イベントレポート

”勝ちより価値を!”がモットーのあーりん、プロスポーツを初観戦 -かわさきSDGsランドを終えて-

こんにちは!ePARAユナイテッド副キャプテン、歩ける系車いすユーザーのあーりんです。
2024年6月2日(日)に行われた、かわさきSDGsランド powered by FDKに参加してきました!
今回は、初上陸の等々力の地で、みんなで楽しく遊べる、学べる、体験できるイベント『かわさきSDGsランド』に参加してみてのレポートと、イベント後に観戦させていただいた、人生初プロサッカー(Jリーグ)の試合を生で見て、胸に込み上げてきた思いや車いすでの観戦環境の感想など…まるっとレポートさせていただきます!

かわさきSDGsランド

初上陸!川崎フロンターレのホーム等々力!

以前からePARAユナイテッドの活動として小林悠選手とのコラボイベントをするなど、川崎フロンターレのことはユナイテッドのチーム内でもよく話題に上がって、有志メンバーで観戦にも行っていました。でも実は私、メンバーで唯一、ホームグラウンドである等々力陸上競技場(Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu)に行ったことがなかったんです。みんなの写真や感想を聞くたび、「私も行きたいなぁ」と、体調の関係で行けないことをとても悔しく思いつつ、次こそは!!と心を燃やしていました。
そして…ついに今回、スタジアムに実際に行くことができました!

なんだこの居心地の良さは!!

かわさきSDGsランドが開かれたこの日はあいにくの雨模様。そして、時々ゲリラ豪雨。。。車いすユーザーにとって雨は大敵。電動車いすユーザーにとっては、雨で車いすが壊れてしまうリスクを抱えながらの参加。私の場合、天気の悪い日は痛みや体の不調も多く出やすく、正直、テンションは低めで準備を進めていました。
でも、まぁびっくり!会場に着いたら、雨も小降りになってきて、大人も子どももみんなとびっきりの笑顔で楽しそうに賑わっている会場が出迎えてくれました。
ゴミの分別・回収を呼びかける地元の高校生ボランティアや、夢中でワークショップを楽しむ子どもたち。美味しそうなキッチンカーも立ち並び、みんなで呑みながら盛り上がる大人。雨なんて関係ないよ!ホームもアウェイもこの先の勝ち負けも関係なく、みんなで今日を楽しもう!楽しい思い出を作ってこう!そんな声が聞こえてくるようなあたたかい会場に、もう一瞬で惚れてしまいました♡

女子3人組でブース体験へ!

川崎フロンターレ vs 名古屋グランパスの試合までは、場外イベント広場「フロンパーク」(野球場前広場、メインスタンド前広場、芝生広場、児童遊園)で、過去最大級の40を超える体験型ブースで楽しくSDGsを遊びながら学ぶことができました。今回は、はるちゃん、Daiaさん、私の女子3人で魅力的なブースの多さにワクワクしながらSDGsランドを回り、実際にいくつか体験もさせていただきました!

車に落書き?!キットパス号にお絵描き!

ブースを回っていると…「車に落書きしてみませんか〜?」というぶっ飛んだお誘いの声と、ボディーはもちろんタイヤやナンバープレートにまで落書きされた車の姿に目と耳を疑いました。(このキャッチーな声掛けに見事に心掴まれ、他のブースを体験してみようかーと話していた数秒後にはキットパスを手に持っていました。笑)
いろいろ話を聞いてみると、kitpas(キットパス)は、石油系のオイルを使わず、主原料が日本のお米を精米した米ぬかから取り出されるライスワックスなので人にも環境にも優しく、安心して子どもからお年寄りまで思いのまま楽しんで使えるチョークだそう。また、紙・ガラス・鏡などいろいろな素材に描くことができ、窓やガラスなどツルツルした表面であれば何度でも描いたり消したりできる画期的なチョークということで、車にも簡単に落書きできちゃいました!

小型トラックの車体に絵を描く様子
こんな機会は無い!!と張り切って絵を描く2人(笑)

バターのように滑らかで、握力が弱くても書き心地抜群!みんな思い思いの絵や言葉をキットパス号に描かせてもらいました!

ボディーペイントで試合に向けてテンションアゲアゲ!

そしてその横には、kitpas(キットパス)を使ったボディーペイントができるブースもありました!そちらも3人で体験させていただき、それぞれ好きな選手の背番号をハンコを使って手の甲に転写させたり、Daiaちゃんはお顔にまでペイント!フロンターレのイメージカラーである水色のインクでペイントさせてもらったので、試合に向けてテンションと一体感がマシマシになりました!

手の甲のペイントを見せる3人
好きな選手の背番号をkitpasでペイント!

