僕は双極性障害と広汎性発達障害を持っています。
双極性障害はハイテンションで活動量や浪費などが増え短気になったりする「躁(そう)状態」と、無気力になり物事への興味、関心が無くなってしまい悲観的になる「鬱状態」を交互に繰り返す病気です。
自殺率は大うつ病よりも高く、かなり自殺の危険性が高い病気で、実際自分もよく「死にたい」という感情に苦しめられています。
あと、躁状態と鬱状態の周期は人によりますが、自分は春や夏に躁状態、秋や冬には鬱状態の場合が多いです。
広汎性発達障害は説明が難しいのですが、自分の場合は分かりやすく言うとアスペルガー症候群(ASD)と多動性注意欠陥障害(ADHD)が混在しているという感じだと思います。
自分の特徴を具体的に挙げていくと完璧主義でこだわりが強く、整理整頓が苦手、時間の感覚の麻痺やじっとしていられないこと、音に敏感なことなどです。
よく遅刻をするので、遅れられない場合は5分前行動ならぬ30分前行動をとったりして対策しています。
ただ、興味をもったことに対してはとことん突き詰めて学ぶのでそこは良いところだと感じています。
ただし、これらの特徴は発達障害の症状なのか、自分の性格なのかの線引きは曖昧ではあることも知っておいてほしいです。
今こうしてePARA(イーパラ)で記事を書かせてもらっている理由は、自分もeスポーツが好きで、加えて障害者をeスポーツで輝かせるという理念に感銘を受けたからです。
そして今回の記事の題材である実況パワフルプロ野球(以降、パワプロ)シリーズの大ファンであることも、大きな理由のひとつです。
自慢になってしまうのですが、オンライン大会で全国50位以内に入ったこともあります。
プロのパワプロプレイヤーにも複数回、勝利を納めたことがあります。
今回は、双極性障害と広汎性発達障害という2つの障害を持つ僕から見た、パワプロシリーズの魅力を伝えようと思います。
パワプロシリーズの紹介
パワプロの歴史
実況パワフルプロ野球。通称パワプロ。
1994年に記念すべき1作目が発売されてから今日に至るまで26年間愛され続け、野球ファンのみならず多くの人々を楽しませてきた歴史あるゲームです。
そして先日、2020年7月9日ついに最新作「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」が発売されました。
過去には携帯機で出来るパワプロとして「パワフルプロ野球ポケットシリーズ」や、メジャーリーグを題材にした「実況パワフルメジャーリーグシリーズ」などもありました。
現在はパワプロのスマートフォンアプリもあるので、手軽にスマートフォンで遊ぶことも出来ます。
盛りだくさんのプレイモード
パワプロはただ対戦するのも面白いのですが、それ以外にも色々なモードがあるので本当に飽きることがありません。
最新作である「パワプロ2020」からいくつか挙げていくと、個性豊かなキャラとともに成長してオリジナル選手を作る「サクセス」、チームの経営者のような立場でペナントレースを戦っていく「ペナント」、一人のプロ野球選手になりきってプロ野球人生を過ごしていく「マイライフ」、高校野球の監督になり全国制覇を目指す「栄冠ナイン」など様々です。
最新作の「パワプロ2020」のメニュー画面は、プレイモードが豊富でメニュー画面自体も前作よりもスッキリとした印象を受けます。
魅力がたくさんのパワプロのキャラクターたち
パワプロには魅力的なキャラクターが沢山登場します。
「パワプロ4」(1997年発売)から登場している主人公の相棒で眼鏡がトレードマークの矢部明雄や、主人公のライバルの本格派左腕・猪狩守、「パワプロ7」(2000年発売)から登場しているゲーム内の世界での女性初のプロ野球選手の早川あおい、「パワプロ10」(2003年発売)から登場している走攻守のすべてのレベルが高い遊撃手・友沢亮など様々です。
最新作の「パワプロ2020」での「パワフェス」というキャラクター達が一堂に会して行う野球大会ではなんと250人を超えるキャラクターが登場します。
もし遊ぶ機会があるならお気に入りのキャラクターを探してみるのもおすすめです。
ちなみに、女性野球選手が出ることは多様性の観点からもいいことだと考えています。
筆者が一番好きなキャラクターの夢城和花(のどか)。メインで三塁手を守り、一塁手もこなせます。
パワプロアプリから「パワプロ2020」に逆輸入されたキャラで、堅実な打撃と守備がチームを救ってくれます。
(画像では分からないですが、ふたつ結びの髪型もお洒落で可愛いと感じています)
筆者とパワプロシリーズの軌跡
パワプロとの出会い
パワプロと出会ったのは中学1年のときでした。
あまり仲の良くない人から貸してもらって遊んだのが始まりでした。
借りた理由は覚えていません。
同級生達はオリジナルの選手を育てる「サクセス」をよくやっていたのですが、自分はよくコンピューターとの対戦などを中心に遊んでいました。
そのお陰か、友人間で対戦しても負けることはほとんどありませんでした。
今思うと、当時は野球部で野球も好きだったのですが、あまり野球自体は上手ではなく、日ごろの鬱憤をパワプロで晴らしていたのかもしれないです。
双極性障害の発症と休学
そして高校2年。
陰口などのいじめや人間関係のトラブルにより双極性障害を発症。
約1年間高校を休学しました。
休学中も半年以上は本当に憂鬱で無気力な時間が続きました。
ですが、薬物療法や心理療法が功を奏したのか少しずつではありましたが段々と元気が出てきて、日常に負荷の少ない活動を取り入れることにしました。
負荷が少なく元気を出すための活動の中に、しばらく勉強や部活、病気で遊ばなくなっていた「ゲーム」の存在がありました。
そのゲームのひとつが、パワプロです。
パワメジャ2009で遊ぶ日々とその影響
