イベントレポート

本気の戦いで生まれた「相手への敬意」~立修館eスポーツ部×NAOYA 交流会レポート

「バリアフリーeスポーツの”挑戦”」と「教育」の掛け合わせは、ePARAにおける2023年度の重点領域の1つです。
2023年11月、立修館高等専修学校(山口県)eスポーツ部の皆さんと2回目のオンライン交流会を実施し、バリアフリープロジェクトチーム「Fortia」(フォルティア)から、全盲のeスポーツプレイヤーであるNAOYAが参加しました。
開催後にeスポーツ部顧問の板垣聡美先生から素敵なレポートをいただきましたので、NAOYAのコメントと併せてご紹介します。

マインクラフトの画像。5棟ほどの建物が並び、手前の駐車場には自動車が6台停まっている。周りには木も生えている。
「マインクラフト」で再現した立修館高等専修学校。コロナ禍中に5名ほどがワールドに集まり、作成した

交流会の概要

日 時:2023年11月20日(月)15:30~17:00
内 容:オンラインでのバリアフリーeスポーツ交流会
ゲームタイトル:ストリートファイター6
参加者:立修館高等専修学校eスポーツ部 9名、NAOYA

立修館eスポーツ部 顧問の先生による交流会レポート

交流・対戦の様子

全盲のeスポーツプレイヤーNAOYAさんと立修館eスポーツ部の部員で行う、ゆるっと交流会2回目。今回はカプコンの対戦格闘ゲーム「ストリートファイター6」を使い、NAOYAさん対部員で対戦した。前回の交流会はチームを組んでの協力プレイだったが、今回はガチバトル。部員も全力で挑んだ。

NAOYAさんの使用するキャラをこちらで指定するというハンデをもらい1戦目、NAOYAさんから繰り出される技のコンボ、派手な攻撃の演出に部員一同一気に盛り上がった。画面が見えていない?そんなこと信じられないくらいこちらの動きはすべて読まれていた。結果はあっという間に部員の敗退、「次は自分が!」との声が飛び交った。
対戦中はプレイ中のディスプレイを複数人の部員が囲み、アドバイスを送る。「相手がこう来た時にはこう防いで!」「このタイミングで技を仕掛ける!」などチーム一丸となり一勝を取りに行った。強い相手との戦いにセコンドから声掛けをする様はまさにスポーツ。バーチャルの世界ではあるが、スポーツマンシップに則って、チーム一丸となり戦っている様子を見ることができた。

また部員からの「画面を見ないでどうやってプレイしているの?」との質問に、NAOYAさんのプレイ動画をみせていただいた。 「ストリートファイター6」にはサウンドアクセシビリティ機能が搭載されている。ePARAさんの協力のもとに開発された、視覚情報に頼らずプレイを行える機能だ。相手の立ち位置や体力ゲージ情報、立ち位置の入れ替わりなどをすべて音で知ることができる。ジャンプや技にも音の違いがあり、それを瞬時に頭で処理し、プレイに繋げるまさに神業。部員はみな魅了されていた。

最終的には15 戦ほど行って、部員が勝てたのは2回のみ。圧倒的な強さだった。

パソコンの画面に映し出されたプレイの様子を見る部員たち
視覚情報を使わないプレイに部員たちも興味津々

部員の感想

  • 目が見えていないなんて信じられない!
  • コーチと練習しているって言っていた。あんなに上手いのにまだ強くなるんだ。
  • 少しは相手の体力を削れた。それが嬉しかった。
  • 次は一本とりたい!この後スト6 買います。
  • サウンドアクセシビリティ機能すごいと思った。自分もあんな機能を作ってみたい。興味ある。
  • 普段音にあまり意識を持ってなかったけど、プレイをする上で重要な要素があることに気づいた。
  • またぜひ交流したい!それまでに絶対強くなっておく。
  • 負けても腹は立たない、強くなりたいと思うだけ。そしてその相手を尊敬するだけ。

顧問としての感想

目が見えずに格闘ゲームはどうやってプレイするんだろう、本気で戦っていいのかな?格闘ゲームはあまり経験がなくて、めちゃくちゃなプレイになるかもしれないけど大丈夫かな?など、対戦前には不安もあった部員ですが、プレイが始まったとたんNAOYAさんのプレイに圧倒され、とにかく全力で行くしかないと目の色を変えて対戦していました。

まわりの部員もアドバイスを送り、どうにか相手にダメージを与えられる方法を考えていました。結果は、たくさん対戦していただいたなかでこちらは2勝のみ、あとは気持ちいいほど見事に倒されました。しかし少しでも相手にダメージが入ると「ナイスプレイ!」「その調子!その調子!」と励ましの声が上がっていたこと、NAOYAさんからのコーチングに「なるほど」「そうか!」「やってみよう」と嬉しそうに学んでいたこと、実りある交流会だったと思います。

1人がゲームをプレイし、その様子を周りから5人が見ている
戦う仲間に声を掛け合うeスポーツ部の部員たち

いままで主に取り組んできたチーム戦重視のタイトルと違い、1対1の対戦は敗戦のフラストレーションなどをどのように解消するのかなと思いましたが、相手のプレイに敬意を払い、「負けたことよりむしろ素晴らしい技術をみせてもらい、悔しい気持ちよりすごいと思う気持ちが勝り、尊敬しか残らない」と言っていました。

格闘ゲームは高額で、部活動に取り入れるのは現状ではまだ難しいです。また、コントローラー、キーボード、アーケードコントローラーなど、機器でも差がでる競技のようにも感じます。でもeスポーツの本来あるべき、体格・年齢・障害の有無などの壁を越えてみなで楽しめるという点において考えると、自分の代わりに素晴らしいキャラクターが動き、自分の思ったように戦ってくれる。それはまさにeスポーツそのものではないかと思います。

負けても腹は立たない、強くなりたいと思うだけ。そしてその相手を尊敬するだけ」。

部員の言ったその言葉を聞いて、ああ彼は、eスポーツプレイヤーなんだなと改めて思う事ができました。ゆるっと交流会、ゆるっと真剣に続けていくことができたら嬉しく思います。

全盲のゲーマー NAOYAより

今回の交流会が実現したのは、私がXでポストした一つの動画がきっかけでした。
「この動画の人と対戦してみたい」と部員の皆さんが思ってくれていたところから少し時間が経ってしまいましたが、対戦会というかたちで実現できて良かったです。
当日は特に自己紹介なども行わず、対戦のインターバルを少しずつ挟みながら部員の皆さんとお話しできました。途中からは私のサウンドアクセシビリティ付きのゲーム画面とサウンドを共有するというアイデアも思い付き、ブラインドeスポーツについて、少し実感していただけたと感じています。
自分がプレイしているところをなんの支障もなく配信できるというのは、オンラインの強みかもしれません。

今回こそはeスポーツプレイヤーの意地(?)を見せ、部員の皆さんに勝ち越すことができましたが、きっと次は対策されて臨んでくると思います。ただ、そんなやり取りも含めて「視覚の有無に関係ないeスポーツの世界」だと思うので、これからもこのつながりを大切にしていきたいです。

最近思うのは、「目が見えないのは特別じゃない」と伝える手段の一つとしてのゲームがあり、「まあ、難しい話は抜きにして、まず対戦しましょう」ということなのかもしれません。これからも、ゲームを通してたくさんの方と交流していきたいです。

立修館eスポーツ部の部員・卒業生・顧問の板垣先生、この度は素敵な機会をありがとうございました。

(本記事の画像はすべて立修館高等専修学校eスポーツ部様からご提供いただきました)

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