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ブラインドeスポーツを考える! H.C.R.国際福祉機器展2025 ePARAトークショーレポート第2弾

2025年10月8日から10日にかけて、東京ビッグサイト南展示ホールにて開催された、 H.C.R.2025(国際福祉機器展)

その中で、年齢や障害などの垣根を超えて誰もが楽しめる遊びを体験・紹介する「エンジョイアクティブゾーン」のePARAブースでは、3日間さまざまなテーマのトークショーが実施されました。

ここでは、二日目の10月9日に開催された「ブラインドeスポーツを考える」の模様をお届けします。

登壇者の顔のイラスト

今回のテーマは「視覚障害当事者の声を活かした開発協力の形」。

これまで「ストリートファイター6」のサウンドアクセシビリティ(画面を見なくてもプレイできる機能)の開発や、味の素のお客様相談センターのウェブページなど、視覚障害当事者としてさまざまな開発に協力してきました。

今回は特に深く開発に関わっている「音戦宅球eSports」に着目し、開発協力に参加した視覚障害当事者4名と、最近「音戦宅球eSports」を始めた視覚障害当事者1名が登壇します。

音戦宅球eSportsとは

音を頼りに方向とタイミングを合わせて球を打ち返す、新感覚のサウンドスポーツゲームアプリ。視覚障害者も楽しめるバリアフリーeスポーツで、一般社団法人Tanys 福祉テクノロジーが開発しました。

登壇者紹介

トークショーの登壇者の様子。

(写真左から)
実里(司会
中途失明。ePARA社員兼eスポーツプレイヤーとして活動中。 「音戦宅球eSports」ではニャーダンディのキャラクターボイスを担当。

NAOYA
ePARA社員。全盲のeスポーツプレイヤー・ナレーター。「音戦宅球eSports」では、なんでやねんのキャラクターボイス、キャラクター制作、音響監督を担当。

ゆき
全盲。「音戦宅球eSports」では 、JK京子のキャラクターボイス、開発協力を担当。

真しろ
全盲のeスポーツプレイヤー。「音戦宅球eSports」の開発協力を担当。

長谷川
全盲。最近、「音戦宅球eSports」をプレイし始めた。

「音戦宅球eスポーツ」の開発協力や声優を担当した方から初心者の方まで、全盲の5名が集まり、制作秘話やゲームの楽しさ、今後の展望について語りました。

ゲーム開発の思い出と推しポイント

開発を担当した真しろさんは、キャラクター作りの楽しさを熱弁しました。
「キャラクターの性格やセリフをみんなで意見を出し合って作りました。愛情が詰まったキャラクターたちが完成して、とても嬉しかったです」と語りました。

また、声優としてキャラクターボイスを担当したゆきさんは、収録時の思い出について
「セリフを収録するのは楽しい反面、なかなか大変でもありました。文章量の調整もあって苦労しました」と振り返りました。

声優と併せて音響監督等も担当したNAOYAさんは、本作の推しポイントとして、“チュートリアルの豊富さ”を挙げました。6方向から飛んでくる球を打ち返す操作に慣れるためのチュートリアルが充実しており、初心者でも安心してプレイできるそう。

初心者代表の長谷川さんは、初プレイの体験を共有。
「最初は全然打ち返せなかったけど、練習するうちに夢中になりました。時間の制限がなければ徹夜でもやり込みたいくらい楽しい」と話し、ゲームの没入感を伝えました。

今後やりたいこと

登壇者たちは、音戦宅球eSportsを通して広がる可能性を語りました。

  • ゆき:見えなくても楽しめる「音戦宅球eSports」の存在を広め、オンライン・オフラインでいろんな人と対戦したい。
  • 真しろ:キャラクターボイスを担当したいし、キャラクターも増やしたい。「音戦宅球」という名前なので、温泉と絡めたイベントをやりたい。
  • 長谷川:もっと上手になって大会に出たい。これからもゲームを通じて新しい世界を広げたい。「音戦宅球」が全ての人にとって身近な存在になってほしい。
  • NAOYA:「ストリートファイター6」 の大会「心眼カップ」を銭湯で開催し、コラボとして「音戦宅球」も楽しめるイベントを開催したい。
トークショーの登壇者の様子

会場での体験

会場では「音戦宅球eSports」や「ストリートファイター6」など、バリアフリーe スポーツ体験ブースも用意され、視覚に頼らず楽しめるゲームの体験が提供されていました。

登壇者たちの思いやゲームの魅力を直接感じることで、参加者は「目が見えなくても楽しめるeスポーツ」の可能性を実感しました。

黄色のTシャツを着たタニーズの開発スタッフ二名と全盲プレイヤーのゆきさんが、長机を挟んで外国人の参加者に音戦宅球のやり方を教えている様子
音戦宅球ブースの様子

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