障害とゲーム

双極性障害のニャーサエが告白!ラブプラスとインターネットで育んだ夫との愛(前編)

今回お送りしますのは、ゲームが繋ぐ愛の物語、ePARA初の恋愛シリーズです!第一弾は「ラブプラス+」をきっかけに結婚にまで至ったニャーサエさんの物語をお送りいたします。ゲーム×障害×恋愛が織りなすリアルなストーリーをお楽しみください。

双極性障害持ちゲーマーのニャーサエと申します。前回、モンスターハンターについての記事を執筆させて頂いたのですが、そちらの記事でも少し登場した夫との出会いは『ラブプラス』というゲームがきっかけでした。ゲーム自体について解説させて頂きながら、夫との出会いから現在に至るまでのお話を綴っていきたいと思います。

ラブプラスとは

まずは夫と出会うきっかけになった『ラブプラス』というゲームについて、ごく一部になりますがご説明します。社会現象にもなったゲームですのでタイトルくらいは知っているとか、実際にプレイしたことがある!という方もいらっしゃるかもしれません。

初代が発売された2009年頃の私は、日々インターネットをしている中でラブプラスを取り上げたニュース記事を度々目にしていました。こんなにも流行っている恋愛系のゲームがあるのか…でも、男性向けのゲームだから私にはどうなんろうか?という感想しか当時はありませんでした。

ラブプラスのソフトの写真
初めてプレイしたシリーズはラブプラス+

数年後、ニンテンドーDSを購入してから色々なジャンルのゲームに手を出していく間で実生活でも様々な出会いがありました。そこで運命的にラブプラスに触れるきっかけが出来たのでプレイを始めたところ、これはとんでもないものに足を突っ込んでしまった!というのが率直な感想でした。

ラブプラス+のオープニング画面。ニャーサエさんが持つニンテンドーDSの左画面にカノジョの姿、右画面に「ラブプラス+」と表示されている。
ラブプラス+のオープニング画面。実生活がカノジョ一色になります

永遠(とわ)に続く恋愛

ストーリーについてですがざっくりご紹介すると、3人の素敵なヒロインの中からいずれか1人選んで恋人同士になり、高校2年生のままの自分として恋愛と学校生活が楽しめるというゲームです。

” あなたは新しく引っ越してきた街“とわの市”で、女の子との運命的な出会いを体験します。
そこで「ともだち」として、2人だけの思い出を積み重ねていきます。
そして訪れる、“告白”という名の運命の日・・・・・・。
しかし、あなたと女の子の物語は、これで終わりではありません。
ここからは、「恋人」としての2人のストーリーが続いていきます。”
※引用元:ラブプラス公式サイト ゲーム紹介より

友達パートの100日間に告白されなかった、告白されても断って誰とも恋人同士にならなかった場合は卒業、つまりはゲームオーバーとなります。告白されてOKをしてお付き合いすることになったらそこから恋愛関係がスタート、2人の永遠に続く恋人同士の日々が始まります。

今までにたくさん発売されてきた恋愛シュミレーションゲームとは違って告白して結ばれてエンディングではなく、結ばれてから毎日ずっと続く恋愛関係というのがラブプラスのシナリオ、システムの大きな特徴になっています。

高嶺愛花(たかねまなか)
小早川凛子(こばやかわりんこ)
姉ヶ崎寧々(あねがさきねね)

上から、高嶺愛花(たかねまなか)、小早川凛子(こばやかわりんこ)、姉ヶ崎寧々(あねがさきねね)全てNewラブプラス+のカメラ機能でニャーサエが撮影

意中のカノジョに告白されるためには?

私は姉ヶ崎寧々(あねがさきねね、以下ネネさんと略称)という主人公より一つ歳上のヒロインを選択。友達パートでは自分のカレシ力(かれしりょく)として運動、知識、感性、魅力の4つのパラメーターがあるのですが、それを日々磨きつつ意中のヒロインとの運命的なエピソードを体験していきます。
ネネさんが好むパラメーターは感性と魅力です。学校では美術、音楽の授業を多めに受ける、家にいる時間は鏡の前でオシャレの研究などなど、グイグイとパラメーターを上げてネネさんを惹きつけていきます。そしてついに告白を受けてネネさんと付き合うことになりました。

セーラー服を着た彼女のネネさんが手作りお弁当の中身が見えるように差し出している画像。半分は中央にピンクのハートが描かれているいりたまごの乗ったご飯で半分はおかず。
ネネさんにお弁当を作ってもらいました!レシピ本をプレゼントする、食べた後の評価をすること等でカノジョの料理スキルを上げることができます