当時、よく遊んでいたシリーズは「パワフルメジャーリーグ2009」。
イチロー選手や松井秀喜選手、松坂選手などの日本人も登場するメジャーリーグを題材にしたものです。
ここでもやはり対戦を中心に遊んでいました。
そこで、パワメジャの影響なのか大学に進学し、野球で活躍したいという思いが強くなり、毎日トレーニングするようになりました。
結局のところ気分の波が安定せず受験は乗り越えられず、大学進学はしなかったのですが、日々の運動のお陰で体力が戻りスムーズに高校に復学することができました。
これももしかしたらパワプロのお陰なのかもしれないですね。
そして現在へ
パワプロでは「チャンピオンシップ」というオンライン対戦モードがあり、僕も自身の体調を見ながら、ちょくちょくオンライン対戦で遊んでいます。
ちなみにオンライン対戦自体はWii用の「パワプロNEXT」(2009年発売)からありました。
それなりに勝てていたので、2年程前はそのパワプロの腕前を活かしてプロゲーマーになろうと思っていた時期もありました。
オンライン大会で50位以内に入ったり、好きなチームである阪神タイガースの使用者の中で上から4番目か5番目になれたりした大会もありました。
プロゲーマーとの一戦で4点ビハインドの最終回、8点を奪って試合をひっくり返し、逆転勝利したことも良い思い出です。
今は現実的に考えて、気分の波があるのでプロゲーマーになるのは考えてはいません。
ただ、大好きなパワプロについての記事を書けるという素晴らしい仕事を与えて下さったePARAさんにこの場を借りて感謝します。
双極性障害と広汎性発達障害の視点から見るパワプロの魅力
双極性障害から見たパワプロの良さ
ほとんどの要素がオフラインで楽しめる
双極性障害の視点から見たパワプロのいいところのひとつはオフラインでも遊びが充実しているところだと思っています。
オンライン対戦だとどうしても失礼なプレイヤーや嫌がらせをしてくるプレイヤーがいます。
しかしパワプロの場合、オフラインでも遊び方が沢山あるので、オフラインで遊んでいればそのようなプレイヤーからストレスを与えられることがありません。
また、オフラインでプレイすることで、オンライン対戦での勝敗に感情を揺さぶられることがなくなるのも良いです。
負けが込んでしまうと、いくら遊びとはいえストレスになります。
これは精神的な病気を持っていなくても一緒だと思います。
ちなみに自分も躁状態でイライラしているときや、鬱状態で落ち込みやすいときなどは、オンラインでのプレイは避けるようにしています。
昨今のゲームはオンラインプレイでなければ成り立たないゲームも増えています。
一方でパワプロはオフラインでも楽しめる要素がほとんどを占めるので、総合的にストレスが少ないゲームで、双極性障害を持つプレイヤーに合うゲームだろうと考えています。
VRで見る球場がリアルなところ
パワプロシリーズは「パワプロ2018」からVR(バーチャルリアリティ)対応していて試合や練習モードをVRで楽しむことができます。
PlaystationVRを持っていないと体験出来ないのですが、本当に球場がリアルで、投手の視点で周りを見渡すと本当に球場のマウンドにいるような気分になります。
バッターボックス内の打者も同様です。個人的に気に入っているのはVRの観戦モードです。
球場のいくつかの席を自由に移動できその球場を探検している気分になれます。
双極性障害で体調や体力の問題で遠征出来なくても、VRで球場に行けてしまうので本当に有難い存在です。
ただし、VR自体が目の疲労に繋がるので、プレイ時は適度な休憩は必要です。ご注意ください。
広汎性発達障害から見たパワプロの良さ
マルチタスクが要求される場面が少ないところ
自分はマルチタスク(同時に複数の物事を処理すること)が苦手です。
パワプロは基本的に攻撃時は打つ場面、走る場面、守備時は投げる場面、守る場面と切り替わるので分かりやすく、混乱することがありません。
マルチタスクが少ないので安心して遊べます。
マルチタスクが発生するのは、強いて言うなら、複数のランナーを個別に動かすことくらいでしょうか。
待ち時間がないところ
野球という競技は、時間が掛かりすぎることがネックです。
東京オリンピックでは復活しましたが、その前にオリンピックの競技から外された理由のひとつが試合時間の長さだったりします。
日本のプロ野球の平均の試合時間は3時間ほどです。
一方、パワプロなら一試合20~30分程度で終わることができます。
集中することが得意でない広汎性発達障害の方でも遊びやすいゲームだと思います。
個人的な感想ですが2、3分の集中する時間を18回繰り返してるイメージです。(野球は両チームが9回ずつ攻撃するので9×2で18)
これは本当に適度な間隔だと感じています。
まとめ
今回は双極性障害と広汎性発達障害を持つ筆者から見て、パワプロシリーズはどんな魅力があるかを紹介させていただきました。
障害があってもなくても、野球が好きでもそうでなくても、おすすめできる素晴らしいゲームです。
特に最新作の「パワプロ2020」は分かりやすい操作ガイドや、パワプロ用語辞典などが充実しており、過去作と比べてみても初心者でも遊びやすい工夫がたくさんあります。
過去作をプレイしたことがない人にも本当におすすめです。
そして、最近僕は、全盲のパワプロプレイヤーの方々がより面白く遊ぶための工夫を考察しています。
これは、全盲のパワプロプレイヤーの北村直也さんの記事「全盲の僕でもパワプロをやりたくて試したこと」を見て、とても感銘を受けたのがきっかけです。
この記事は是非、皆さんにも読んで頂きたいです。
考察結果は、いずれePARAサイト内で公開し、視覚障害者の方々含めて多くの方に読んでいただきたいと思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。