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障害とゲーム

ゲームとADHDと私 ~自分自身と向き合い、理解するために~

はじめまして。紡姫うさぎ(つむぎうさぎ)と申します。
普段は別名義にてイラスト制作をしており、ライターとして寄稿するのは初となります。

私は発達障害(ADHD)を持っています。
ADHDとは、日本語では「注意欠陥多動性障害」などと訳され、主に「忘れ物が多い」、「うっかりミスが多い」などの「不注意」症状と、「落ち着かない」、「待つのが苦手」などの「多動性・衝動性」症状がみられる、発達障害の一つです。

障害を意識するようになり診断を受けたのはここ数年の話となるのですが、今回は障害を自覚する以前より長く付き合っており、自身の趣味でもある「ゲーム」を交えたお話をしていきたいと思います。

筆者、紡姫うさぎデザインのイラスト。目の大きなピンク色の髪の少女。髪には四色のリボン、首にもピンクのリボンを巻いている。

ADHD(注意欠陥多動性障害)との向き合い方

ADHDの主な特徴・症状は上の説明の通りなのですが、その中でも私は「不注意優勢」のADHDと診断を受けています。

私が悩んでいた症状としては、「朝起きられない」、「忘れ物・なくし物が多い」、「時間管理が苦手」、「覚えることが苦手」、「つい余計なことを言ってしまう」など、正直挙げればキリが無いです。
(これを見て「健常な人でも同じようなことを悩んでいるのでは?」と感じる方もいるかもしれませんが、「それらの症状によって日常生活に支障をきたすか否か」が診断基準の一つとなっているそうです。)
これらの悩みは、それこそ障害として自覚がなかった幼い頃からずっと続いているものです。

では全く改善していないのかと言いますと、そういうわけでもありません。
私の場合は、「自分自身と向き合い、理解する」ことで症状を和らげることができるようになりました。

元より私は昔から物事を分析したがる癖のようなものがありました。
例を挙げると、勉強に於いて好きな科目と苦手な科目を分析し、そのように感じるのは具体的に何が要因なのかを推測する、などでしょうか。
幼い頃からゲームに慣れ親しんでいた私は、自然とゲームの中でも同じようなことを考えを持っていました。

ゲームで自分自身と向き合う

私は幼い頃からゲームに親しんできたということは上でも書きましたが、実はそれよりも更に前からピアノを習っており、音楽にも多く触れ合ってきました。
音楽とゲームがどちらも好きということでピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、以前かなり「音ゲー」にハマっていた時期がありました。

「音ゲー」とは、様々な「音楽ゲーム」や「リズムゲーム」等と呼ばれるものの通称・総称です。
私が主に遊んでいたのはゲームセンター等で遊ぶアーケード型の音ゲー、その中でも特にBEMANIシリーズの製品です。
私が一番最初にハマったのは「jubeat(ユビート)」という4×4の計16枚のパネルを操作するものでした。
ゲームセンター等で見たことがある方も多いのではないでしょうか。

最初に練習を始めた音ゲー、「jubeat」シリーズの最新機種(jubeat festo公式サイトより)

音ゲーを始めるまでは、ゲームは基本コマンドRPGやパズルゲームが主、アクションゲームはKINGDOM HEARTSシリーズをプレイしていたという程度でほとんど経験が無かったため、まず最初に動体視力や反射神経の無さが課題でした。
しかし私はそれらを無視し(笑)瞬発力が無いならそれらを使わないでプレイできるようになればいい、と自宅で譜面動画を見ながら机を叩いてひたすらイメージトレーニングによる予習を行いました。
(最初から筐体で練習するとお金がかかりすぎてしまうという理由もありましたが…)

結果、思っていたよりすんなりと大まかな譜面の内容(パネルを叩く順番・タイミング)を覚えることができ、次に押すべき場所に先回りして意識を向けられるので反射神経に頼らなくても落ち着いて叩けるようになりました。
自身としては、昔から「記憶すること」が苦手という意識が強かったのですが、今回の経験を経てそれは一部の条件下でのことであるということがわかりました。

