インタビュー

グループ内の垣根を超えるeスポーツ「富士通eSports部」

企業eスポーツチームインタビュー第1弾のロゴ。富士通×ePARA。

いま、企業のeスポーツ部が続々誕生し、eスポーツが社員同士の交流のみならず、企業交流戦など、新たな企業間交流のツールとしても注目されています。企業eスポーツチームインタビュー第1弾である今回は、ePARA代表・加藤大貴が「富士通eSports部」代表の有馬和宏さんにお話をうかがいました。

結成半年で部員数150名超え!グループ全体から集ったeスポーツ部

——はじめに、有馬さんは、普段どのようなお仕事をされているのでしょうか?

有馬:私は富士通のグループ会社である、「富士通エフ・オー・エム株式会社」(以下:FOM)でアプリケーションやサービスのUI(ユーザーインターフェース)デザインをしています。FOMは業務システム活用支援や、研修・eラーニング教材制作、プロモーション支援がメインの会社で、FOM出版という部門も持っています。

——eスポーツ部を結成することになったきっかけを教えて下さい。

有馬:まずは富士通でひとつになってeスポーツ業務を推進していくための場づくりです。今までもグループ内で個々にeスポーツ関連の企画を進めている社員はいたのですが、やはり個人では限界がありました。そうした人たちを集め、会社公認の部で活動していければ、より相乗効果を生むのではないかと考えました。それ以外にも、単純にグループ間交流の場を作りたい想いもありました。富士通グループは大きいため、部活動も会社単位、事業所単位で行われることが多く、全体交流の機会はあまりありませんでした。そこをもっと活発にしたかったのです。部の結成は2020年2月ですが、その後のコロナ禍の中でも、オンラインで繋がれる強みを活かし、頻繁に活動することができました。

——ちなみに、現在、富士通eSports部にはどれくらいの方が在籍されているのですか?

有馬:発足当初は30名、現在(2020年8月)は150名を超えました。企業のeスポーツ部としてはかなり大規模な部類に入ると思います。

——すごい人数ですね。150名以上という大所帯の中でどのように活動を進められていますか?また、その中に障がいをお持ちの方はおられますか?

有馬:コロナ禍ゆえ、実際に集まっての活動が制限される中で、コミュニケーションツールのDiscordを使ってオンラインで進めています。ゲームタイトル別にチャンネル(掲示板)を作って、それぞれ集まって活動しています。一応、所属確認のために本名は教えてもらっていますが、基本ハンドルネームで呼んでいるのと、所属がバラバラで実際の面識はほぼないため、障がいのあるメンバーがいるのかどうかはわかりません。

※編集部注
後日、有馬さんから、『富士通eSports部にも1名、聴覚に障がいを持った者がいました。ただ、現在はそれをハンデとせず、スマートフォンの「ドリフトスピリッツ」というゲームで全国5位の成績を出しているツワモノでした。』とのご連絡を頂きました。

人数が多いからこそ多彩なタイトルをプレイできる

——いま、富士通eSports部で盛んなタイトルを教えていただきたいのですが?

有馬:一番人数が多いのは「スプラトゥーン2」ですね。あとは、定番の「リーグ・オブ・レジェンド」、カードゲームの「シャドウバース」、や、格闘系だと「ストリートファイター5」、「鉄拳7」、「大乱闘スマッシュブラザーズ」などです。最近勢いのある「VALORANT」も、まだ人数は少ないですが、チームができ始めています。

——ePARAでは「PUBG Mobile」や「ブロスタ」をやっていますが、これらのタイトルはどんな状況でしょう?