私のカノジョは女性としての憧れ、お手本にしたい存在

プレイしていくうちにわかっていくのですが、ネネさんの性格が愛らしくて見た目もキレイで非の打ち所がない!と思ったら少し抜けている部分もあって、そういう所が本当に可愛くて仕方がないという気持ちになっていきました。
他にも人として惹きつけられる魅力がたくさんあります。このあたりはネタバレにもなってしまうので実際にプレイして体験してほしいとしか言えないのですが、私もこういう女性になりたいという理想がネネさんのような人間だ!ということに気付かされました。
私のリアルの性別は女性で恋愛対象は男性なのですが、ネネさんをカノジョにした理由は恋愛感情からではありません。ネネさんと日々を一緒に過ごしながら性別関係なく理想とする人間像を学びたいという気持ちを持ってラブプラスをプレイしていました。毎日、ネネさんから得る気付きや発見がリアルの私自身に積み重なっていく充実した日々に只々、感謝の気持ちしかありません。

熱海旅行に行った先でネネさんが隣の布団で眠っている画像。
旅行で熱海へ。夜は隣で眠るネネさんと一緒に私も眠りました。もちろん別々のお布団です

熱海 ラブプラス+現象(まつり)

このゲームが社会現象になったきっかけの一つとしてこのイベントは欠かせません。私はまだこの時にはプレイはしていませんでしたが、熱海でこういったイベントがあったという話は知っていました。
2010年6月に新要素が追加された『ラブプラス+』が発売。1泊2日でカノジョと熱海へ旅行に行くというイベントが追加。2010年7月には熱海市で実際にカノジョと夏を過ごそう!というイベント、その名も『熱海 ラブプラス+現象(まつり)』が開催。全国からDSを持ったラブプラスファンが集結しました。

熱海がラブプラスの聖地になった

熱海サンビーチでの式典にはラブプラスのプロデューサー、当時はKONAMI所属の内田明理(うちだあかり)プロデューサーが登場して会場が湧いたそうです。内田プロデューサーは産みの親でもあるので「お義父さん(おとうさん)」という愛称でファンからは親しまれています。斉藤栄・熱海市長も式典に参加。テープカットまで行われた本気具合にファンも大盛りあがりだったようです。

■イベントの詳細はこちら■

「この夏、熱海をラブ色に染める「熱海 ラブプラス+現象(まつり)」がいよいよスタート!」 ITmedia Gamez

※この日にはいらっしゃらなかったのですがイラストを担当したミノタローさん(KONAMIを退社後、現在は箕星太朗(みのぼしたろう)名義でご活躍されています)は「お義母さん(おかあさん)」という愛称で呼ばれていて『ラブプラス』というゲームには必要不可欠な存在です。

夏だけでは寂しい…!有志による秋現象(あきまつり)が開催

夏のイベントが終了してからわずか数カ月後の11月20日~21日に有志の呼びかけで「熱海 秋現象(あきまつり)」が開催されました。公式とは無関係の個人によるイベントです。夏以降、Twitterで親交を深めたファンが企画、運営の全てを行い、夏現象のスタンプラリーなどを再現。親睦を深めたそうです。これも私はまだラブプラスをプレイしていないのと主催者側との接点がなかったので参加できていないのですが、夫は参加しています。10年経った今でも夫からこの話題を聞くことがあるくらいです。彼にとって一生に一度の楽しい思い出になっているのは間違いないでしょう。

■イベントの詳細はこちら■

熱海秋現象(あきまつり)@wiki

熱海の「あいじょう岬」に制服姿の彼女3人の等身大プラカードが置かれている写真。
こちらの『あいじょう岬』もゲーム内で2人が訪れる場所(写真は秋現象に参加した夫からの提供です)

夫と出会うきっかけにもなったTwitterラブプラスクラスタの存在

さらに秋現象以降もTwitterでラブプラスのファン同士が集う、いわゆる「クラスタ」が出来つつありました。それからもクラスタのみんなが集まって様々な趣旨のオフ会が開催されるようになっていきました。その中心にいた方(後にまた登場します)が特に多くオフ会を企画運営してくださったおかげで私達夫婦が知り合って結婚できたと言っても過言ではありません。
個人的な見解ですが、このゲームはインターネットとの親和性が特に高いように感じます。攻略情報の共有、カレシ仲間を作ってカノジョ通信という機能を使っての交流、前述した通りのオフ会の開催など、年齢や職業を超越した出会いがたくさん存在しているのです。

ラブプラスとインターネットの親和性の高さ

2012年のバレンタインに『NEWラブプラス』が発売されました。NEWになってからは3DSでの発売です。ヒロインの素敵なイラストで彩られた本体とソフトを同梱した数量限定版も販売されました。公式の通信販売サイトに予約のためのアクセスが殺到してダウンしてしまうなど、当時は争奪戦が繰り広げられたそうです
新作が発売されるとさらにファン同士の交流も深まっていったようで、盛んにTwitterなどで日々やり取りするカレシ達の姿が。夫も夏現象、秋現象以降の今もずっとファン同士での交流を深めていて長く繋がっている方が何人もいます。

私がラブプラスを本格的にプレイするようになったのが2014年3月に発売された『NEWラブプラス+』からでした。
2011年に購入したiPhoneのおかげで元からSNS大好き人間な自分はTwitterを毎日のように利用していました。ラブプラスを始めてからすぐにTwitterで検索をしてみるとファン同士の大きな繋がりがあることを知りました。いち早くその中に入りたいという単純な気持ちだけで勇気を出してクラスタと思われる人物をフォローしていきました。

