こんにちは。ASD(自閉症スペクトラム障害)のゲーム好きのミオンと申します。
今回はファイアーエムブレム風花雪月(以下、FE風花雪月)をプレイして、私が色々救われた話をします。
今回は青獅子の学級ルート(通称青ルート)のネタバレを含みます。未プレイの方で、ネタバレが気になる方はクリア後に読むことを推奨します。
前回もFE風花雪月の記事を書きました。そちらも併せて読んで頂けると本記事がより楽しめると思います。こちらの記事はネタバレ無しですのでご安心ください。
(「ASDのミオンがファイアーエムブレム風花雪月から学んだ、計画を立てるヒント」)
実は私はASDのほかにも、PTSDの診断を受けています。
PTSDは、日本語で心的外傷後ストレス障害といいます。過去の辛い体験を突然思い出してしまうフラッシュバックや、その体験を思い起こさせる場所やモノを避けるなどの症状に悩まされる病気です。
しかし、投薬や心理カウンセリングなどの治療を受ければ症状が改善する可能性のある病気です。私も今は治療のお陰で症状の大半は改善しましたが、過去には上記に加え、悪夢にうなされる、幻覚幻聴に悩まされるなどの症状がありました。今でも年に数回は悪夢にうなされますし、フラッシュバックを起こしてしまうことがあります。
そんな私ですが、風花雪月をプレイして色々救われた部分があったので、そのプレイ感想を書いていきたいと思います。
FE風花雪月の青獅子の学級の物語
風花雪月では、傭兵として各地を転々としていた主人公が、ある日盗賊から士官学校の生徒を助けたことがきっかけでそこの教師となり、3つの学級の内1つの担任を受け持ちます。今回は青獅子の学級、通称青ルートをプレイしていて感じたことを書きます。
青獅子の学級は、崇高なる騎士の国、ファーガス神聖王国に所属する生徒たちで構成される学級です。王国の王子であるディミトリが級長を務めています。
青獅子の学級は、皆暗い過去を持っています。
特に級長のディミトリは、学園編の4年前に両親や親友を戦争で失っています。目の前で父親が殺されてしまい、自分自身も瀕死の状態の中ただ一人だけ救出されています。それ以来、様々な症状に悩まされています。
ほかにも、フェリクスは兄のグレンを戦争で失い、イングリットも婚約者を戦争で亡くしています。そして、その婚約者というのが、フェリクスの兄であるグレンです。このエピソードは、支援会話(キャラクター同士の好感度が上がると解放されるサイドストーリーのようなもの)にて明かされます。
この青獅子の学級の中でも私が特に好きな人物であり、深く共感したのが級長のディミトリです。
前回の記事にも書きましたが、ディミトリは、自分が王位を継承した時には弱者が虐げられることのない太平の世を築くことを目標に掲げています。
まだ会って間もない主人公(以下、先生と書きます)を学級全員との食事へ誘ったり、「紋章を持つ者も持たぬ者も、互いに認め合えればいい。人種や思想や信仰などでも同じことが
言える」と話したりしていることからわかる通り、本当に心優しい人です。
しかし、そんなディミトリにはもう一つの顔があります。
それは、血と殺戮を好む獣であるということです。
ディミトリは学園編の2年前、王国内で起きた反乱で幼なじみのフェリクスと共に戦いました。その時フェリクスから、「あの時のお前はこの世の悪を煮詰めたように醜かった」と言われてしまっています。そして、ディミトリ自身もそれを否定していません。
学園編11月からは、次第にもう一つの顔を先生の前でも見せるようになっていきます。一言で表すと、物騒な言動をするようになります。そして先生に、両親や親友たちを殺した者に復讐を果たすために士官学校へ入学したことを告げます。
12月の舞踏会の前夜、ディミトリは、5年後の12月25日に青獅子の学級全員でまた士官学校へ集まろうと約束します。そしてディミトリは舞踏会当日、実はエーデルガルトが幼い頃の友人だったと打ち明けます。
数ヶ月後、ディミトリは敵の会話を盗み聞きしている時に短剣を拾います。この短剣は、ディミトリが幼い頃ある人物と別れる時に渡したものでした。
この短剣を敵が持っていたことによって、ディミトリは敵の正体を察してしまいます。そして頭痛や不眠などの症状に悩まされます。
2月の課題出撃が終わった後、敵の正体が黒鷲の級長のエーデルガルトであったことが判明します。
そこでディミトリは精神的に壊れてしまい、エーデルガルトへの復讐心に囚われてしまいます。先生が止めようとしても彼はその手を払い、エーデルガルトに襲いかかります。
しかし仕留めることはできず、エーデルガルトはフォドラ全土を巻き込む戦争を起こしてしまいます。
エーデルガルトにはエーデルガルトなりに戦争を起こした理由があり、それは黒鷲の学級の担任になると確かめることができます。
3月の課題出撃でエーデルガルト率いる帝国軍と戦いますが、防衛に失敗してしまいます。
先生も敵の罠にはまり、高い場所から落下してしまいますが、不思議な力に守られて約5年間眠りにつきます。
そして5年後、先生は皆で集まると約束した同じ日に目を覚まし、生徒たちの元へ向かいます。そこで、ディミトリと再会します。
