期待される。

関連動画・記事

東京都スポーツ推進本部スポーツ総合推進部からは、出演者からの感想を含めた実施レポートが公開されています。

障害の有無を超えた e スポーツの可能性 パラ e スポーツプレーヤーとのエキシビションマッチ実施レポート 〜「ストリートファイター6」マスターランクJeni さん・NAOYAさんへの挑戦〜

【eスポーツフェスタ2026】パラeスポーツプレーヤーとのエキシビションマッチの様子は、下記のスポーツTOKYOインフォメーションのYoutubeチャンネルのアーカイブよりご覧いただけます。

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