イベントレポート

双極性障害ライター・彼岸花が見た 社会課題解決型 ピッチ・イベント「マネーのシマウマ」

5月21日にePARAと渋谷区の共催で行われた「マネーのシマウマ」。ソーシャルグッドな資金調達について挑戦者と支援者が熱く話し合う場です。
マネーのシマウマの「シマウマ」は、企業の利益を第一に求めるユニコーン企業ではなく、社会貢献も同時に行なっていくゼブラ(=シマウマ)企業を対象とする点に由来します。今回は、シマウマとして中村豪志氏(渋谷区議会議員)、齋藤悠太氏(株式会社N.S.S.I designs 代表取締役)、粟井悠太氏の3名が参加し、挑戦者3名と語りあいました。
この記事では、双極性障害のライター・彼岸花が、挑戦者3名のお話を紹介しつつ視聴した感想を綴っていきます。

生きづらい人を救う、お話の輪 : 挑戦者①現王園健太(ココトモハウス代表)

ココトモハウス代表・現王園健太氏

ココトモハウスは、話したいことがある人たちが集まり、皆で楽しく話し合うコミュニティスペースで、スタッフさんを交えながら気軽に話せる居場所です。
20代でギャンブル依存症に苦しまれた現王園氏。劣等感や孤独感に苛まれながらも、苦境を救ってくれたのが「人との輪や繋がり」だったそうです。最初はココトモハウスの利用者の1人だった現王園氏は、現在は3代目の管理人を担われています。
引きこもりや辛さを抱えた人たちが集まり、コミュニケーションを行います。その助け合いの人の輪で救われた人も数知れずだそうで、人との繋がりを持てる場所がどれだけの人の心を癒すのか、とても熱心に伝えていらっしゃいました。

人とのつながりを絶やさないために

障害当事者の私自身としても、人の輪はとても大切なものだと感じています。

  • 人との繋がり
  • 自分がいてもいい場所
  • 誰かと話し合える空間

これらを必要としている人に1,000円で心地よい居場所を提供し続けていたココトモハウス。生きづらさを抱えている時には特に、誰かに話を聞いてもらうことで驚くほど楽になることもあります。話しているうちに気付いたらたら友達のようになれる。そういった人の輪を求める人たちにとって、ココトモハウスは救いのような場所なのでしょう。
立地もアクセスの良さと、人が多すぎない代々木で開催されており、騒音や人混みが苦手な特性への配慮もされてきました。実際に、精神的な疾患や悩みを抱えている人にとって人混みや騒音は強い刺激になり体調を崩す事もあるので、とても優しい理由だと当事者視点で感じました。
生きづらい人たちと生きづらさの薄い人たちとの心の壁を気にされる場面もありました。現在の形では、当事者以外にはココトモハウスのような人と人を繋ぐ場所の必要性が分かりづらい。また、持続的にココトモハウスを維持していくための課題も話されていました。

障害や悩みがある人たちの帰れる場所に

私がココトモハウスのプロジェクトを聞いて感じたのは、ココトモハウスはePARAと似ているところです。ePARAも部活動の集まりを通して、それぞれの強みや得意を紹介したり、皆さんが共通して楽しんでいるゲームやeスポーツの話をしたりしています。その中で和気あいあいと会話の輪ができ、部活動を通して障害や病気のつらさを軽減してくれます。ココトモハウスでも同じような「温かい輪」が広がっていると感ました。
ココトモハウスもePARAも、障害や悩みがある人たちの居場所、時には帰る場所になります。大事な場所だからこそ協力と支援の輪が集まります。現王園さんとココトモハウスの思いが詰まった代々木で、今後も安定して継続的に活動できることを願います。

本によって育まれる、子供たちの心や目標 : 山内ゆな(JETBOOK 作戦代表)

児童養護施設の子どもたちにあなたの最高の1冊を|JETBOOK作戦

2人目には、「児童養護施設に本を贈るJETBOOK作戦」の代表を務め、すでに新聞でも取り上げられ大々的に活動をされている大学生の山内ゆな氏が登場。関西からの参加ということもあり、ZOOMによるリモートでの参加です。
支援の輪が広がり、クラウドファンディングにおいて5月31日までに37,481,000円もの支援を集めました。

施設に対する理解を広げ、マイナスイメージを払拭したい

支援の広がりには勢いがあり、児童養護施設で育った子供たちの健やかな心の成長を「本の贈り物」によって後押しできる活動でもあることから、人々の共感を呼んでいます。ですがまだまだ児童養護施設への対する世間一般の理解は不十分と感じている山内氏。

  • 児童養護施設を少年院と同じようなところと間違えられる
  • 児童養護施設出身と打ち明けると「聞いてはいけないことだった」と思われる

など、自動養護施設で育った山内氏自身も実際にこういった経験をされてきています。そういった誤解を正していくのもこれからの社会に求められることかも知れません。JETBOOK作戦を通して、施設に対する偏見や誤解を拭っていけると良いですね。