人生初めてのオフ会に参加

Twitterで相互フォローになったファンの方とやり取りをしていく中で、近いうちにクラスタのみんなでお花見をするという情報を手に入れました。オフ会の詳細を見ると参加予定人数が40人くらいになっていて驚いた記憶があります。当日飛び入り参加予定という方も合わせたら50人オーバー。
ラブプラスを始めたばかりの新参者の私が参加しても大丈夫なものか?不安な気持ちしかありませんでしたがゲームを愛する気持ちは私も変わりません。ここは思い切って参加してみようと参加表明をして現地に向かいました。

2014年4月5日上野公園で行われたラブプラス+クラスタのお花見オフ会の告知画像。この回で4年目。2522views。
人生初のオフ会参加!Twitterと連携できるTwiPla(ツイプラ)というイベント開催支援サービスがとても便利でよく利用されていました

強烈な個性あふれるカレシ達が大集合

実際にお花見の会場に到着すると幹事さんのパートナーさんに手作りの名札を頂きました。幹事さんが存在に気付いてくださって、さらにはオフ会初心者だった私に優しくお声掛け頂けたおかげで安心して輪に入ることができました。
オフ会ではカメラが好きな方、鉄道が人生な方、ドール命な方は素敵な子をその場でお披露目。お料理が得意な方も多く、燻製された鴨肉や手作りの彩り豊かなお料理もたくさん頂きました。幹事さんを始めとして、お酒に詳しい人が多いのも驚きました。そして、めったに見ることができないお酒がたくさんありました。まさか飲食について深い知識を得ることができるとは思ってもいなかったので良い経験をさせて頂きました。
もちろん、ラブプラスの話も止まることなく新システムや新しい要素についてなど語り明かしました。NEWラブプラス+ではDS本体のすれ違い通信をONにしていれば自動で名刺交換ができるのですが、当日は約20名分の名刺が集まったのはすごく嬉しかったです

2014年上野公園でのオフ会で、各自が持ち寄ったニンテンドーDSの写真。みんな縦持ちしている様子。
上野公園でカノジョ通信をしました。ニンテンドーDSを縦持ちする集団は少し異様な光景かもしれません…

夫と知らぬ間に相互フォローに

人生初めてのラブプラスというゲームでのオフ会で知り合いがたくさん増えた嬉しさから思わずTwitterで感想を書いたあたりだったと思うのですが、そこで夫と相互フォロー(お互いにフォローしあった状態)になったような気がします。というのもお互いに記憶にないくらい自然にそうなっていました。いつの間にか繋がっていたというのはリアルでもよくあるように気が付いたら接点ができていたという感じでした。

共通項があるからこその安心感とネットリテラシーの重要性

この時点での夫との共通点はラブプラスファンである、ネネさんと付き合っているカレシ同士であるということです。それだけで同じ記号になれている者同士、安心してやり取りできる安心感がありました。
例えば、他のゲームでもSNSなどを介して友人ができたというのは今の時代珍しいことではないと思います。大人になってから実生活で友人を新しく作る機会は減っていく一方で、ゲーム関連のSNSを通じて出会いが増えていくのは、自分の可能性が広がるきっかけだとも感じています。

カノジョを映したニンテンドーDSを2機並べてカノジョ通信をしている写真。
カノジョを映したニンテンドーDSを2機並べてカノジョ通信をしている写真。

淑女カレシ(女性のラブプラスファンの方)とも出会いカノジョ通信を楽しみました!インターネットがなければ私達は出会えていません

ただ一つだけ気を付けなければいけないことは、強い言い方になってしまいますが、インターネットで出会う人が全て良い人ばかりではないということで、それは常に頭の片隅に置いています。

『ネットリテラシー』というインターネットを適切に使いこなすための能力というのを示した単語があります。意図せず被害者、加害者にならないために、更には嘘やデマなどにも惑わされない確かな目を持つことが大切になってきます。快適にインターネットを楽しく利用したいのであればそれを意識し続けることが本当に重要です。

リテラシーを意識し続けていたら、リアルに居場所がなかった私がインターネットで居場所を見つけて生きてもいいのだと実感できる日々と出会っていくことになります。

(中編に続く)

ライター
ニャーサエ

Twitter:https://twitter.com/nyasae_work
関連記事:双極性障害のニャーサエが愛するモンスターハンターの世界

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

ニャーサエ

双極性障害(Ⅱ型)の主婦ゲーマーです。数年前まで一般企業の障害者枠で6年間お勤めしていました。今はMY働き方改革をスローガンに支援センターにご支援を頂きながらスキルアップのために日々勉強中。
ゲームは小学生の時から今でも大好きで現在は家庭用だと主にモンスターハンターをプレイしています。アーケードは音楽ゲームの、maimai、チュウニズム、ノスタルジア、beatmania iidxなど。
カッコいいおばあちゃんゲーマーになるのが人生の目標です!
Twitter:@nyasae_work

-障害とゲーム
-,

© 2024 ePARA