彼は先生のことを最初は亡霊が現れたと思い込み、「お前まで俺の前に現れるのか」と問いかけます。生きているとわかっても「貴様も帝国軍の狗か。俺を殺しに来たのか」と言われてしまいます。しかし、先生はそれを否定します。
彼は深い憎悪と孤独に耐えきれなくなったのか、殺戮を繰り返すようになっていました。この時は誰との交流も受け付けません。戦争編1月では、見えない亡霊と会話している様子も伺えます。
しかしそこから色々あって、ディミトリは正気を取り戻します。どう正気を取り戻したのかは、敢えてこちらでは書かないでおきます。できればこの記事を読んでいるあなたご自身の目で確かめて頂きたいです。
そしてディミトリは、人々との交流を再び受け付けるようになります。この時にもしフレンと支援値がAまでいっていると、ディミトリは支援会話内で味覚障害であることを明かします。
また、ディミトリの外伝である白銀の乙女のクリア後に、5年前と逆で、今度は先生からディミトリを食事へ誘います。
味覚障害で食事の味がわからないとしても、ディミトリはみんなと食卓を囲むことを楽しむことができる人ではないかと、私は思います。
8月にエーデルガルトと対話しますが、二人は互いの持つそれぞれの正義が相容れず、戦うことでしか決着を付けることができないとお互い覚悟します。
その後ディミトリは、5年前に敵の会話を盗み聞きしていた時に拾った短剣を、エーデルガルトに返します。
そう、あの短剣は幼い頃ディミトリがエーデルガルトに贈ったものでした。
ディミトリの故郷であるファーガスでは、短剣は未来を切り拓くものとして言い伝えられています。彼は彼女の未来が明るくなることを願ってこの短剣を贈りました。そしてこの短剣は後に、彼女にとっても辛い境遇を支えた大切なものとなりました。
エーデルガルトも、この短剣があったから私の心は折れなかったとディミトリにお礼を言い、後は戦場で決着を付けようと立ち去ります。
帝国軍との激闘の末、王国軍は帝国軍を倒しフォドラ全土を統一しました。
先生…であるプレイヤーの私は出撃前、ディミトリと結婚したいと将来を望みました。そして戦いが終わった日の夜、女神の塔で彼と会いますが、その時に、9年前から悪夢にうなされていることが初めて明かされます。
しかし彼は、これからの人生で悪夢にうなされることがあったとしても、耳を塞ぎはせず、彼らの声を戒めとして生きていくとも話します。その後プロポーズされるのですが、どのように告白されるのかはぜひこの記事を読んでいるあなたの目で確認して頂きたいです。
プレイ感想
記事のタイトルにもある通り、私はこのFE風花雪月の青ルートをクリアして人生が救われました。何故なら私も実はディミトリのように、憎悪に支配されて生き続けてきたからです。
私は保育園から高校生までいじめを受け続けてきました。また、両親の仲も悪く、父は母に毎日暴言を吐いたり、家にお金を入れなかったりしました。母からは父や家族、仕事の愚痴を幼い頃から聞かされ続けました。また、過保護なところがあり毎日勝手に私の部屋へ入ってきました。やめてほしいと何度伝えても、私が実家を離れるまでやめてもらえませんでした。
このように家へ帰っても、学校へ行っても私に居場所はありませんでした。
中学生の頃、ネットという自分の居場所を見つけました。そこで知り合った人と恋仲になりました。
しかしその人から、デートDVを受けました。マインドコントロールのようなことをされました。付き合ってから約3年後、人と目線を合わせることができなくなったり、不眠症、食事をしても戻してしまうことなどが多くなりました。別れてからも悪夢にうなされたり、幻覚幻聴に悩まされたりしました。
それ以来私は、両親や私をいじめた奴ら、助けてくれなかった周りの生徒や教師、そして何よりも元恋人への憎悪に支配されて生き続けてきました。
しかし同時に、憎悪にすがって生きていることにしんどさも感じていました。
色々な感情でぐちゃぐちゃになって何も考えられなくなり、自殺未遂を図ったことが何度もありました。オーバードーズをして救急病院へ入院したこともあります。
なのでプレイしながら、ディミトリの気持ちを苦しいくらい理解できる自分と、それを続けていたら自分も周りも不幸になってしまうことがわかっているので、彼にも止めてほしいとどこかで考える自分がいました。
しかし、ディミトリが復讐の念を断ち、プレイヤーであり先生である私や王国軍の仲間たちと共に成長を遂げていく様を見て、私も憎悪にすがって生きていくのはもうやめようと思いました。
これを思うまで、私は10年以上かかりました。
私は青ルートをプレイして、ディミトリと出会うことができてようやく人生が救われました。
障害や病気は治すことができれば一番良いです。しかし、障害や病気によっては治すことが難しい場合もあります。私もこれから死ぬまで悪夢を見続けるかもしれません。フラッシュバックも起こってしまうかもしれません。
ですが、人は支え合うことができます。私も今は支えてくれる人たちがいるからこそ、この苦しみを乗り越えることができます。障害や難病は完治することが一番良いです。ですが、症状は抑えられても、完治しない障害や難病があることも事実です。それでもお互い受け入れて、皆で支え合うことが大切なのではないでしょうか。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。