インタビュー

未来を切り拓くeスポーツ「大日本印刷 Ichigaya Gaming Lab」

いま、企業のeスポーツ部が続々誕生し、eスポーツが社員同士の交流のみならず、企業交流戦など、新たな企業間交流のツールとしても注目されています。企業eスポーツチームインタビュー第3弾である今回は、ePARA代表・加藤大貴が「大日本印刷の Ichigaya Gaming Lab(イチガヤゲーミングラボ:IGL)」から運営・選手の4名の方々にお話をうかがいました。

Ichigaya Gaming Lab(イチガヤゲーミングラボ) 
Twitter(@IchigayaL
(聞き手:ePARA代表 加藤大貴)

代表から選手まで、個性的な4名のみなさんにお話を伺いました!

加藤:まず、それぞれ自己紹介をお願いいたします。

花井:今回、主にお話させていただく、副代表の花井です。大日本印刷(以下、DNP)では、新規事業開発を担当する部署に所属しています。部署ではたくさんのテーマを扱っていて、その中の一つとしてeスポーツに携わっています。

立川:代表の立川です。ゲームが好きですがあまりうまくはありません。花井と同じく、新規事業開発を担当しています。

田村:選手兼運営として活動しています、田村です。10月までは代表たちと同じ部署にいましたが、異動になって、いまはものづくりをする部署で新規事業のサポートに携わっています。あと私は個人的にですが、ブロックチェーンゲーマー(※1)として活動しています。IGLではシャドウバース部門の選手として活動しています。
  ※1:ブロックチェーンゲーム・・・それぞれのアイテムが唯一性・資産性を持つゲームで、ユーザー間で正式なアイテムの売買などもできる。

山崎:運営として関わっています、山崎です。ほかの3名とは違う部署なのですが、eスポーツとの関わりが深いため、運営に加えていただきました。プライベートではARスポーツ「HADO(ハドー)」(※2)の公認プレイヤーとして、プロeスポーツチーム「思考行結(しこうこうけつ)」に所属して活動しています。
  ※2:HADO(ハドー)・・・AR(拡張現実)の技術を活用した実際に体を動かして行うeスポーツ。

今回インタビューに答えてくださったみなさま。右から、立川さん、花井さん、田村さん、山崎さん。

コンテンツ企業とのつながりから生まれたeスポーツ事業

加藤:チーム結成の時期と、きっかけを教えてください。

花井:チーム結成は2020年の2月で、正式に活動を始めたのは3月のことです。IGLは、もともとDNPがeスポーツに関する事業にも取り組んでいこうというところから始まっていて、その一環として発足しています。DNPの中の我々が所属している情報イノベーション事業部という部署のゲーム好きメンバーを中心に立ち上げました。ほかのメンバーは社内で情報イノベーショングループを中心に告知したところから始まって、「あのゲームがうまいメンバーが、あそこの部署にいる」みたいな情報を聞きつけて、強いメンバーを部署外からも集めて正式に発足しました。

加藤:なぜ、DNPはeスポーツに取り組むことになったのですか?

花井:DNPはコンテンツコミュニケーション事業に取り組んでいます。また、イベント受託事業も行っており、従来の事業との親和性が高いので、eスポーツに関する事業にも取り組んでいこうとしています。DNPは出版印刷の事業を手掛けてきたことから、出版社やアニメ・マンガ、ゲームなどさまざまな領域のコンテンツ関係の会社との関わりが多くあります。それらの会社と協業して、コンテンツを生かしたコミュニケーション事業にも取り組み、推進していて、その中で東京アニメセンターの運営や、株式会社カプコンの「モンスターハンター」のライセンスを使って、「モンスターハンター15周年展」をDNPで主催したりなどしています。また、「P&I」(印刷(Printing)と情報(Information))の独自の強みを組み合わせた、多様なコミュニケーション手法を開発して、さまざまな企業の広告・販促、イベントなどを支援してきました。そういった流れから、eスポーツに取り組んでいるというわけなんです。

加藤:メンバーはどれくらいおられて、どんなゲームをされているんですか?

花井:選手は現時点で20名在籍しています、タイトルとしては、Apex Legends、シャドウバース、ストリートファイターV、ぷよぷよeスポーツ、リーグ・オブ・レジェンドという5タイトルで活動しています。

田村:シャドウバース部門に私はもともと運営として参加していたのですが、運営として触る中でスキルが伸びていったので、いまは選手としても活動しています。

研究開発で培った、技術・分析・洞察力がeスポーツでも強みを発揮!

