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「スポーツとは、非日常の遊び?」-Fortiaメンバーとしての自分を見つめ直すワークショップ-【前編】

こんにちは、ePARAライターのるりです。本業の傍ら、ワークショップについて勉強しています。今回はバリアフリープロジェクトチーム「Fortia(フォルティア)」のワークショップレポートということで、ワクワクしながらこの記事を書いています。

このワークショップが開催された背景には2024年6月から着用しているePARA公式ユニフォームの存在があります。

このユニフォームのコンセプトは、「One Team」。役割や障害の有無を問わずFortiaメンバーやePARA関係者が着用します。

そして、このユニフォームを着用するということは、

 ・ePARAのバリアフリーeスポーツ事業の合言葉である「本気で遊べば、明日は変わる。」を体現すること
 ・Fortiaの7つのクレドを行動指針とした、さまざまな価値ある「挑戦」をすること

を意味します。

このユニフォームを手にするにあたり、「バリアフリーeスポーツのプレイヤーとしてのあり方を考え、意見交換する場」としてワークショップが開催されました。本記事では前後編にわたって、ワークショップの様子をレポートすると共に、Fortiaのクレドを体現し「挑戦」する選手たちの覚悟をお伝えします。

▲2024年度のePARA公式ユニフォーム

なぜスポーツを語ることが重要なのか?

当日は、ePARA顧問である東京都立大学人間健康科学研究科 ヘルスプロモーションサイエンス学域准教授・西島壮氏をファシリテーターにお招きし、

  第一部「「スポーツ」の観点からバリアフリーeスポーツを考える」
  第二部「応援してもらう存在になるためには?」

をテーマに、全体講義やディスカッションを行いました。

冒頭、西島先生からスポーツを語る意義について、お話をいただきました。
生涯を通じてスポーツに親しんでいくために、「スポーツの定義」や「運動とスポーツの違い」を考えることが重要だということが前段として語られました。加えて、このワークショップでスポーツを語る意義として、「ePARAで取り組んでいることはゲームではない」「ゲームではなくスポーツをやっているということであれば、スポーツとは何かを説明できることがスポーツマン、アスリートとしての責任ではないか」との問いかけがありました。

▲東京都立大学人間健康科学研究科 ヘルスプロモーションサイエンス学域准教授西島壮氏

スポーツという観点からバリアフリーeスポーツを考える

西島先生からのメッセージに続き、以下のような3つのグループに分かれ、「スポーツを定義する」というテーマでディスカッションを行いました。

 ・Fighting Fortiaグループ:NAOYA、Jeni、かにゃさん、だいじろー

 ・Racing Fortia / HealthCare Fortia / FPS Fortiaグループ:希央、いちほまれ、夕立P、石水、GreenBird、Yujikun、まるぽす、実里

 ・ePARAユナイテッドグループ:とりちゃん、アフロ、たけちゃん、矢口さん、あーりん、つばさ、はる

各グループで出てきたコメントを一部紹介します。

Fighting Fortiaが考える「スポーツ」

さすが、さまざまな格闘ゲームを行っているFighting Fortia。それぞれのコメントも、「己への挑戦」や「成長」など、上へ上へと上昇するための秘めた闘志が感じられました。

 「障害の有無に限らず、自分が全力で臨めるもの」

 「自分が一番強いのであれば、その自分を超えていく。常に限界を超えていく」

 「己の挑戦を続けることがメイン。その中に、他の人と競うという要素が入る」

 「体調管理も挑戦に繋がる準備である」

ePARAユナイテッドが考える「スポーツ」

普段は「観る」側としてサッカーを楽しみ、ユナイテッドでは「やる」側としてeサッカーを楽しむメンバーたち。「観客」「応援してくれる人」といった、彼ららしいキーワードが出てきました。さらに発展して、文化や芸術といった視点もありました。

