eスポーツインタビュー

『ゲムトレ』代表・小幡和輝さんに聞く、ゲームと人生の付き合いかた

ePARA代表・加藤大貴が、eスポーツやゲームに関わる様々な方にインタビューする不定期企画。今回は、ゲームの家庭教師サービスを展開する『ゲムトレ』の代表で、不登校児の支援など多方面で活躍されている実業家の小幡和輝さんにお話をうかがいました。

eスポーツインタビューのzoom画面。今回のゲストのゲムトレ・小幡和輝氏とePARA代表・加藤大貴。

話し手:小幡和輝(@nagomiobata)写真左
ゲームのオンライン家庭教師 『ゲムトレ』(@gametrainer_jp)代表。
10年の不登校を経験後、18歳で起業する。不登校児の支援プロジェクト#不登校は不幸じゃない 発起人。NHK『視点・論点』などテレビ番組にも多く出演。 著書に、『学校は行かなくてもいい』、 『ゲームは人生の役に立つ』、 『子ども稼ぐ力』など。ダボス会議Global Shapersにも選出されている。

聞き手:加藤大貴(@koken_3)写真右
バリアフリーeスポーツ『ePARA』代表。
裁判所書記官を経て、社会福祉協議会に転職。成年後見制度の普及に取り組む一方で、eスポーツを軸とした障害者の社会参画や就労支援を目指し『ePARA』を立ち上げる。第1回『e-Sports Biz Contest』優勝。

ゲームを囲碁や将棋のような習い事にしたい

加藤:早速お話ししていきたいのですが、小幡さんはご自身でのアウトプットが本当に多いので、今回は今までに語られている部分よりも、我々ePARAの活動と近しい部分を掘り下げていければと思います。小幡さんは、ゲームの家庭教師サービス『ゲムトレ』の運営や、不登校児の支援活動など本当に多方面にご活躍ですが、『ゲムトレ』を立ち上げられたのはどんな経緯からだったんですか?

小幡: 一言で言ってしまえば自分がもともとゲーム好きだからですね。例えばアナログゲームとしても捉えることの出来る囲碁や将棋って昔から子どもたちの習い事としてあるじゃないですか。それならデジタルのゲームの習い事があってもいいんじゃないかと。

加藤:なるほど。どういったタイトルが人気なんですか?

小幡:圧倒的にフォートナイトですね。今の子どもたちの間で一番流行っているゲームですから。もちろん他のゲームを教わっている子どもたちもいますが、大差がついています。

加藤:やっぱりフォートナイトが人気なんですね。ちなみに教える側はどんな感じなんでしょう?

小幡:講師として関わってくれている「ゲームの先生」たちは20歳前後なので、子どもたちからすれば年上のお兄さんといった感じです。ちゃんとオーディションというか面接もして、礼儀の面も重視しています。ゲーム中ってつい言葉が荒くなったりするじゃないですか。そういうところがコントロールできることも講師には求められるので、見極めた上で採用しています。

「ゲームトレーナー」という仕事を成立させたい

小幡:それと、ゲームトレーナーというものをしっかりと「仕事」にしたいという思いもあります。プロゲーマーとしてお金を得ることは、現在の日本では難しいのが現状です。でも、ゲームの先生、講師という形であれば、ゲーマーの仕事の1つの形として成り立つと思っているんです。囲碁や将棋の世界でもプロ棋士ではなく街で一番上手いレベルの方が先生として教室をやっていたりしますよね。その感覚をゲームの世界にも取り入れたいんです。

加藤:確かに、プロ選手だけが選択肢というのは幅が狭すぎますね。ゲームを教えるという道も、ゲーマーにとって生き方のひとつになるといいですよね。

「クラスで一番ゲームが上手い」ことが与える、子どもたちへの好影響

加藤:ゲームを習い事として捉える上で、子どもたちにとっての目標はどこにあるのでしょう?

