eスポーツやゲームは、目の見える人しかできないと思っていませんか?
視覚障害をお持ちの方の中には、独自の工夫でゲームを楽しんでいらっしゃる方が多くおられます。
ePARA(イーパラ)では「ブラインドeスポーツ座談会」と題して、6名の視覚障害者の方に集まっていただいた模様を全3回の記事でご紹介します。
第2回では「目の見えない人はゲームのどこに困難を感じているか」について、語ってもらった様子をお届けします。
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ブラインドeスポーツ座談会①「目の見えない人はどんなゲームをしてきたのか」
ブラインドeスポーツ座談会の参加者
直也:全盲の声優・ナレーター、エンジニア。大の野球好き。(先天性視覚障害)
いぐぴー:全盲のNHKのど自慢元グランドチャンピオン。(先天性視覚障害)
ひろ:石巻市在住。視覚障害団体でiPhone講師を務める。(後天性視覚障害)
DY:全盲のマッサージ師、作曲家。(先天性視覚障害)
まるた:視覚障害者福祉協会勤務。iPhone/iPad講師も行う。(後天性視覚障害)
武者:全盲のサウンドスケープデザイナー。(先天性視覚障害)
加藤:ePARA代表。NPO市民後見支援協会理事。社会福祉法人品川区社会福祉協議会勤務。
進行: 株式会社メジャメンツ 細貝(障害者専門クラウドソーシングサービス サニーバンク)
実は格ゲーもRPGもできる! ブラインドeスポーツあるある
進行:「視覚障害があるけどゲームをやってみた人あるある」みたいなお話を伺えればと思います。
武者:格闘ゲームでは、知らない間に端まで行ってしまって、自分では技を相手に繰り出しているつもりでも全くあてられていないという(笑)
直也:そうですね。格闘ゲームは一度ぶん投げられたら手も足も出ないですね。至近距離まで近寄ることができさえすれば技をかけられるんですが、遠距離からいたぶられるともう何も出来ないんです。攻撃をくらう音からして嫌な感じで(笑)
進行:格闘ゲーム以外だとどうですか?
直也:RPGなんかだと、ゲーム内のお店でなにか買おうとしたときよく見えないんですよ。例えばポケモンだと、ショップで買いたい物があっても買えないし、時々残金がなかったり。
DY:RPGは全体的に文字が見にくいので、読み上げ機能が欲しいですね。
いぐぴー:そうそう、キャラクターが何を言っているか分かると、とてもゲームをやりやすくなると思います。副音声みたいなので解説があってもいいですね。
キャラクターボイスと設定メニューの改善で、きっともっと楽しくなる
DY:パワフルプロ野球(パワプロ)なんかも、ゲームが始まってしまえばなんとでもなるんですけど、設定を読み上げてほしいです。メニューが読めれば自分で設定をいじってゲームの幅が広げられそうなんですが…。
いぐぴー:スマートフォンの読み上げ機能を使って画面を読み込めなくもないんですが、リアルタイムだと無理ですね。鉄拳5をやったこともあるんですけど、フリー対戦をやりたいのに全く別なモードが開いちゃったりしますよね。設定に読み上げは絶対に必要です。
直也:RPGとかでキャラクターを選択するとき、そのキャラのキメ台詞とか喋ったりするのがあるんですけど、それが僕はめっちゃ好きですね。
ひろ:あと、RPGだとパーティーのキャラの位置が覚えている配置と違うと、リセットして覚えている配置のところまで戻る必要があってね。キャラクターボイスでキャラの配置が分かるといいですよね。ぷよぷよは色が全くわからないんだけど一時めちゃくちゃハマりました。あれもキャラを選ぶと声がするんですよ。最近はフルボイスの演出があるゲームが増えましたけど、視覚障害者にはすごくいいですね。
いぐぴー:パワプロはチームを選ぶと応援歌が変わるので面白いですよ。
DY:話がちょっと戻るんですけど、パワプロはさらに選手選択のときに声が出るといいんですけどね。あと、設定のところってみなさん自分で出来ますか?
直也:ゲームのメニューって折りたたまれたりしているから、ただでさえ見にくいんですけど、大体、二次元配列じゃないですか。上下左右に配列されているやつ。二次元配列は視覚障害があるとすごく選びにくいんです。横一列だけ・縦一列だけみたいな配置だとわかりやすいし、画面を撮って読み上げるときも楽なんですよ。読み上げのオンオフとかも含めて、視覚障害者に対応した選択モードが欲しいです。例えば、ちょっと音が入るとかBGMが変わるとかで、断然わかりやすさが変わったりするんですよ。
進行:ゲームそのものよりも設定画面が鬼門なんですね。これはちょっと盲点でした。
今回のお話を振り返って
今回は、座談会の「目の見えない人はゲームのどこに困難を感じているか」の部分をお届けしました。
ゲームそのものより設定画面がつまずきの要因になるというのは意外なところでしたね。ユーザーインターフェイスの改良などで、もっと楽しめるものにできる余地はありそうです。
次回は、第3回として「目が見えない人はゲームの何を楽しんでいるのか」をテーマに、座談会のまとめに入っていきたいと思います。