2020年10月17日(土)13時よりバリアフリーeスポーツ社会人チームチャンピオンシップ第1回ePARA CHAMPIONSHIP version:Aim Highが開幕します。パラeスポーツプレイヤーを含めたメンバーで構成される社会人チーム4チームが集結し、10月17日・11月22日の二日間にわたって熱戦を繰り広げます。それに先立ち本サイトでは、第1回ePARA CHAMPIONSHIPに関連した記事を4記事連続で特集します。
第3回は、 ePARA CHAMPIONSHIPのpart1、CALL OF DUTY: MOBILE(5 vs 5 チーム戦)にBASEチーム代表として参加するtoraさんによる寄稿記事をお届けします。
Team-BASEとtora
北海道のド田舎に住む23歳「tora」です。BASE株式会社が取り組むeスポーツ活動に、チームメンバーとして参加しています。中学1年生の頃にFPSの世界を知り、初めてCall of Duty® 4: Modern Warfareをプレイしました。最初はストーリーなどをこなしておりましたが、オンライン対戦を始めた時は、楽しくて、興奮して、その感動でFPSの世界に夢中になりました。そこから半年ほど経ち、FPSを一緒にやる友達がいればもっと楽しいと思い、学校の仲間たちで集まって一緒にやるようになりました。18歳になり、進路の違いでその仲間たちと離れた私は、PCでしか遊べないFPSがあると知ってPCゲームを始めました。まだゲーム友達がいなかった私は、ツイキャス(配信サイト)で他のゲーマーのプレイを見たり、ツイキャスで出会うプレイヤーとプレイすることを主戦場にしていました。そのツイキャスで知り合ったのが現Team-BASEのコーチを務めるchan3.0さんです。chan3.0さんは当時、車いすソフトボールの日本代表に選ばれるアスリート選手でした。その出会いをきっかけにchan3.0さんたちと約5年間、一緒に色々なゲームをしてました。そして今、chan3.0さん率いるTeam-BASEの一員としてプレイしています。あの配信サイトで1分1秒ずれていたらchan3.0さんと出会うことはなく、自分がこうしてBASEにいるということがなかったであろうと思うと、本当に運命を感じました。この繋がりを大切にし、Team-BASEに全力で取り組みたいと考えております。


手掌多汗症とtora
手掌多汗症とは?
多汗症は、腋の下、手のひら、足の裏、頭部などに異常に発汗する病気です。手掌多汗症は漢字の通りその部位が手掌で、手のひらに日常生活をするうえでいろいろな障害をもたらすほど発汗する病気です。本人にとってはコンプレックスに感じていても大抵は大きな問題としてわかってもらえません。親や知人に相談しても、「お前は汗をかきやすいんだ」などと相手にされることなく済まされてしまいます。不自由を感じることが多くても解決する術がなくそのまま時が過ぎて、常に手の汗をかくことがだんだんストレスになってきたりもします。
手掌多汗症で困ったこと
一番困ったことは、握手ができないことです。「握手をしなければいいじゃないか」と思う方もいるかと思いますが、学生の頃は授業の一環で、体育のダンスだったり、体育大会でどうしても手をつながなくてはならないときがありました。「なんか今日汗やばいわ」なんていって誤魔化して、次の同じ、授業は休んだこともありました。周りは手の汗がひどいんだといっても多少の感覚でしか受け止めてくれません。その感覚のまま握手をしてしまうとびっくりされて軽蔑されたこともありました。
次に、配布物の手渡しです。学校ではよく配布物を前から後ろに配ることが多いと思います。私が後ろに渡すと、「このプリント、濡れてるんだけど」と言われることがありました。私は常にハンカチや拭くものを用意しておき、配布物を手渡す前に自分の手を拭うなど、自分なりに工夫していました。
そして厄介なのは、手汗が原因で物を壊してしまうことです。特に当てはまるのがゲーム機材です。私は中学生から高校生までコントローラーでゲームをしてきましたが、汗で合計5台のコントローラを壊しました。汗でボタンが作動しなくなったり、汗で滑ってコントローラーを落として壊れたり。コントローラーが壊れることはあるにしても、汗で何台も壊れることは珍しいのではないでしょうか。
手掌多汗症でもFPSがやりたい
toraの手掌多汗症対策
私をいつも悩ませる、異常な手汗。コントローラーやマウスをうまく握れなかったり、ボタンが滑って押せなかったりしてうまく戦えず、不本意な負けを経験することも多くありました。「どうすれば自分が満足のいくFPSができるだろう」と悩みました。
そこで行き着いたのが手袋の利用です。手袋で汗の影響を最小限にしようという試みです。最初は布の手袋をしてみたりしましたが、指先の感覚が全く変わってしまい、コントローラーの操作がうまくできませんでした。次に試したのがプラスチック製の手袋です。それは手汗をかくことによって手に張り付くようになって操作性が良くなることが分かりました。

しかし、スマートフォンのFPSとなると、プラスチック製の手袋だと操作が不可能になります。かといって布製に変えてしまうの自分の思い通りの操作ができません。そこで考え付いたのが下の写真のような手袋です。プラスチック製の手袋をはめて、操作する指先少しだけ切っています。手汗はもちろんかきます。しかし汗によるプレイへの影響はだいぶ軽減されました。

手掌多汗症対策のグッズにも期待
このようにして工夫してきたのは、やっぱりFPSが好きだからです。手掌多汗症の苦しさよりも、FPSの魅力、オンラインで友達とおしゃべりする楽しさ、チームワークで掴む勝利などの興奮を味わいたい気持ちが勝っていました。だから手掌多汗症で困ることが多くてもここまで続けてこれたのだと思います。自分のような手掌多汗症で悩んでいる人のために、汗を抑制するようなマウスやキーボード、コントローラが発売されたら嬉しいです。また、今ではスマートフォン操作用の、指サックなどもあったりしますが、どんな手袋をしていても操作ができるスマートフォンがあれば、手掌多汗症に悩む人に限らずさまざまな人が活用できると思います。
ePARA CHAMPIONSHIPに向けて
Team-BASEは2020年10月時点で、コーチ含めて6人で活動しています。Team-BASEは、ただゲームが好きな人を募って作り上げたチームではなく、メンバー6人それぞれに繋がりがあって結成されたチームです。障害を持ってるメンバーもいれば、外国人だけど小さい時から日本にいるメンバーもいます。人それぞれ異なる背景・環境のメンバーが集い、楽しみながらも全力でプレイしています。
最近は10月17日に開幕するePARA CHAMPIONSHIPに向けて、part1のCALL OF DUTY: MOBILEをメインに活動しています。part1のCALL OF DUTY: MOBILEは5対5のチーム戦で3試合×3Roundを行うチーム戦で行われます。Round1はHardpoint、Round2はSearch and Destroy、Round3はDominationと、3ラウンドとも基本ルールが異なります。相手チームの出方を考えながら、Team-BASEでどのように作戦を立てて戦っていくかなどを日々話し合い、研究しております。本番までにTeam-BASEのベストな作戦を築き、必勝態勢で挑みたいと思います。
今後、一人のTeam-BASEの選手、一人の手掌多汗症を持つゲームプレイヤーとして「このチームにこんな人がいるんだな、病気もっていても工夫すれば楽しく自分のやりたいことをやれるんだな」ということをもっと知ってもらえるようになりたいです。Team-BASEとしての活動の幅を広げていく中で、病気を持っていても全力で楽しんでいるtoraというプレイヤーに注目していただけるようになれたらと思っています。