有馬:まだ「PUBG Mobile」のプレイヤーは少なく、これから盛り上げていきたいです。「ブロスタ」は普段から触っているプレイヤーがいます。基本的に、やりたい人間がいればどんなゲームでもどんどん追加していくスタンスなので、人数が多いタイトルだと30人、少ないと5人程度で結構バラけていますね。

楽しくやる中で味わった「悔しさ」から始まったチームの「団結」

富士通eSports部のメンバー7人の写真。全員がマスクをつけ、社員証を首にさげている。
2020年6月撮影 富士通eSports部提供。写真一番左が有馬和宏さん

——活動方針の主眼はどうされていますか?

有馬:まずは楽しく、社員間や他の企業さんとの交流をメインに据えています。ですが、部活として立ち上げたからには切磋琢磨し高め合って勝つことも大切だと考え、試合後は反省会などもしています。最終的には一般の大きな大会で勝って名を残したいですね。

——しっかりと目標を立てた運営をされていますね。進めていく上でどのような工夫がありますか?

有馬:ゲームとはいえPDCAサイクルを確実に回しています。そうすることで、技術が身につき高まっていくだけでなく、目標達成の喜びが自信につながるので、そこは大事にしています。例えば、「スプラトゥーン2」だと、最初の頃はいわゆるエンジョイ勢とガチ勢が混ざり合っていたのですが、そこから本気のメンバーで集うチームが生まれてきています。強豪企業との対抗戦や、様々な大会で結果を残すため、強くなりたいという気持ちが高まっていったのだと思います。

——やはり負けると悔しいですからね。

有馬:私自身は軽い気持ちで部をはじめたところもあるのですが、いまは会社の看板を背負っているという想いが、部員みんなの原動力になっているかもしれません。「富士通さん弱いよね…」などと言われてしまうのはちょっと悔しいじゃないですか。

——それはたしかに。部の雰囲気はどうですか?

有馬:はじめた頃に比べると、ずいぶん自主性が出てきました。部員みんなが率先して回す感じになってきています。運営側としては大会情報の告知や、いろいろなタイトルへの参加を案内するくらいです。

eスポーツが生んだ企業内外の「バリアフリー」

——企業交流戦などにも参加されていますが、他の企業さんとの関わりはいかがでしょう?

有馬: NTT東日本の「テラホーンズ」さんには、部の立ち上げ段階からお世話になっています。ほかには、株式会社エイプリルナイツさんとは何度も交流戦をさせていただいています。オール富士通としてのチームを立ち上げたことで種目のマッチングもしやすく、富士通一丸となって団結しているという感じが出ますし、結果的に他の企業さんと向き合えて良かったと思っています。
参考記事:富士通eスポーツ部・エイプリルナイツ 企業間ゲーム交流イベントを実施

——確かに。ところでオール富士通というところでは、気をつかう場面もあったりするのですか?

有馬:基本的に部員がどの会社出身で、どういう雇用形態かは気にせずやっています。中には契約社員だから入れないのではと気にされるかたもいますが、そこは関係ありません。今では募集要項にも「富士通グループで働いているかたなら、どなたでも」と明記しています。なかには家族含めて参加してくれるかたもいます。

——まさにeスポーツによる社内のバリアフリーといった感じですね。最後になりましたが今後の目標を教えて下さい。

有馬:引き続き社員間・企業間交流をしつつ、一般の大きな大会で勝って名を残したいですし、グループそのもののPRになれるように頑張っていきたいですね。

(聞き手:ePARA代表 加藤 大貴)

まとめ:eスポーツが生んだ企業内のバリアフリー

今回のお話を伺って、ePARAで行っている「バリアフリーeスポーツ」の取り組みと、企業内部活動でのeスポーツの役割は、根本的なところで似ているのではと気づかされました。それぞれ、異なる立場の人々の間にある壁を壊し、関わる人みんなで楽しみ、喜びを分かち合うことができる。そんなeスポーツの力強さを改めて感じたインタビューでした。

今回インタビューにご協力いただいた、「富士通eSports部」の有馬さん、お忙しい中ご協力ありがとうございました。

富士通eSports部Twitter(@fjesports
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCPaIBwC5LegEjFZViWKN3UQ

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