 「競技性がある。さらに、スポーツを通して誰かに勇気や興奮、感動を与えることができる」

 「観ていて熱くなれるもの。応援している人たちも一つになれるもの」

 「スポーツは人生そのもの。スポーツはプロフェッショナルを表現するもの」

 「観てもやっても楽しいもの」

 「芸術、コミュニケーションツール、教育、感情が動くもの。
  選手としては、メンタルトレーニングが重要」

 「eスポーツは、男女混合でできる。体力や体格差に左右されない」

 「見ている人がいるかどうかが大きい。観客との相互性がある」

 「スポーツは人間の文化である。プレイ、支援、応援など、スポーツにはさまざまな関わり方があり、すべてにおいてコミュニケーションを必要とするという点が人間特有の文化だと思う」

Racing Fortia / HealthCare Fortia / FPS Fortiaが考える「スポーツ」

さまざまな意見を共有する中で、自分の考えを深めたり発展させたりしたメンバーもいました。

 「結果が伴うもの」

 「順位を競い合うもの」

 「競い合うことがスポーツだと思っていたが、登山も入るのではと聞いて考え直している」

 「指先を含むすべての肉体と感覚を使って楽しむもの」

 「競い合うだけでは、勉強と同じかもしれない。感覚を使って競い合うもの、がしっくりくる」

 「目標を持って行動するもの」

 「自分との闘いでありながら、みんなで楽しむもの」

 「エンタメ性もある。楽しむ一方で、競い合う。これらすべてが内包されている」

「スポーツ」は「非日常の遊び」?「本気で遊べば、明日は変わる」!

各グループが考える「スポーツの定義」の発表を踏まえたうえで、西島先生からさらに考えを深めるための講義がありました。

スポーツ庁が発行しているDeportareというマガジンをご存知でしょうか。
スポーツという言葉の語源はラテン語の「デポルターレ」。「デ」が「離れる」、「ポルターレ」が「港」という意味で、港を離れるということは、日々の生活から離れることを指します。それが転じて、気晴らし、遊び、楽しみ、休養等を意味するのだそうです。

西島先生は、Deportareの記事の一つ、「スポーツ庁が考える『スポーツ』とは?」から、以下の文章の引用し、お話しくださいました。「人生を楽しく、健康的で生き生きとしたものにするために、より楽しむために勝利を追求するもよし、自分ペースで楽しむもよし、誰もが自由に身体を動かし、自由に観戦し、楽しめるもので楽しめるものであるべきなのです」

また、「スポーツ選手の不断の努力は人間の可能性の極限を追求する有意義な営み」という部分も引用されました。例えばオリンピックに出るような選手を想定されているということですが、私はこのお話をお聞きして、Fortiaメンバーも、まさに不断の努力を営むスポーツ選手なのでは?と感じました。

西島先生は、このお話を通して、「スポーツは、非日常の遊びではないか」とおっしゃいました。日常とは、家族、仕事、学校といった普段の生活。非日常は、プラスアルファの生活で、遊ぶことが含まれる。スポーツの語源を考えると、非日常の遊びというものはスポーツなのだと。
「スポーツは非日常の遊び」という考えには共感できない人も、中にはいるかもしれないという前置きを置いたうえで、ただ、遊びだからこそ本気になれるし、「本気で遊べば、明日は変わる」というePARAのキャッチコピーはまさにスポーツそのものだ」と尊敬の念をこめていらっしゃいました。

ワークショップのスライドの一部。
題名:スポーツとは?私が考えるスポーツ
左:スポーツとは、非日常の遊び。「遊び」と言うなんて、けしからん!「遊び」だから、「本気」になれる?
右:スポーツは、グラデーション。チャンピオンシップ・スポーツだけがスポーツではない!

まとめ

「スポーツの定義」というテーマについて考え、言語化し、共有し、再考していく過程で、自分がどのようにeスポーツと関わってきたか、そして今後Fortiaの一メンバーとしてeスポーツとどのように向き合っていきたいか、少しずつ見えてきたのではないでしょうか。
スポーツの語源である「デポルターレ」が、ePARAの合言葉「本気で遊べば、明日は変わる」に繋がっていたとは!とても胸が熱くなりました。

次回はワークショップの後編「応援したくなるスポーツ選手とは?」というテーマでお送りします。お楽しみに!

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Ruri

マイペースでマイクラ・ロブロックス大好きな息子と、左上肢低形成でスポーツ大好きな娘がいます。本業の傍ら、行動心理学をベースにしたワークショップ研究会に子どもたちと参加しています。

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