そのほかにも、「カニとたわむれオフロんたーれ」「イルカすくい」などなど面白いネーミングのブースや、目玉企画にも取り上げていただいた、我らがePARAの格闘ゲームチームとゲームで交流できる「ストリートファイター6で体験するバリアフリーeスポーツの世界」といった多種多様なブースがあり、試合開始までの間に雨で冷えた心をあたため、盛り上げてくれるような楽しい空間が広がっていました。

勝利の女神になれるのか?!人生初のJリーグ観戦!

いざスタジアムへ!

来場者のテンションも上がったところで、いよいよ試合へ!!
今回は、2024明治安田J1リーグ 第17節「川崎フロンターレ vs 名古屋グランパス」の試合をUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuの車いす席にて人生初観戦させていただきました!

生でのスポーツ観戦は学生時代に高校野球の全校応援で見に行ったことしかなく、スポーツとはあまり縁のない人生だったので、プロのスポーツ選手の試合を生で見るのは競技種目に関わらず人生初の経験でした。

スタジアムに入ってみると、美味しそうな売店が立ち並び、観戦のお供やグッズを試合開始までの時間などに買うことができます!
私もチュロッキーをゲットし、ロングポテトをはるちゃんがシェアしてくれました!
(ここを読んで分かるように、食いしん坊あーりんは、試合よりも食べ物に目がいっちゃうくらい、正直試合が始まるまでは「チームのみんながいるし楽しめるとは思うけど、リアルスポーツはやっぱり縁遠い存在だし、そんなにハマるほどでは無いんだろうなぁ〜」なんて実は思っていたんです。でも実際に観戦してみて、そんな自分の限られた小さい世界が開かれていき、食べ物そっちのけで誰よりも興奮気味に観戦していたのも、今では話のネタになるいい思い出です(笑))

何かを食べながらカメラの方を向くユナイテッドメンバー4人
試合開始前、まずはお腹を満たすユナイテッドメンバー(笑)

Uvanceとどろきスタジアムの車いす席ってこんなとこ!

Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuの車いす席は、メインスタンド下層コンコース「メイン車椅子席」(38席)とバックスタンド1階コンコース中央「バック車椅子席」(10席)の2種類があり、今回はメイン車いす席のホームゴール側で観戦しました。
やっぱりチームのみんなで一緒に観戦・応援したかったので、車いす席と席の間に仕切りなどがなく、普通の席のようにみんなで隣り合わせで観戦できる席の作り方にまず感動しました!そして、思っていたより車いす席のスペースが広く、介助者が一緒に見ることも考えられている広さで感動でした!また、席の位置も、ディフェンスを担当している身としては胸熱エリアで、試合が見えにくいことなどもなく、車いすなことも忘れて観戦できる環境でした。
(こんなにいい席を味わってしまったので、他のスタジアムの車いす席ははどんな感じになっているのかもちょっと気になってしまいました。)
今回は気づけば20代チームと30代チームに分かれて綺麗に並んで観戦・応援をしました。

車いすで並んでサッカーを観戦する4人の後ろ姿
簡易電動車いす4人も余裕で並んで見れる車いす席!

川崎フロンターレ vs 名古屋グランパス、いざ開戦!!

試合を目前にお空もテンションが上がってしまったのか、キックオフ直前になってまたゲリラ豪雨級の土砂降りと雷がきてしまい、人生初観戦叶わず中止になってしまうのかな?とハラハラな滑り出しでしたが、10分ほど待つと雨も少し弱くなり、雷も通り過ぎたので、開始時間に遅れは出たものの無事キックオフ!
「そうか!サッカーは雨でも中止にならないのか!」と驚きつつも、雨が降っていることを忘れるくらいの白熱した戦いに一気に心奪われていきました。
何も分からずサッカーの試合をチラッとテレビで見ていた時とは違い、eサッカープレーヤーとして、少しずつルールや技、戦術を教わり、まだまだではありますがほんの少しサッカーを知った上での観戦だったので、「ディフェンスラインがもう美しいくらいに揃っていてすごい!かっこいい!」というように、見え方も見方も変わったな〜と感じて、そんな自分の変化にも嬉しくなりました。
なんで今まで見にこなかったんだろう、と過去を悔やむほど生観戦の面白さに魅せられていき、ナイスプレーも惜しいシーンも会場のサポーターみんなで喜び励まし合う経験は他になく、この一体感がもうたまりませんでした!
パラeサッカープレーヤーとしては、自分たちもラインをあれくらい美しく揃えていきたいだとか、あんな風にかっこいいクロスを上げて私も得点のチャンスを作ってみたい、緩急をつけてプレーして、体力をエコしつつボールを奪い死守していきたい、などなど学ぶことが盛りだくさんで、もっともっとリアルサッカーを見て学んでいく力も養っていきたいと思いました。

「あーりんさんへ」というメッセージとサインが書かれたフロンターレのフラッグを広げて持つあーりん
2023年2月のイベントで小林悠さんにサインしてもらったフラッを持参して応援!!