小幡:プロゲーマーを育てるためにやっているわけではないので、、基本的に目標にさせているのは「クラスで一番上手い」レベルになることですかね。講師がちゃんと教えることで、数時間のレッスンでも吸収の早い子供達はメキメキ上手くなるんです。そうすると大体「クラスで一番上手い」レベルには到達できます。例えば「クラスで一番フォートナイトが上手い」ということは、今の子どもたちにとってすごく自慢ができることで、自己肯定感を高めることにもなるんです。今までで言えば、「クラスで一番野球が上手い」というような感覚ですね。

加藤:おお、それは興味深いです。ゲームがきっかけで、自信がついたりして普段の生活にもいい影響がありそうですよね。

小幡:『ゲムトレ』の生徒の中には、自己肯定感が低いことに悩む子どももいます。そういった子どもたちにとって、ゲームが上手いということはひとつの大きな自信になるのではないかと思っています。また、原則としてグループトレーニングなので、生徒たちのコミュニケーション力の向上にもつながっています。

「ゲーミング朝活」による生活習慣の改善を考える

加藤:不登校とかひきこもりだとどうしても昼夜逆転してしまうって言いますよね。実際、オンラインゲームのコアタイムは25時(午前1時)とか。私はとても起きてられないんですけど。

小幡:そうなんです。だからどうしても人のいるマッチングしやすい時間帯にゲームしようとすると、夜型になって昼夜逆転の生活になってしまいます。『ゲムトレ』では、トレーニングの時間を朝10時とかの午前に設定していて、子どもたちに「明日はゲームの先生に教えてもらうから早く寝て早く起きるんだ」という動機作りになるようにしてもらっています。

加藤:ゲーミング朝活ですか。最高にいいですね。私もひきこもりの方を対象にそういった取り組みを考えたことがあったんですが、支援者から「朝10時スタートは彼らには早過ぎるかもしれない」と言われて驚いたのを覚えています。

小幡:やり方次第かと思うので、ぜひリベンジしてみてください。

当事者の「本当はどうしたいのか?」を大切にしよう

加藤:今まで不登校の子ども達や、ゲームの好きな子どもたちと関わられている中で、こんなことを大事にしているというのはありますか?

小幡:子どもたちが「本当はどうしたいのか?」というところに向き合うことが本当に大切だなと感じていて。例えば不登校の子どもたちだって、「本当は学校に行きたいけど行けない」という子がいれば、「学校には絶対に行きたくないんだ」という子もいるわけです。この両者に同じように対応してしまったら、うまくいかない場合も当然出てきますよね。親や周囲がどうしたいかよりも、「子どもたち本人がどうしたいのか?」という本音にちゃんと寄り添ってあげるところから始めるべきだと感じています。もちろん本音を聞き出すまでには心の壁やハードルを取り除かないといけません。その上で、学校に行きたいのなら戻れる方法を考える。絶対に行きたくないというなら、フリースクールや自主学習など他の手段からアプローチを考えればいいわけです。

加藤:障害のある方やひきこもりの方にとってもそこは同じかもしれません。本人の思い以上に、周囲の勢いというか圧が勝ってしまって、余計に心を閉ざしてしまう、自分から動きづらくなってしまうという。誰にだって「自分はこうしたいんだ」という思いはあるのだから、寄り添った上でステップを考えなきゃいけませんよね。

小幡:あとは、親や学校の先生など身近な人には話しづらくても、第三者だと心を開いて本音を出してくれる場合もあります。なので、不登校やひきこもりの状態でも外部の人との関わりは持っていて欲しいと思っています。

まとめ:『ゲームは人生の役に立つ』

いかがでしたでしょうか。ゲームを通じたコミュニケーション力の向上や生活習慣の改善への活用など、ePARAの活動にも役立てることができるのではないか、というポイントが盛り沢山のインタビューとなりました。なかでも、不登校児へのアプローチで「周囲の意見よりも、当事者がどうしたいかを大事にしなければならない」という部分は、当然のことであるのに忘れられがちなことだと感じました。ePARAでも、ひとり一人がどうしたいかをより一層大事にしていかなければと改めて考えさせられました。また、ゲームの生活習慣などへの悪影響が語られることも昨今多くありますが、コミュニケーションや生活リズムの改善など、使い方によって、ゲームがしっかりと人生の役に立つということも再確認させられる、いいお話の機会となりました。

今回インタビューにご協力いただいた小幡和輝さん、本当にありがとうございました。

関連リンク

ゲムトレ webサイト
小幡和輝オフィシャルブログ 不登校から高校生社長へ

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