障害者もちょっと似たところがあり、障害があると言うだけで扱いづらく感じられがちです。ですが、実際に関わってみると「障害や病気というハンディキャップがあるだけの普通の人」であることがほとんどです。施設で育った人たち同様、「障害者も実は普通なんだ」とわかってもらいたいところかもしれません。

活動の継続性と個人の負担

児童養護施設へ本を贈る活動は共感性が高く、「これからもずっと継続してほしい」という声が上がるのも必然のこと。ですが、それと同時に応援者としては「どうか無理なく」というのも込み上げてくる感情の一つだと思います。
シマウマ側からは、山内さんだけの活動に頼らず、もっと社会としての支援を広げる必要性も語られ、「善意がある活動的な個人だけに頼ること」の危うさも感じました。
今回のJETBOOK作戦では、SNSやメディアを上手く使い、人々の支援の心を沸き立てています。社会にとって良い活動を進めていくにも、積極的に動き、人の前に出ていくことが必要で、勢いも大事。クラウドファンディングをはじめとした支援の輪を広げたい時に参考になるポイントかもしれません。

バリアフリーeスポーツで開拓する障害者の未来 : 加藤大貴 (ePARA 代表)

ePARA代表・加藤大貴

ここでePARA加藤がまさかの動きを。司会から突然挑戦者サイドへ!現場からは笑いがあふれ、和やかさもあり、またコミカルとも言える一面でした。
加藤が紹介したのは年齢も性別も、障害の有無も全てを超えて皆で楽しめるバリアフリーeスポーツカフェ「Any%CAFE」。運営資金の調達のために行われたクラウドファンディングは、開始7日で目標金額50万円を達成し、支援総額は¥812,000にのぼりました。当初の予定より多く集まった金額はこれからより多くのイベントを開催することにあてられるということです。
また、加藤の口より新たに紹介されたブラインドeスポーツチームFortia(フォルティア)。全盲のゲーマーが格闘ゲームやFPSに挑戦していきます。視覚に障害があってもゲームは楽しめることを体現していくそうです。様々なツールを使いこなしながら、ブラインドeスポーツプレイヤーが晴眼者に負けない戦いを繰り広げる様子は必見です。ePARA発のブラインドeスポーツチームFortiaをみなさんも暖かく見守り、応援ください。

ゼブラ企業が社会の問題を救う?

  • 人の心を癒す輪を作るココトモハウスの現王園健太氏
  • KETBOOK活動で児童養護施設に本を贈る活動をする山内ゆな氏
  • バリアフリーeスポーツを通して障害者の就労支援を進めていく加藤大貴

三人の挑戦者から発せられたお話は、とても興味深い内容でした。事業をいかに継続可能にするか、社会をどう巻き込むかなど、今後の課題が浮き彫りになる場面もありました。
児童養護施設においては、施設で育った子供が大人になり親になった時に、その子供がまた施設に入ることになる話にも触れていました。これは本当に難しい問題で、育児の大変さや社会的な支援の薄さからくる現象でもあるとのこと。そのお話の通り、親個人が悪いのではなく、社会の問題でもあると思います。
育児は本当に大変です。筆者自身は障害者でもあり親としても育児真っ只中であるからこそ、「社会が育児で苦しむ親御さんをもっと助けること」も大切であると強く感じました。
世間の親御さんだけでなく、病気や障害がある方々への社会的支援もまだまだ手厚いとは言い難いかもしれません。多くの場合は人の心を繋ぐ輪を、善意のあるゼブラ企業によって支えられている状況です。
ゼブラ企業の方々の「企業収益」と「社会貢献」を両立する活動が進んでこそ、より深い意味で幸せな社会へと近づいていくことでしょう。

社会的に良い活動をしていても、認知がば広まらない。こういった社会にとって素晴らしい活動はどんどん広めていきたいものです。

左:渋谷区議会議員・中村豪志氏 中央:株式会社N.S.S.I designs 代表取締役・齋藤悠太氏 右:粟井悠太氏

参考URL

 渋谷を潤して、強くする。|中村たけし
 N.S.S.I designs, Inc.
 Awai Yuta (twitter)
 居場所がない&友達がいない方向けのコミニティスペース。東京のココトモハウス
 山内ゆな JETBOOK作戦(twitter)
 自分らしく生きていける世界――ePARA代表・加藤大貴氏が国家公務員を辞めて実現したかったこと

クラウドファンディングURL

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児童養護施設の子どもたちにあなたの最高の1冊を|JETBOOK作戦
 (2021年5月31日終了 37,481,000円)
【地域・年齢・性別・障害の有無】の壁を打ち破るeスポーツカフェをつくりたい!
 (2021年5月30日終了 812,000円)

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彼岸花

双極性障害ママゲーマー彼岸花です。双極性障害は一生のお付き合いとなる精神疾患ですが、受け入れながら育児!家事!気晴らしにゲーム!時々元気に時々休みながらエンジョイしています。

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