スポーツはバリアを忘れて夢中になれる

ユナイテッドのチームメイトが見に行っていた過去の試合では、フロンターレが負けてしまうことが多かったということもあり、今日こそは勝ってほしい!という思いからユナイテッドメンバーの応援にもさらに力が入り、自分たちがプレーしているかのようなテンションと盛り上がりで、介助者も車いすユーザーも病気も障害も関係なく、みんなで感情を分かち合いながら全力で観戦・応援をしました。
みんなの想いも通じてか、雨にも負けず、最後まで守り切り、2-1で川崎フロンターレの勝利に立ち会うことができました!人生初の観戦が勝利に終わり、とっても嬉しくて忘れられない試合になったとともに、もう次の観戦予定を立てたくなるほど、サッカー観戦の虜になってしまいました!

カメラに向かってピースサインを出すユナイテッドメンバー4人と介助者
介助者も車いすユーザーも一緒になって盛り上がれる車いす席でした!

私たちがやっているeスポーツと今回のサッカー観戦で共通しているなと感じたのは、”スポーツにはバリアを越える力がある。そして越えるだけでなく、バリアをともに越えられる人と人の繋がりや、感情を分かち合える仲間の存在を感じることができる。”ということでした。
実際私も車いすになってからは、それまで以上にスポーツは縁遠い存在だと思い込んでいたのですが、ePARAに出会い、ePARAユナイテッドにJoinしたことで、まずその思い込みのバリアを越え、ともにアクションを起こしていく仲間と出会うことができました。そして活動の中で川崎フロンターレに出会えて、車いすではハードルが高いと思っていたリアルスポーツ観戦に行くきっかけや仲間に恵まれ、雨や遠方、室外で長時間といったバリアやハードルをともに越えて成功体験や経験・感情などを分かち合える仲間の存在に救われ、また一歩世界を広げることができました。このように、ただのゲームと思われがちなeスポーツも、スポーツとは思われていなさそうな試合観戦も、バリアを越える力を持つスポーツの一部なんだなと改めて感じました。

家族のようなあたたかさ。川崎華族の存在。

試合は川崎フロンターレの先制ゴールで得点が動いていき、前半に2点先制するも、後半に1点返され、3点目を目指すもオフサイドを取られ…とっても惜しい場面、攻められ危ないところを必死に耐え凌ぐ場面など、つい見ている側も力が入ってしまう場面がたくさんありました。そんな中でどんな力もポジティブなパワーに変えて、みんなで盛り上がれる一体感と楽しくあたたかい雰囲気を作ってくれていたのは、選手たちの諦めず集中力のある粘り強いプレーの姿はもちろん、川崎フロンターレ応援団の川崎華族の皆さんが先導してくれた応援なのではないかなと感じました。というのも、実は川崎華族の団員の方が試合後車いす席まで私たちに会いにきてくださり、握手をしようとすると、手のひらの皮が捲れていたり、洋服が絞れるほどびしょ濡れだったり…全身全霊・満身創痍で応援していた思いが伝わってきたからです。そして、雨の中休むことなく応援して疲れているはずなのに、そんな自分たちのことよりも、雨の中試合観戦しにきた私たちを労ってくださる優しさに脱帽でした。

ユナイテッドメンバーやイーパラスタッフらと川崎華族の方との集合写真
観戦後、川崎華族の皆さんとパシャリ。

私たちも、仲間とともに。

今回、念願の等々力の地に初上陸を果たし、かわさきSDGsランドへの参加に加え、Jリーガーの試合も見ることができて、私の世界がまた一歩広がりました。車いすだということを忘れてしまうようなあたたかい環境と仲間たち、フロンターレサポーター(フロサポ)の方々、そして川崎フロンターレ全体のあたたかい雰囲気には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!
私たちePARAユナイテッドも川崎フロンターレのように地域に、みんなに愛され、応援したくなるチームになっていけるように、そして、このあたたかい空間をいろいろな場所に伝播させていけるように、これからももっともっと研鑽し、たくさんの方にeスポーツやeサッカーの魅力を伝え、”勝ちより価値を!”をモットーに活動を続けていきたいと思います!

ユナイテッドメンバーやイーパラスタッフらの集合写真
これからも勝ちより価値を!!みなさまにお届けしていきます!
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あーりん

筋痛性脳脊髄炎という原因も治療法も分かっていない難病を抱えながらも、車椅子チャレンジユニットビヨンドガールズのメンバーとしてステージに立ったり、バリアフリーマップアプリWheeLog!のアンバサダーや運営委員を務め、積極的に活動している、歩ける系車椅子ユーザー。 普段は分身ロボットカフェDAWNver.βでOriHimeパイロットとして働いている。

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