さらに、自分にとってやりやすい方法を意識して取り入れることができれば、一変して得意にもなり得るということも身を持って経験しました。
これは自分にとって自信にも繋がりましたし、自分が活動しやすい環境や条件を整える重要さにも気付かされました。
なお、これらの練習を色んな曲で繰り返すうちに目の方も鍛えられ、今では初めて見る譜面でも問題無くプレーできるようになりました(笑)

ゲームで自分自身の理解を深める

FINAL FANTASY XIV 画像(公式プロモーションサイトより)

次にお話するのは、ゲームの世界を通して自分を理解するきっかけをくれたタイトルの一つ、「FINAL FANTASY XIV」通称「FF14」です。
FF14は、ファイナルファンタジーシリーズのオンラインゲームです。
プレイヤーは「冒険者」となり、広い世界を自由に旅します。
根幹となるメインストーリーも勿論用意されていますが、MMORPGらしく基本的には自由なスタイルで遊ぶことができます。

私はというと、主にバトルコンテンツ、その中でも「高難易度レイド」と括られるものを楽しんでいました。
バトルコンテンツは基本的に、知人もしくは見知らぬ誰かとオンラインでパーティを組んで挑みます。
コンテンツ毎にパーティ人数が決まっており、(主に4人~24人)高難易度レイドの場合は基本的に8人で挑むコンテンツです。

今となっては楽しく攻略を進めることができるようになりましたが、最初は苦手意識の方が強く、かなり緊張しながらプレイしていました。
そもそも高難易度レイドは戦闘開始から敵を撃破するまでに10分以上かかるものが多いです。
その上、1人のミスで壊滅し、最初からやり直しになるということも多々あります。
さらに、私が「ヒーラー」ジョブ(他人のミスをカバーしたりサポートをする等の役割が強いジョブ)を好んで使っていたこともあり、「迷惑をかけたり足を引っ張りたくない」という思いから、知人と一緒に高難易度コンテンツに行くこと自体にも抵抗がありました。

そんな私が行ったこと。そう、それは「予習」です。

幸いなことにFF14の高難易度レイドでは予習が文化として定着しており、プレイヤーが作った攻略記事や動画などが豊富に用意されていたので、それらを参考に勉強しました。
かなり覚えることが多いので内容については割愛しますが、過去コンテンツから一つずつ順番に予習・実践を繰り返し、少しずつ自信をつけていきました
そうして現行コンテンツを野良パーティで踏破できるようになった頃にようやく、自信を持って知人と一緒に遊べるようになったのでした。FF14は反射神経が必要なゲームではありませんが、タイミング毎に自分の役割を判断してきっちりとこなす必要があります。
それ故に知識と理解が非常に大事になってくるので、以前の私だったら「苦手な分野」だと思って諦めてしまっていたかもしれません。

自分にとってやりやすい方法がある筈だということを理解し、諦めずにそれを模索した結果として今回の苦手意識の克服があったのではないかと思います。

筆者・紡姫うさぎがゲームの操作で使用しているPC用ゲーミングデバイス。キーボード、左手デバイス、ゲーミングマウスが写っている。
筆者・紡姫うさぎがゲームの操作で使用しているPC用ゲーミングデバイス

障害と付き合っていくためのゲーム

私はゲームをするとき、ゲームの世界を通して自分自身と向かい合っているのではないかと感じることがあります。
それはコマンドRPGでの技の選択であったり、ゲームの中で何が楽しいと感じるかであったり、千差万別です。
そうやって何気ない選択や考えから、自分についての理解や意識をする機会を与える、その役割を一役買っていたのが、私の場合はゲームだったのではないかなと感じています。

今回書き連ねたように、今までは比較的に一人でも楽しめるゲームをやり込み「己との戦い」みたいなものを楽しむ傾向がありました。
最近は、他のプレイヤーの方と競い合う対人ゲームや、昨今盛り上がりを見せるeスポーツなどにも非常に興味があります。
「ぷよぷよ」や「スプラトゥーン2」のような対人要素の強いゲームもプレイしており、今後はゲームを通してこれまで接点のなかった方との関わりも深めていけたらなと思っています。

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紡姫うさぎ(つむぎうさぎ)

発達障害(ADHD)を持つ兼業イラストレーター。
様々なジャンルのゲームを好み、休日は自宅でのんびりゲームをするのが楽しみ。
イラスト制作のタイムラプス動画をSNSにて配信中。
Twitter:@tsumugi_usagi
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