加藤:チームの方向性としては、ガチかエンジョイかでいうと?

花井:ガチですね。真剣に取り組むチームという前提で発足しているので、書類選考をして選抜したメンバーになっています。なかでも、強いなと思っているのは、「ぷよぷよeスポーツ」、「シャドウバース」です。「Apex Legends」他タイトルも実力者が揃っています。メンバー構成がエンジニアとか、研究開発職の部員が多いので、分析とか洞察力というところが強みとしてあるんです。練習会の中でも、勉強会などみんなで議論して分析することをメインに活動している形です。

部室でのぷよぷよ部門の活動の様子。

加藤:チームのポリシーと言うか、ここだけは譲れないという部分はありますか?

花井:分析やゲームの言語化というところにみんな興味があって得意としているので、例えばゲームのバージョンが上がった時に、いち早くチーム内で共有して対策を練るみたいな形でやっています。エンジニアの選手が独自の分析ツールを自前で作り、練習で使ったりしています。成果は今後もっと多くのみなさんに見て頂ける形にしたいですね。

企業にとっても新たな出会いを生むeスポーツ

加藤:企業がeスポーツに取り組むことの良さはどういったところで感じておられますか?

花井:今まで知りえなかった企業との交流戦をして知り合ったことが、やはり企業間eスポーツの良さかなと思っていて。北海道医療センターさん、福岡のスリー・アールシステムさんと交流戦をさせていただいたり。地方の企業や団体と直接関わるきっかけって、今までほとんどなかったんですが、eスポーツをきっかけにネットワークが広がっていくところがすごい発見ですね。IGL内でも発足後に地方に異動したメンバーもいるのですが、場所が変化しても活動継続でき、社内交流としてもeスポーツの良さを感じています。

加藤:そんなで、これからの目標はありますか?

立川:目標としては社会人eスポーツのチームとしても、一つの典型例というか見本になるような形になれればと考えています。仕事とのバランスや、業務時間の取り扱いなど検討していかなければいけない部分は多いですね。活動予定としては、最初は少数制で始めて活動が軌道に乗ってきたので、裾野を広げる活動もしていきたいと思っています。タイトルの見直し・追加やメンバーの増員を進めていきます。

ぷよぷよeスポーツ企業対抗戦の優勝盾と部員のお2人。

eスポーツは「どんな場所、どんな状況でも繋がれるもの」

加藤:最後に、皆さんにとってeスポーツってどういう存在なのかっていうのを是非お聞きしたく。

田村:私は、eスポーツはゲームをやってみんなが楽しめるのがいいなと思います。また、足が速い人とか身体能力が高い人がリアルスポーツでは有利で、そこの物理的な壁もありますよね。eスポーツでは身体は強くなくても、頭脳とか直感とかが優れた人が戦うことができるのでそこもいいところかなと思います。

山崎:私にとって eスポーツは、QOL (Quality of Life:クオリティ・オブ・ライフ)を高めるものです。プライベートでeスポーツの活動していることもあり、仕事が終わったあと練習に行ったり、活動しています。そういうのがあるとここまでは仕事、ここからは練習と、仕事もプライベートもメリハリをもって過ごすことが出来ています。あとはeスポーツを通して新しいコミュニティやコミュニケーションが増えるところも面白いと思っています。

花井:私は、eスポーツってどんな状況でも絆を継続したり深めたりできるものだと思っています。私はプライベートでは4人家族で子どもが2人いるんですけども、新型コロナの状況下、家で過ごさないといけない時に、家族みんなでゲームに夢中になれたんです。 スプラトゥーン2を毎日やっていたんですが、子供もお友達と外で遊べなくてもゲームだったらオンライン対戦できるんですよね。いろんなところとどんな状況でも繋がれるっていうところがすごくいいなと思っています。

立川:ゲームを仕事にできる可能性ができたことがいいな、と思っています。今までは難しかったですが、eスポーツという分野ができたことで、仕事としてのゲーム、eスポーツの可能性が深まってきていると思います。

まとめ:これからの日常に「どんな状況でも繋がれるeスポーツ」が生み出すもの

今回のお話を伺って、事業分野としてのeスポーツの可能性はもちろん、「どんな状況でも繋がれる」というeスポーツの強さを再確認することができました。これからの新しい日常の中でeスポーツが様々な形で社会活用されていくことを期待したいですね。

今回インタビューにご協力いただいた、「大日本印刷の Ichigaya Gaming Lab」のみなさん、お忙しい中ご協力ありがとうございました。

Ichigaya Gaming Lab Twitter(@IchigayaL

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